木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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最終章 木こりと騎士は……

第523話 大丈夫よ!!

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「フリージア!」
「サザランス公爵令嬢にヴィルマン侯爵令息!」


 メストにお姫様抱っこされ、リュシアンと共にジルベールのところにきたフリージアに、王族の護衛をしていたティアーヌが駆け寄る。


「お母様!」


 お着せを着ていても公爵夫人としての気品さが失われないティアーヌとの再会に、淡い緑色の瞳を潤ませるフリージア。

 そんな彼女を見て、安堵の笑みを浮かべたメストは、静かに彼女を下ろした。

 すると、涙を貯めたティアーヌがボロボロのフリージアを抱き締める。


「フリージア、今まで生きててくれてありがとう。本当によく頑張ったわ!    本当に、本当に、頑張った」
「お母様……」


 屋敷に帰ればいつでも感じられた母の温もりを久しぶりに感じ、堪えきれなくなったフリージアは甘えるように抱き返すと静かに涙を流す。

 そして、勇敢に戦った愛娘の短くなった銀色の髪を優しく撫でて喜びを噛み締めていたティアーヌは、少し離れた場所で見守っているメストに目を向ける。


「メスト君も、フリージアを助けてくれてありがとう」
「いえ、私は婚約者として当然のことをしただけです」
「っ!」


 (そ、そう言えば私、メスト様の婚約者だったわ!)


「フリージア?」
「い、いえ何もありません……」


 (今になって、メスト様から『婚約者』呼ばわりされて気恥しくなったとか言えないわ)

 平民『カミル』としてメストと交流していた時間が長かったせいか、記憶を取り戻したメストの『婚約者』という言葉に、気恥しさのあまり涙が引っ込んだフリージアが顔を真っ赤にしながら俯く。

 そんな娘の複雑な乙女の事情など知る由もないティアーヌが不思議そうに首を傾げていると、メストの隣にいたリュシアンがティアーヌに話しかける。


「母さん、父さんからメストやフリージアと共に王族の護衛をするように頼まれた」
「そう、あの人が……」


 (『王族護衛』という大事なお役目を2人に託したのね)


「正直、今の俺たちが父さんの代わりが務まるか分からないが……」
「大丈夫よ」
「えっ?」


 不安がるリュシアンに、優しく微笑んだティアーヌがレクシャに視線を移す。


「あの人が『あなた達2人とメスト君がいるなら大丈夫』と思って託したのだから大丈夫よ」


 (あの人は、どんな時でも冷静に物事を見極めて判断する。だから大丈夫)

 満身創痍でも、魔力さえ回復していれば無効化魔法は使える。

 そして無効化魔法が使える2人は、どちらも魔力は回復している。

 それに、2人の傍にはティアーヌとメストがいる。

 ジルベール自身も強い。

 だから、万が一、ノルベルトの駒からの奇襲があっても国王やジルベールを守ることが出来る。

 そう判断したから、レクシャは2人を国王のもとに向かわせた。

 (まぁ、本当は満身創痍だから戦いの場から離れさせたかったんでしょうけど。特に、フリージアはね)


「全く、親バカなんだから」
「母さん、何か言ったか?」
「いえ、何でもないわよ」


 レクシャの冷静な判断とその裏に隠した本音を見抜いたティアーヌは、自信ありげな笑みを浮かべるとリュシアンとフリージアに視線を戻す。


「ともかく、今はあの人の言う通り、『王国の盾』として、ここで私やメスト君と一緒に陛下と殿下をお守りするわよ!」
「「っ!!」」


 (そうだ、俺たちは……)
 (『王国の盾』を賜っているサザランス家の一員だったわ!)

 ティアーヌの言葉にハッとさせられた2人は、互いに顔を見合わせると「はい!!」と力強い返事をして頷いた。
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