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最終章 木こりと騎士は……
閑話 天才魔法師の導き手
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※ロスペル視点です
「お前がロスペル・サザランスか?」
そう言って、先輩達に悪絡みされていた僕に声をかけたのは、宮廷魔術師団長ルベル・スコロニフ様だった。
「はい、私がロスペル・サザランスです」
『この人も、ここにいる先輩達と同じように思っているのだろうか?』
『無効化魔法』というあらゆる魔法が使えなくなる代わりにあらゆる魔法を無効化する規格外の魔法の使い手が生まれる家で、無効化魔法が使えない僕。
その事実に打ちのめされた時期もあったけど、兄と妹の言葉で立ち直り、僕はあらゆる魔法を極める決意をした。
そして、血の滲むような鍛錬をし続けた結果、入団試験にトップ通過した。
大方、悪絡みしてきた先輩達は、そんな僕が今でも気に入らないから絡んできたのだろう。
そして、目の前にいるこの人も……
団長の登場に先輩達がニヤニヤ笑っている中、無表情で淡々と自己紹介をした僕に、団長は「そうか」と返事をすると先輩達を睨みつけた。
「ところでお前達、こんなところで後輩いびっている暇があるのか?」
「「「えっ?」」」
虚をつかれたような顔をした先輩達に、団長の表情が更に険しくなる。
「お前ら、ディクス隊の奴らだろ? 先日の魔物討伐で巨大魔物に遭遇した際、他の隊の奴らを盾に逃げやがった」
「「「っ!!」」」
その瞬間、先輩達の表情がみるみる青ざめていく。
この人達、そんなクズなことをしていたのか。
「今までは、ディクスの実家やお前らの実家の奴らが揃って頭を下げに来たから多めに見てやったが……」
先輩達に近づいた団長が静かに脅す。
「お前ら、後輩いびっている余裕があるということは、次の討伐では宮廷魔法師としてまともな成果が出せるんだよな?」
「いや」
「あ、あの」
「そ、それはですね」
「言っておくが、次は無いぞ」
「「「っ!!」」」
凄みのある声と表情に、怒られていない僕までも思わず顔を強ばらす。
凄い。これが、長らく宮廷魔法師達を率いてきた人の貫禄から出る迫力か。
気迫だけで魔物が倒せそう。
そんな団長の凄みを正面から受けた先輩達は、顔面蒼白になると「「「い、行ってきます!」」」と言って逃げるようにその場を後にした。
「ったく、新人相手に何やってんだか」
「あ、あの……?」
「あぁ、すまなかったな。バカ共が変な絡み方をして」
「い、いえ……」
この人は、さっきの人達と同じように僕を見ていないのだろうか?
訓練用の杖をギュッと握り締めて俯く僕を見て、深く溜息をついた団長が頭をガシガシと掻きながら視線を逸らす。
「お前のことは知っている。希少な無効化魔法の使い手を輩出するで有名な宰相家の出身なんだろ?」
「は、はい……」
やっぱり、この人も……
「まぁ、『だから何だ?』って話だが」
「えっ?」
顔を上げた僕を気だるそうに団長が見つめる。
「ここにいる奴らは全員、生まれは……まぁ、多少左右されるが、『宮廷魔法師としてのこの国を守りたい』という強い志と実力が認められた奴らだ。いくら生まれが良くても、実力も志も無い奴は、この国の防衛を担えないからな」
そう言うと、団長は僕に真剣な眼差しを向ける。
「お前も『宰相家出身だから』と理由じゃなくて、『この国を守りたい』という強い志と弛まぬ努力で掴んだ実力があるから宮廷魔法師団への入団が認められた。だから、胸を張れ」
「っ!」
僕は認められた。
宰相家の出身だから認められたのではなく。
『『王国の盾』を賜る家の者として、魔法を極めてこの国を守る』と決めたあの日から積み重ねた鍛錬と変わらぬ志が認められたから入団出来たのだ。
「そして、お前はお前らしくいろ。それが、ここで……ペトロート王国宮廷魔法師団がお前に求めることだ」
「っ!!」
この人は、僕が無効化魔法を使えないことをもちろん知っている。
その上で、僕らしくいろと。
それが、この人が……いや、宮廷魔法師団で求められていることだと。
ならば……!
「はい! 頑張ります!」
僕は僕らしくいよう。
兄と妹の言葉で立ち直り、『王国の盾』を賜る家の者としてこの国を守るために、魔法を極めている僕のままで。
力強く返事をした僕を見て、団長がニヤリと笑うと僕の頭をガシガシと撫でる。
「おう、頑張れよ! お前の実力なら、あっという間に俺の右腕になれそうだからな!」
「え!? でも、まだ入団したばかりで……!」
新人の僕が、団長の右腕なんて恐れ多すぎる!
