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第5章 止まっていた運命が動き出す
第297話 真昼の共闘
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「あなた、2年前の魔物討伐から片手剣を使っているんじゃ……」
2年前、近衛騎士団が特別訓練で駐屯地を訪れ、その日の夜にリアスタ村近くの森に出現した魔物を討伐した際、カミルはラピスが片手剣を使っていたことを覚えていた。
(それに、見回りの時だって片手剣を携えていたから、てっきり得物を変えたかと思ったんだけど)
驚いた顔で双剣を見つめるカミルに、その時のことを思い出したラピスは楽しそうに笑みを零す。
「あぁ、そう言えばそうだったな。だが、水と雷の中級魔法を使える俺が、双剣を使うのはお前だって覚えているだろ?」
「まぁ、そうね」
一属性の中級魔法しか使えない騎士達の中で、水と雷の中級魔法が使えるラピスは、その能力を存分に活かすため、記憶が改竄される前は魔法付与が出来る特殊な双剣を使って戦っていた。
(正直、魔物討伐で片手剣を使っていたラピスさんを診て『やっぱり記憶が……』と少しだけ胸を痛めたけど)
「本当に思い出したのね」
「ようやく分かってくれたか。ちなみに、俺の相棒は帝国産の双剣だ」
「そうだったわね。それに、今の王国産の剣には、剣の柄に魔石が嵌め込まれていないからすぐに分かったわ」
「おっ、さすがフリージア嬢だな」
嬉しそうな笑顔で話すカミルを見て、少しだけ安堵したラピスはダリア達に視線を戻すと双剣を構える。
「ウフフッ、どうやら最期のおしゃべりは終わったみたいね」
「へぇ、待っていてくれたのか?」
「当たり前でしょ。だって、私は慈悲深い宰相家令嬢なのだから」
「でしたら、無力な俺たちをこのまま逃がしてくれませんか?」
「フン! 宰相家令嬢である私が、愚かにも楯突いた下衆どもを生かすわけがないでしょうが!!」
「ですよね~」
煽るようにニヤニヤと笑みを浮かべると、ダリアの周りにいた騎士達がカミルとラピスの周りを取り囲んだ。
「第一部隊全員集合か。ということは、俺たちを取り囲んでいる騎士の数は50。これは、どう考えても逃がしてくれなさそうだ」
「そうね」
周囲にいる国王直属の騎士達に、カミルとラピスは背中合わせになると眼前の敵を睨みつけた。
「フリージア嬢、俺は何をすればいい?」
「あなたは、私と一緒に魅了魔法で操られた騎士達を無力化して」
「それだけでいいのか?」
意外そうな顔をするラピスに、カミルが小さく頷く。
「えぇ、魅了魔法の弱点は、相手の意識が無い状態では効果を発揮しないことよ」
「つまり、相手の意識を無くせば、淫乱令嬢の魅了魔法が解けるということか?」
「そういうこと。それに、余計な血は流したくないから」
(彼らだってペトロート王国の民だし、剣を向けたくて向けているわけじゃない……はずだから)
真剣な表情で騎士達のことを気にかけるカミルに、小さく笑みを零したラピスは気合を入れた。
「『余計な血を流したくない』か。こっちの方が宰相家令嬢に相応しいと思うんだが……本当、どうしてあんな女が『宰相家令嬢』なんて名乗っているのかなぁ!?」
「っ!!!!!」
わざとらしく大声で煽ったラピスに、怒りで黒い魔力を噴出させたダリアを見て、カミルは咄嗟に周囲に目を配った。
(黒い魔力による周りの被害は……今のところ無いわね。後は、いつものように周りを警戒しながら立ち回ろう)
「ラピスさん。騎士達がある程度減ったら、私はあの女の相手をします」
「良いのか?」
「えぇ、私の方が適任だと思いますから。ですが、魅了魔法は相手に触れた瞬間、発揮されます。それも、鎧を纏ってようが関係ありません。ですから……」
「触れなきゃいいんだな。だが、万が一触れても大丈夫だ」
「えっ?……っ!?」
(その首から下げているネックレスについている銀色のリングって、もしかしなくても!)
