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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
第199話 ワケアリ文官の謎(前編)
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「では、帝都カノンに向けて出発します」
マクシェルが帝国について一通り話終えた後、休憩を終えた一行は目的に向けて進んでいた。
「いや~、マクシェル殿の話は本当にタメになったな」
「そうだな。ワケアリ下級文官のとはいえ、魔道具1つで王国と帝国の現状を分析する出来る人なんて下級文官……いや、上級文官でもいないだろ」
辺りを警戒しつつ馬車を護衛している騎士達は、休憩中に聞いたマクシェルの話について語り合っていた。
「確かに! この前、久しぶりに上級文官見たけど……あいつら、中級文官に仕事を押し付けて、自分達は王族や宰相のご機嫌取りをしていたぜ」
「あっ、それ俺も見た! そう考えると、マクシェル殿には是非とも上級文官として働いて欲しいな。そうすれば絶対、今より良い国になるだろ」
「いやいや、マクシェル殿の聡明は、上級文官じゃもったいないだろ!」
「じゃあ……その上の宰相か?」
この場にマクシェルやノルベルトがいないことを良いことに、騎士達は好き勝手に話をする。
「当たり前だろ! あの聡明さは、国の政の中心に立った時に初めて発揮されるんだ! 確か、実家は帝国の有名貴族って言っていたし」
「おいおい、それ言ったら現宰相閣下がどうなるんだよ?」
「それはもちろんお役目御免だろ」
「ハハッ! それもそうだな」
楽しそうに話す彼らの後ろで、盗み聞きしていたラピスが苦笑いを浮かべていると、後ろから白いローブを着た女性が近づいてきた。
「騎士って本当、呑気なものね」
「それを言うなら、持ち場を離れて婚約者のところに来たお前も随行と呑気なものだな」
呆れ顔のラピスが溜息をつくと、カトレアの表情が僅かに曇った。
「……そういえばお前、何かあったか?」
「何って、何もないけど」
そう言いつつも曇った表情でいるカトレアに、ラピスは少しだけ眉を顰めた。
「嘘つけ。今朝から様子がおかしいじゃねぇか。さっきの休憩の時も、マクシェル殿の話を半分しか聞いていなかっただろうが」
「そう? あんたの気のせいじゃない?」
「だとしたら、わざわざこんなことは聞かない」
(幼い頃からお前のことを見てきている俺の目をなめるんじゃねぇ)
顔を顰めたラピスがそっとカトレアとの距離を詰めた。
「……やっぱり、あんたには隠し通すことは出来ないわね」
「当たり前だ。騎士であり婚約者なのだから」
「フフッ、そうだったわね」
観念したように笑みを零したカトレアは、小さく溜息をつくと笑みを潜めてラピスを見た。
「ねぇ、もし今、魔物の気配を感じたらどうする?」
「はっ? それはもちろん、馬車を止めて周りの連中と連携を取りながら、周囲を警戒しつつ気配がした方に剣を向けるが?」
「まぁ、そうよね」
(普通なら、そうするわよね)
「おい、カトレアいきなり何を聞いて……」
「それじゃあ、魔物の気配を感じると同時に剣で魔物を切るなんて出来ないわよね?」
「えっ? それは……」
(若輩者の俺には到底出来ないことではあるが……)
「フェビル団長なら、出来るかもしれない」
「えっ? 出来るの?」
「あっ、あぁ……実際に出来るかどうか分からないが、フェビル団長ぐらいの御仁なら出来るかもしれない」
「そう、よね」
(私も、宮廷魔法師で気配と感じると同時に魔法を撃つことが出来る人なんて、ルベル団長くらいだろうし)
「なぁ、どうして突然そんなことを聞いたんだ?」
「あっ、実はね……」
そこからカトレアは、昨日の夜に森で遭遇した出来事についてラピスに話した。
「……なるほど、マクシェル殿が魔物の方を一切見ないまま、近づいてきた魔物をあっさりと屠ったと」
「そうなの」
(正直、貴族出身の下級文官であるマクシェル殿が、そんな妙技を護身術として身につけているようには見えないが……)
車中で楽しそうに何かを話しているマクシェルを一瞥したラピスは、僅かに眉を顰めると視線をカトレアに戻した。
「まぁ、護身用の剣を携えているから、それくらい……」
「あっ」
ラピスの言葉を遮ったカトレアは、何かを思い出して両手を叩いた。
「どうした?」
「そう言えば、護身用の剣で思い出したんだけど……」
そう言って、周囲を確認したカトレアはラピスにそっと耳打ちした。
「あの方が使っていた剣、何か文字が刻まれていたのよ」
「文字?」
更に眉を顰めたラピスに、カトレアは静かに頷くと小声で話し始めた。
「そう、一瞬だったからよく見えなかったんだけど……何だか、魔法陣に刻まれている文字にそっくりの文字が刻まれていたのよ」
「だとしたら、マクシェル殿の剣は魔道具か何かってことなのか?」
「う~ん、そうなのかもしれないけど……それにしては、見慣れない文字だった気がするわ」
「そう、なのか」
カトレアの話を聞いたラピスは、再びマクシェルを一瞥した。
