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第1章 木こりと騎士は再会する
第35話 特別訓練
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それは、村長の家に村近くの駐屯地に近衛騎士団達が来る知らせが届く約1か月前のこと。
「辺境近くの駐屯地で、特別訓練ですか?」
2人の騎士の愚行騒ぎから数日経ったある日、団長専用の執務室の応接セットで、フェビルから渡された書類に目を通したグレアが聞き返す。
「あぁ、俺が近衛騎士団長として王都に来て半年が経つが……このタイミングで、騎士達のたるみきっている根性を叩き直そうと思っていてな!」
(確かに、私も近衛騎士団副団長として王都《ここ》に来てから半年経ちますが、王都勤めの騎士達の目に余る愚行があまりにも多すぎるので、ここで団長直々に騎士達の根性を叩き直していただくのは大変ありがたいのですが……)
「それで、本当は?」
「単なる気分だ! あと、毎日書類と向き合うのに飽きた!」
「はぁ……そんなことだろうと思いましたよ」
「ガハハハッ!」
(やはり、いつもの思いつきでしたか。まぁ、突然魔物討伐を指示されるよりかは遥かにマシですけども)
第二騎士団時代から続いている上司の突発的な無茶ぶりにグレアは深く溜息をつく。
すると、一頻り大笑いしたフェビルは、持っていた書類をローテーブルに投げ出し、両腕を組んだ。
「でもまぁ、騎士達の根性を叩き直したいというのは本当だ。そこにも書いているが、王都にいる騎士全員の根性を叩き直す!」
「そうなると、訓練中は第一騎士団に王族を守護する役割を委託しますか? つい先日、第一騎士団の本部に顔を出しましたが、今の近衛騎士団よりかは多少マシな印象をうけましたので、しばらくの間でしたら任せても問題ないかと」
銀縁眼鏡を軽く上げながら進言するグレアに、フェビルは軽く首を振った。
「いや、さっきも言ったが、今回は王都にいる騎士全員の根性を叩き直す!」
「つまり、第一騎士団も巻き込むってことですか?」
「そういうことだ!」
「……ちなみに、あちらには話は通してあるのですか?」
「今から話を通す!」
再び豪快に笑ったフェビルに、大きく溜息をついたグレアは軽く額を抑えつつ、頭の中で計画を組み立て直す。
「一先ず、第一騎士団には方は私の方で話を通します。こういうのは、団長より私の方が適任でしょうし」
「いつもすまんな。それじゃあ、頼んだぞ!」
「畏まりました」
深々と頭を下げたグレアに、小さく笑みを零したフェビルはローテーブルに置いた書類を手に取る。
「それで、訓練日程だが王宮や王都の治安を考慮し、近衛騎士団内と第一騎士団内でそれぞれ少数の班に分け、うちとあちらの班を交代ずつ駐屯地で約1か月、魔物討伐を中心とした特別訓練を受けてもらい、騎士として在り方をもう一度叩き込む!」
「まぁ、そうなりますよね」
小さく溜息をついたグレアは、書類に視線を落とす。
(宰相閣下の強引な揉み消しで無かったことにされていますが、失態続きの近衛騎士団と第一騎士団。この2つの騎士団の抜本的な意識改革は、遅かれ早かれしないといけませんでしたから)
「それに、ここ数年の近衛騎士団と第一騎士団は、ろくに訓練をしていなかったらしい」
「ろくに訓練をしていなかったのですか……それでしたら、第一騎士団を参加させても問題ありませんね」
「だろ?」
悪い笑みを浮かべつつも目が笑っていない団長に、再び小さく溜息をついたグレアは、持っていた書類を傍に置くと銀縁の眼鏡を上げる。
そんなグレアを見たフェビルは、意外そうな顔をした。
「珍しいな。いつもは、こういう突発的な計画に対して、小言の一つや二つは出てくるのに」