ラピスが得意げな顔で鎧の隙間から見せたくれた、銀色のリングのついたネックレス。
その銀色のリングには、フェビルやシュタール辺境伯夫妻が持っているのと同じ、無効化魔法が付与されていた。
(本当に、本当に私の味方に……)
思わず目を見開いたカミルは、恐る恐る問い質す。
「……後悔、してない?」
「全然」
「そう」
『何が』とは聞かないし言わない。
けれど、ラピスの返事を聞いたカミルは構えているレイピアに力を込める。
「あんた達! 高貴な私をバカにした愚か者に死を与えなさい!!!!」
王都に響き渡る大声でダリアから命令を下された黄金の騎士達が、一斉に2人に飛びかかる。
「ラピスさん、来ま……」
「フリージア嬢、少しだけその場から離れないでくれ」
「えっ?」
ラピスの言葉に、カミルは一瞬動きを止めた。
2年前、近衛騎士団が特別訓練で駐屯地を訪れ、その日の夜にリアスタ村近くの森に出現した魔物を討伐した際、カミルはラピスが片手剣を使っていたことを覚えていた。
(それに、見回りの時だって片手剣を携えていたから、てっきり得物を変えたかと思ったんだけど)
驚いた顔で双剣を見つめるカミルに、その時のことを思い出したラピスは楽しそうに笑みを零す。
「あぁ、そう言えばそうだったな。だが、水と雷の中級魔法を使える俺が、双剣を使うのはお前だって覚えているだろ?」
「まぁ、そうね」
一属性の中級魔法しか使えない騎士達の中で、水と雷の中級魔法が使えるラピスは、その能力を存分に活かすため、記憶が改竄される前は魔法付与が出来る特殊な双剣を使って戦っていた。
(正直、魔物討伐で片手剣を使っていたラピスさんを診て『やっぱり記憶が……』と少しだけ胸を痛めたけど)
「本当に思い出したのね」
「ようやく分かってくれたか。ちなみに、俺の相棒は帝国産の双剣だ」
「そうだったわね。それに、今の王国産の剣には、剣の柄に魔石が嵌め込まれていないからすぐに分かったわ」
「おっ、さすがフリージア嬢だな」
嬉しそうな笑顔で話すカミルを見て、少しだけ安堵したラピスはダリア達に視線を戻すと双剣を構える。
「ウフフッ、どうやら最期のおしゃべりは終わったみたいね」
「へぇ、待っていてくれたのか?」
「当たり前でしょ。だって、私は慈悲深い宰相家令嬢なのだから」
「でしたら、無力な俺たちをこのまま逃がしてくれませんか?」
「フン! 宰相家令嬢である私が、愚かにも楯突いた下衆どもを生かすわけがないでしょうが!!」
「ですよね~」
煽るようにニヤニヤと笑みを浮かべると、ダリアの周りにいた騎士達がカミルとラピスの周りを取り囲んだ。
「第一部隊全員集合か。ということは、俺たちを取り囲んでいる騎士の数は50。これは、どう考えても逃がしてくれなさそうだ」
「そうね」
周囲にいる国王直属の騎士達に、カミルとラピスは背中合わせになると眼前の敵を睨みつけた。
「フリージア嬢、俺は何をすればいい?」
「あなたは、私と一緒に魅了魔法で操られた騎士達を無力化して」
「それだけでいいのか?」
意外そうな顔をするラピスに、カミルが小さく頷く。
「えぇ、魅了魔法の弱点は、相手の意識が無い状態では効果を発揮しないことよ」
「つまり、相手の意識を無くせば、淫乱令嬢の魅了魔法が解けるということか?」
「そういうこと。それに、余計な血は流したくないから」
(彼らだってペトロート王国の民だし、剣を向けたくて向けているわけじゃない……はずだから)
真剣な表情で騎士達のことを気にかけるカミルに、小さく笑みを零したラピスは気合を入れた。
「『余計な血を流したくない』か。こっちの方が宰相家令嬢に相応しいと思うんだが……本当、どうしてあんな女が『宰相家令嬢』なんて名乗っているのかなぁ!?」
「っ!!!!!」
わざとらしく大声で煽ったラピスに、怒りで黒い魔力を噴出させたダリアを見て、カミルは咄嗟に周囲に目を配った。
(黒い魔力による周りの被害は……今のところ無いわね。後は、いつものように周りを警戒しながら立ち回ろう)
「ラピスさん。騎士達がある程度減ったら、私はあの女の相手をします」
「良いのか?」
「えぇ、私の方が適任だと思いますから。ですが、魅了魔法は相手に触れた瞬間、発揮されます。それも、鎧を纏ってようが関係ありません。ですから……」
「触れなきゃいいんだな。だが、万が一触れても大丈夫だ」
「えっ?……っ!?」
(その首から下げているネックレスについている銀色のリングって、もしかしなくても!)
ラピスが得意げな顔で鎧の隙間から見せたくれた、銀色のリングのついたネックレス。
その銀色のリングには、フェビルやシュタール辺境伯夫妻が持っているのと同じ、無効化魔法が付与されていた。
(本当に、本当に私の味方に……)
思わず目を見開いたカミルは、恐る恐る問い質す。
「……後悔、してない?」
「全然」
「そう」
『何が』とは聞かないし言わない。
けれど、ラピスの返事を聞いたカミルは構えているレイピアに力を込める。
「あんた達! 高貴な私をバカにした愚か者に死を与えなさい!!!!」
王都に響き渡る大声でダリアから命令を下された黄金の騎士達が、一斉に2人に飛びかかる。
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