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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
第240話 手に入れた切り札
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「アッ、ハハハハハッ!!」
「へっ、陛下!?」
引き攣った顔でたじろぐ宰相をよそに、声を出して笑った皇帝は大きく息を吐くと楽しそうな笑顔でレクシャに目を向けた。
「さすが、帝国では『死神』と恐れられ、王国では『盾』を賜っている宰相家の当主よ! 己が犯した過ちを悔やみつつも、家族に対して保険をかけると同時に、愚か者の思考を読み取った策を練っていたとは! やはり、貴様と貴様の主だけは敵に回したくないものだ!」
「滅相もございません」
敬しく頭を下げたレクシャに、満足げな笑みを浮かべた皇帝は、玉座から立つと傍に立てかけてあった、皇帝しか持つことが許されない豪華な装飾が施された杖を手に取った。
そして、そのまま跪いているレクシャに杖を向けた。
「よかろう! 特別に、皇帝の名のもと、我が帝国の死神を貴国に貸し与えよう」
「ありがとうございます」
(ようやく……ようやく、奴に一矢報いる武器を手に入れた!)
帝国に来るまでのことを辛い記憶を思い出し、嬉しさのあまり口元が緩みそうになったレクシャは、慌てて引き締めた。
そんなレクシャを見て、皇帝は機嫌良さげに鼻を鳴らした。
「フン! どうせ、貴様のことだ! 帝国に来る前に、王国に派遣して欲しい人材を事前にリストアップしているだろ?」
「もちろんでございます」
そう告げたレクシャは、その場から立ち上がるとマジックバックから一枚の紙を取り出した。
「やはりな。ならばそのリスト、そこにいる宰相に渡してやれ」
「かしこまりました。それと、もう1つお願いがございまして……」
「ほう! 何か、申してみろ! 今の私は機嫌が良いからな! 今なら無条件で叶えてやってもいいぞ!」
「陛下!」
「ありがとうございます」
ご機嫌な主を諫めた宰相にリストを渡したレクシャは、マジックバックから別の紙束を取りだした。
「こちらに書かれている魔道具を、我が国の平民に……正確には、とある貴族に横流しして欲しいのです」
「とある貴族に?」
「えぇ、その貴族は我がサザランス公爵家と同じく、帝国から分家された貴族でして」
その瞬間、皇帝と宰相の目が光った。
「あぁ、エピナント公爵家のことか?」
「はい、その通りでございます」
(確かに、我が国の魔道具流通の中核を担っているあの家の分家なら、期待を裏切るような愚かな真似はしないだろう)
レクシャの返事に納得した皇帝は、宰相とアイコンタクトを交わした。
すると、涼しい顔をした宰相が、先程受け取ったリストを側近に預けると、レクシャから紙束を受け取り早速目を通した。
その横から、いつの間にか立ち上がったマーザスが、興味深そうに紙束の中身を覗き込んだ。
「これって……どれも、平民でも使える護身用の魔道具ですよね?」
光属性の結界魔法で魔物に囲まれているフィアンツ帝国でも、魔物の発生は日常的に起こる。
特に、魔力が乏しい平民は魔物にとっては恰好の餌である。
そのため、平民にも魔道具が普及している帝国では、魔物への用心として外出する際は、必ず護身用の魔道具を持つように義務付けられている。
(それに、ここに書かれているものは全て平民でも買える物ばかりだ)
宰相よりも少し先にリストの中身を最後まで目を通したマーザスは、視線をリストから隣にいるレクシャに移すと、真剣な表情のレクシャが小さく頷いた。
「はい。実は、ノルベルトが結界用の魔法陣を強引に乗ってから3年間、我が国での魔物の数が異常に増えたのです」
「なっ!?」
リストから顔を上げた宰相が思わず目を見開くと、深刻そうな顔をしたマーザスがレクシャに鋭い視線を向けた。
「魔力の歪みですね?」
「へっ、陛下!?」
引き攣った顔でたじろぐ宰相をよそに、声を出して笑った皇帝は大きく息を吐くと楽しそうな笑顔でレクシャに目を向けた。
「さすが、帝国では『死神』と恐れられ、王国では『盾』を賜っている宰相家の当主よ! 己が犯した過ちを悔やみつつも、家族に対して保険をかけると同時に、愚か者の思考を読み取った策を練っていたとは! やはり、貴様と貴様の主だけは敵に回したくないものだ!」
「滅相もございません」
敬しく頭を下げたレクシャに、満足げな笑みを浮かべた皇帝は、玉座から立つと傍に立てかけてあった、皇帝しか持つことが許されない豪華な装飾が施された杖を手に取った。
そして、そのまま跪いているレクシャに杖を向けた。
「よかろう! 特別に、皇帝の名のもと、我が帝国の死神を貴国に貸し与えよう」
「ありがとうございます」
(ようやく……ようやく、奴に一矢報いる武器を手に入れた!)
帝国に来るまでのことを辛い記憶を思い出し、嬉しさのあまり口元が緩みそうになったレクシャは、慌てて引き締めた。
そんなレクシャを見て、皇帝は機嫌良さげに鼻を鳴らした。
「フン! どうせ、貴様のことだ! 帝国に来る前に、王国に派遣して欲しい人材を事前にリストアップしているだろ?」
「もちろんでございます」
そう告げたレクシャは、その場から立ち上がるとマジックバックから一枚の紙を取り出した。
「やはりな。ならばそのリスト、そこにいる宰相に渡してやれ」
「かしこまりました。それと、もう1つお願いがございまして……」
「ほう! 何か、申してみろ! 今の私は機嫌が良いからな! 今なら無条件で叶えてやってもいいぞ!」
「陛下!」
「ありがとうございます」
ご機嫌な主を諫めた宰相にリストを渡したレクシャは、マジックバックから別の紙束を取りだした。
「こちらに書かれている魔道具を、我が国の平民に……正確には、とある貴族に横流しして欲しいのです」
「とある貴族に?」
「えぇ、その貴族は我がサザランス公爵家と同じく、帝国から分家された貴族でして」
その瞬間、皇帝と宰相の目が光った。
「あぁ、エピナント公爵家のことか?」
「はい、その通りでございます」
(確かに、我が国の魔道具流通の中核を担っているあの家の分家なら、期待を裏切るような愚かな真似はしないだろう)
レクシャの返事に納得した皇帝は、宰相とアイコンタクトを交わした。
すると、涼しい顔をした宰相が、先程受け取ったリストを側近に預けると、レクシャから紙束を受け取り早速目を通した。
その横から、いつの間にか立ち上がったマーザスが、興味深そうに紙束の中身を覗き込んだ。
「これって……どれも、平民でも使える護身用の魔道具ですよね?」
光属性の結界魔法で魔物に囲まれているフィアンツ帝国でも、魔物の発生は日常的に起こる。
特に、魔力が乏しい平民は魔物にとっては恰好の餌である。
そのため、平民にも魔道具が普及している帝国では、魔物への用心として外出する際は、必ず護身用の魔道具を持つように義務付けられている。
(それに、ここに書かれているものは全て平民でも買える物ばかりだ)
宰相よりも少し先にリストの中身を最後まで目を通したマーザスは、視線をリストから隣にいるレクシャに移すと、真剣な表情のレクシャが小さく頷いた。
「はい。実は、ノルベルトが結界用の魔法陣を強引に乗ってから3年間、我が国での魔物の数が異常に増えたのです」
「なっ!?」
リストから顔を上げた宰相が思わず目を見開くと、深刻そうな顔をしたマーザスがレクシャに鋭い視線を向けた。
「魔力の歪みですね?」
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