「小言ではありません。意見ですよ、団長」
「小言と何も変わらないじゃねぇか」
「変わりますよ……ですが、そんな私の意見すらも出ないくらい、王都勤めの騎士達に対して思うことがあるということです」
少しだけ疲れたような顔をしたグレアは、紅茶で喉を潤す。
「ペトロート王国の中心にある王都は、この国の最後の砦であり、国王陛下のお膝元でもあります」
「そうだな。ここを落とされたら国が滅んでしまう」
「ですから、王都の騎士は騎士としての洗練さが必要とされるというのに、権力を振りかざして平民をいたぶったり、昼間から酒を飲んだり……」
呆れたように溜息をついたグレアに、フェビルは眉を顰めた。
「だからこそ、今回の特別訓練で根性を叩き直す。ということで、グレアは第一騎士団のことも含め、そこら辺の準備や調整を頼む。俺は、今から陛下にかけあってくるから」
「畏まりました……って、第一騎士団はまだしも、陛下にもお伝えしていないのですか!?」
(てっきり、陛下には既に話を通して了承を得ているものだと思っていましたが)
啞然した表情で立ち上がったグレアに対し、フェビルが軽く鼻で笑った。
「フッ、安心しろ。そこは、近衛騎士団長である俺がどうにかする」
「『どうにかする』って……はぁ、分かりました。陛下から了承得たことを前提に諸々の調整や準備を進めますね」
「あぁ、よろしく頼む」
ニヤリと笑ったフェビルに深く溜息をついたグレアは、崩れ落ちるようにソファーに座ると天を仰いだ。
ニヤリと笑ったフェビルに深く溜息をついたグレアは、2人掛けのソファーの背もたれに体を預けると天井を見上げた。
「全く、ここはあなたの無茶無謀が通じる辺境ではないのですよ? 少しは『根回し』や『相談』というものを覚えてください」
「ガハハハッ! そんなことくらい分かっている!」
(本当に分かっているのだろうか、この人は)
嬉々とした表情で書類に目を落とすフェビルに、溜息を漏らしたグレアは傍に置いていた書類を手に取る。
すると、書類に記載されていた地図が目に入った。
「辺境近くの駐屯地で、特別訓練ですか?」
2人の騎士の愚行騒ぎから数日経ったある日、団長専用の執務室の応接セットで、フェビルから渡された書類に目を通したグレアが聞き返す。
「あぁ、俺が近衛騎士団長として王都に来て半年が経つが……このタイミングで、騎士達のたるみきっている根性を叩き直そうと思っていてな!」
(確かに、私も近衛騎士団副団長として王都《ここ》に来てから半年経ちますが、王都勤めの騎士達の目に余る愚行があまりにも多すぎるので、ここで団長直々に騎士達の根性を叩き直していただくのは大変ありがたいのですが……)
「それで、本当は?」
「単なる気分だ! あと、毎日書類と向き合うのに飽きた!」
「はぁ……そんなことだろうと思いましたよ」
「ガハハハッ!」
(やはり、いつもの思いつきでしたか。まぁ、突然魔物討伐を指示されるよりかは遥かにマシですけども)
第二騎士団時代から続いている上司の突発的な無茶ぶりにグレアは深く溜息をつく。
すると、一頻り大笑いしたフェビルは、持っていた書類をローテーブルに投げ出し、両腕を組んだ。
「でもまぁ、騎士達の根性を叩き直したいというのは本当だ。そこにも書いているが、王都にいる騎士全員の根性を叩き直す!」
「そうなると、訓練中は第一騎士団に王族を守護する役割を委託しますか? つい先日、第一騎士団の本部に顔を出しましたが、今の近衛騎士団よりかは多少マシな印象をうけましたので、しばらくの間でしたら任せても問題ないかと」
銀縁眼鏡を軽く上げながら進言するグレアに、フェビルは軽く首を振った。
「いや、さっきも言ったが、今回は王都にいる騎士全員の根性を叩き直す!」
「つまり、第一騎士団も巻き込むってことですか?」