すると、団長が快活に笑った。
「ガハハハッ! 実力があってこの国を守りたいと強く思う奴に新人もベテランも関係ねぇよ!」
そう言うと、頭を撫でた手で僕の背中を強く叩いた。
「痛っ!」
「やる気のあって実力があるお前ならなれる! 俺が保証してやる。だから、お前はお前らしく仲間と共にこの国を魔法で守れ! 分かったな!」
「は、はい!」
正直、新人の僕が団長の右腕になれるか分からない。
いや、今の僕では到底無理だ。
僕よりも全然実力があって、高い志を持つ先輩がたくさんいると思うから。
けれど……いつか、この人の隣でこの国を守りたい。
僕の極めた魔法で。
その数年後、本当に団長の右腕になっただけでなく、『稀代の天才魔法師』なんて小っ恥ずかしい2つ名を授かったのは言わずもがな。
「お前がロスペル・サザランスか?」
そう言って、先輩達に悪絡みされていた僕に声をかけたのは、宮廷魔術師団長ルベル・スコロニフ様だった。
「はい、私がロスペル・サザランスです」
『この人も、ここにいる先輩達と同じように思っているのだろうか?』
『無効化魔法』というあらゆる魔法が使えなくなる代わりにあらゆる魔法を無効化する規格外の魔法の使い手が生まれる家で、無効化魔法が使えない僕。
その事実に打ちのめされた時期もあったけど、兄と妹の言葉で立ち直り、僕はあらゆる魔法を極める決意をした。
そして、血の滲むような鍛錬をし続けた結果、入団試験にトップ通過した。
大方、悪絡みしてきた先輩達は、そんな僕が今でも気に入らないから絡んできたのだろう。
そして、目の前にいるこの人も……
団長の登場に先輩達がニヤニヤ笑っている中、無表情で淡々と自己紹介をした僕に、団長は「そうか」と返事をすると先輩達を睨みつけた。
「ところでお前達、こんなところで後輩いびっている暇があるのか?」
「「「えっ?」」」
虚をつかれたような顔をした先輩達に、団長の表情が更に険しくなる。
「お前ら、ディクス隊の奴らだろ? 先日の魔物討伐で巨大魔物に遭遇した際、他の隊の奴らを盾に逃げやがった」
「「「っ!!」」」
その瞬間、先輩達の表情がみるみる青ざめていく。
この人達、そんなクズなことをしていたのか。
「今までは、ディクスの実家やお前らの実家の奴らが揃って頭を下げに来たから多めに見てやったが……」
先輩達に近づいた団長が静かに脅す。
「お前ら、後輩いびっている余裕があるということは、次の討伐では宮廷魔法師としてまともな成果が出せるんだよな?」
「いや」
「あ、あの」
「そ、それはですね」
「言っておくが、次は無いぞ」
「「「っ!!」」」
凄みのある声と表情に、怒られていない僕までも思わず顔を強ばらす。
凄い。これが、長らく宮廷魔法師達を率いてきた人の貫禄から出る迫力か。
気迫だけで魔物が倒せそう。
そんな団長の凄みを正面から受けた先輩達は、顔面蒼白になると「「「い、行ってきます!」」」と言って逃げるようにその場を後にした。
「ったく、新人相手に何やってんだか」
「あ、あの……?」
「あぁ、すまなかったな。バカ共が変な絡み方をして」
「い、いえ……」
この人は、さっきの人達と同じように僕を見ていないのだろうか?
訓練用の杖をギュッと握り締めて俯く僕を見て、深く溜息をついた団長が頭をガシガシと掻きながら視線を逸らす。
「お前のことは知っている。希少な無効化魔法の使い手を輩出するで有名な宰相家の出身なんだろ?」
「は、はい……」
やっぱり、この人も……
「まぁ、『だから何だ?』って話だが」
「えっ?」
顔を上げた僕を気だるそうに団長が見つめる。
「ここにいる奴らは全員、生まれは……まぁ、多少左右されるが、『宮廷魔法師としてのこの国を守りたい』という強い志と実力が認められた奴らだ。いくら生まれが良くても、実力も志も無い奴は、この国の防衛を担えないからな」
そう言うと、団長は僕に真剣な眼差しを向ける。
「お前も『宰相家出身だから』と理由じゃなくて、『この国を守りたい』という強い志と弛まぬ努力で掴んだ実力があるから宮廷魔法師団への入団が認められた。だから、胸を張れ」
「っ!」
僕は認められた。
宰相家の出身だから認められたのではなく。
『『王国の盾』を賜る家の者として、魔法を極めてこの国を守る』と決めたあの日から積み重ねた鍛錬と変わらぬ志が認められたから入団出来たのだ。
「そして、お前はお前らしくいろ。それが、ここで……ペトロート王国宮廷魔法師団がお前に求めることだ」
「っ!!」
この人は、僕が無効化魔法を使えないことをもちろん知っている。
その上で、僕らしくいろと。
それが、この人が……いや、宮廷魔法師団で求められていることだと。
ならば……!
「はい! 頑張ります!」
僕は僕らしくいよう。
兄と妹の言葉で立ち直り、『王国の盾』を賜る家の者としてこの国を守るために、魔法を極めている僕のままで。
力強く返事をした僕を見て、団長がニヤリと笑うと僕の頭をガシガシと撫でる。
「おう、頑張れよ! お前の実力なら、あっという間に俺の右腕になれそうだからな!」
「え!? でも、まだ入団したばかりで……!」
新人の僕が、団長の右腕なんて恐れ多すぎる!
すると、団長が快活に笑った。
「ガハハハッ! 実力があってこの国を守りたいと強く思う奴に新人もベテランも関係ねぇよ!」
そう言うと、頭を撫でた手で僕の背中を強く叩いた。
「痛っ!」
「やる気のあって実力があるお前ならなれる! 俺が保証してやる。だから、お前はお前らしく仲間と共にこの国を魔法で守れ! 分かったな!」
「は、はい!」
正直、新人の僕が団長の右腕になれるか分からない。
いや、今の僕では到底無理だ。
僕よりも全然実力があって、高い志を持つ先輩がたくさんいると思うから。
けれど……いつか、この人の隣でこの国を守りたい。
僕の極めた魔法で。
その数年後、本当に団長の右腕になっただけでなく、『稀代の天才魔法師』なんて小っ恥ずかしい2つ名を授かったのは言わずもがな。
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