(一瞬で魔物を屠る剣技に、魔道具のような剣……そして、帝国出身のワケアリ下級文官とは、魔道具1つで王国と帝国の現状と問題をいとも簡単に分析する聡明ぶり)
「皇帝陛下と国王陛下から信頼を置かれるあなたは一体、何者なのですか?」
マクシェルが帝国について一通り話終えた後、休憩を終えた一行は目的に向けて進んでいた。
「いや~、マクシェル殿の話は本当にタメになったな」
「そうだな。ワケアリ下級文官のとはいえ、魔道具1つで王国と帝国の現状を分析する出来る人なんて下級文官……いや、上級文官でもいないだろ」
辺りを警戒しつつ馬車を護衛している騎士達は、休憩中に聞いたマクシェルの話について語り合っていた。
「確かに! この前、久しぶりに上級文官見たけど……あいつら、中級文官に仕事を押し付けて、自分達は王族や宰相のご機嫌取りをしていたぜ」
「あっ、それ俺も見た! そう考えると、マクシェル殿には是非とも上級文官として働いて欲しいな。そうすれば絶対、今より良い国になるだろ」
「いやいや、マクシェル殿の聡明は、上級文官じゃもったいないだろ!」
「じゃあ……その上の宰相か?」
この場にマクシェルやノルベルトがいないことを良いことに、騎士達は好き勝手に話をする。
「当たり前だろ! あの聡明さは、国の政の中心に立った時に初めて発揮されるんだ! 確か、実家は帝国の有名貴族って言っていたし」
「おいおい、それ言ったら現宰相閣下がどうなるんだよ?」
「それはもちろんお役目御免だろ」
「ハハッ! それもそうだな」
楽しそうに話す彼らの後ろで、盗み聞きしていたラピスが苦笑いを浮かべていると、後ろから白いローブを着た女性が近づいてきた。
「騎士って本当、呑気なものね」
「それを言うなら、持ち場を離れて婚約者のところに来たお前も随行と呑気なものだな」
呆れ顔のラピスが溜息をつくと、カトレアの表情が僅かに曇った。
「……そういえばお前、何かあったか?」
「何って、何もないけど」
そう言いつつも曇った表情でいるカトレアに、ラピスは少しだけ眉を顰めた。
「嘘つけ。今朝から様子がおかしいじゃねぇか。さっきの休憩の時も、マクシェル殿の話を半分しか聞いていなかっただろうが」
「そう? あんたの気のせいじゃない?」
「だとしたら、わざわざこんなことは聞かない」
(幼い頃からお前のことを見てきている俺の目をなめるんじゃねぇ)
顔を顰めたラピスがそっとカトレアとの距離を詰めた。
「……やっぱり、あんたには隠し通すことは出来ないわね」
「当たり前だ。騎士であり婚約者なのだから」
「フフッ、そうだったわね」
観念したように笑みを零したカトレアは、小さく溜息をつくと笑みを潜めてラピスを見た。
「ねぇ、もし今、魔物の気配を感じたらどうする?」
「はっ? それはもちろん、馬車を止めて周りの連中と連携を取りながら、周囲を警戒しつつ気配がした方に剣を向けるが?」
「まぁ、そうよね」
(普通なら、そうするわよね)
「おい、カトレアいきなり何を聞いて……」
「それじゃあ、魔物の気配を感じると同時に剣で魔物を切るなんて出来ないわよね?」
「えっ? それは……」
(若輩者の俺には到底出来ないことではあるが……)
「フェビル団長なら、出来るかもしれない」
「えっ? 出来るの?」
「あっ、あぁ……実際に出来るかどうか分からないが、フェビル団長ぐらいの御仁なら出来るかもしれない」
「そう、よね」
(私も、宮廷魔法師で気配と感じると同時に魔法を撃つことが出来る人なんて、ルベル団長くらいだろうし)
「なぁ、どうして突然そんなことを聞いたんだ?」
「あっ、実はね……」
そこからカトレアは、昨日の夜に森で遭遇した出来事についてラピスに話した。
「……なるほど、マクシェル殿が魔物の方を一切見ないまま、近づいてきた魔物をあっさりと屠ったと」
「そうなの」
(正直、貴族出身の下級文官であるマクシェル殿が、そんな妙技を護身術として身につけているようには見えないが……)
車中で楽しそうに何かを話しているマクシェルを一瞥したラピスは、僅かに眉を顰めると視線をカトレアに戻した。
「まぁ、護身用の剣を携えているから、それくらい……」
「あっ」
ラピスの言葉を遮ったカトレアは、何かを思い出して両手を叩いた。
「どうした?」
「そう言えば、護身用の剣で思い出したんだけど……」
そう言って、周囲を確認したカトレアはラピスにそっと耳打ちした。
「あの方が使っていた剣、何か文字が刻まれていたのよ」
「文字?」
更に眉を顰めたラピスに、カトレアは静かに頷くと小声で話し始めた。
「そう、一瞬だったからよく見えなかったんだけど……何だか、魔法陣に刻まれている文字にそっくりの文字が刻まれていたのよ」
「だとしたら、マクシェル殿の剣は魔道具か何かってことなのか?」
「う~ん、そうなのかもしれないけど……それにしては、見慣れない文字だった気がするわ」
「そう、なのか」
カトレアの話を聞いたラピスは、再びマクシェルを一瞥した。
(一瞬で魔物を屠る剣技に、魔道具のような剣……そして、帝国出身のワケアリ下級文官とは、魔道具1つで王国と帝国の現状と問題をいとも簡単に分析する聡明ぶり)
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