「そういうことだ!」
「……ちなみに、あちらには話は通してあるのですか?」
「今から話を通す!」
再び豪快に笑ったフェビルに、大きく溜息をついたグレアは軽く額を抑えつつ、頭の中で計画を組み立て直す。
「一先ず、第一騎士団には方は私の方で話を通します。こういうのは、団長より私の方が適任でしょうし」
「いつもすまんな。それじゃあ、頼んだぞ!」
「畏まりました」
深々と頭を下げたグレアに、小さく笑みを零したフェビルはローテーブルに置いた書類を手に取る。
「それで、訓練日程だが王宮や王都の治安を考慮し、近衛騎士団内と第一騎士団内でそれぞれ少数の班に分け、うちとあちらの班を交代ずつ駐屯地で約1か月、魔物討伐を中心とした特別訓練を受けてもらい、騎士として在り方をもう一度叩き込む!」
「まぁ、そうなりますよね」
小さく溜息をついたグレアは、書類に視線を落とす。
(宰相閣下の強引な揉み消しで無かったことにされていますが、失態続きの近衛騎士団と第一騎士団。この2つの騎士団の抜本的な意識改革は、遅かれ早かれしないといけませんでしたから)
「それに、ここ数年の近衛騎士団と第一騎士団は、ろくに訓練をしていなかったらしい」
「ろくに訓練をしていなかったのですか……それでしたら、第一騎士団を参加させても問題ありませんね」
「だろ?」
悪い笑みを浮かべつつも目が笑っていない団長に、再び小さく溜息をついたグレアは、持っていた書類を傍に置くと銀縁の眼鏡を上げる。
そんなグレアを見たフェビルは、意外そうな顔をした。
「珍しいな。いつもは、こういう突発的な計画に対して、小言の一つや二つは出てくるのに」
「小言ではありません。意見ですよ、団長」
「小言と何も変わらないじゃねぇか」
「変わりますよ……ですが、そんな私の意見すらも出ないくらい、王都勤めの騎士達に対して思うことがあるということです」
少しだけ疲れたような顔をしたグレアは、紅茶で喉を潤す。
「ペトロート王国の中心にある王都は、この国の最後の砦であり、国王陛下のお膝元でもあります」
「そうだな。ここを落とされたら国が滅んでしまう」
「ですから、王都の騎士は騎士としての洗練さが必要とされるというのに、権力を振りかざして平民をいたぶったり、昼間から酒を飲んだり……」
呆れたように溜息をついたグレアに、フェビルは眉を顰めた。
「だからこそ、今回の特別訓練で根性を叩き直す。ということで、グレアは第一騎士団のことも含め、そこら辺の準備や調整を頼む。俺は、今から陛下にかけあってくるから」
「畏まりました……って、第一騎士団はまだしも、陛下にもお伝えしていないのですか!?」
(てっきり、陛下には既に話を通して了承を得ているものだと思っていましたが)
啞然した表情で立ち上がったグレアに対し、フェビルが軽く鼻で笑った。
「フッ、安心しろ。そこは、近衛騎士団長である俺がどうにかする」
「『どうにかする』って……はぁ、分かりました。陛下から了承得たことを前提に諸々の調整や準備を進めますね」
「あぁ、よろしく頼む」
ニヤリと笑ったフェビルに深く溜息をついたグレアは、崩れ落ちるようにソファーに座ると天を仰いだ。
ニヤリと笑ったフェビルに深く溜息をついたグレアは、2人掛けのソファーの背もたれに体を預けると天井を見上げた。
「全く、ここはあなたの無茶無謀が通じる辺境ではないのですよ? 少しは『根回し』や『相談』というものを覚えてください」
「ガハハハッ! そんなことくらい分かっている!」
(本当に分かっているのだろうか、この人は)
嬉々とした表情で書類に目を落とすフェビルに、溜息を漏らしたグレアは傍に置いていた書類を手に取る。
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