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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第323話 親友の様子
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ダリアの一件から数日後、王都から2時間ほど離れた森の奥深くにある古びた屋敷。
その屋敷の庭で魔法の鍛錬をしていたカトレアは、休憩がてらガゼボで紅茶を楽しんでいると、向かいに座っていたラピスから王都でのことを聞いて思わず声を上げた。
「えっ、その時にフリージアがいたの!?」
(まさか、フリージアがあの場にいたなんて!)
「まぁ、俺が到着した時には既にダリアと対峙していたけどな」
「そ、そう……」
目の前にいる婚約者が一番会いたいと分かっていたラピスは、唖然とするカトレアから目を逸らして頬を掻く。
すると、2人の間にある白い丸テーブルに焼き菓子が乗せられた。
「カトレア嬢。この屋敷が認識阻害魔法で外から見えなくなっているとはいえ、淑女として声を上げるのはいかがなものかと思いますよ」
「も、申し訳ございません、ロスペル師匠」
使用人が作った焼き菓子を持ってきたロスペルから注意を受け、落ち込んだカトレアが小さく頭を下げる。
そんな弟子を見て、深く溜息をついたロスペルは、淡い緑色の長い髪を1つに束ね直すと何かを取りに屋敷に戻った。
(あれっ? カトレアが声を上げたお陰で、ロスペル様にもフリージア嬢の名前が聞こえたはすだが、どうして深く追及しないんだ?)
実の妹の名前を聞いても動揺していないロスペルの背中に、ラピスは違和感を覚えつつ、視線をカトレアに移した。
「それで、簡単ではあるが俺とカトレアが記憶を取り戻したことと、今の俺たちが味方であることを伝えた」
「……フリージアは何て?」
(この2年間……いえ、5年間誰にも頼れない状況で孤独に戦ってきた。そんな彼女に突然『今の自分達は味方だ』と言っても信じてはもらえないわよね。改竄魔法と魅了魔法にかかっていたとはいえ、親友を罵倒して、挙句の果てに撃った私のことなんて尚更)
カトレアの脳裏に蘇る、魔物討伐の時に親友を『平民』と呼んで蔑んだ言葉と、得意の火属性魔法で親友を撃った記憶。
その記憶が、よりカトレアを苦しめ、鍛錬用のドレスに皺を作った。
そんな彼女を目の前に見ていたラピスは、僅かに眉を顰めると静かに口を開いた。
「最初は信じてもらえなかった。まぁ、当然といえば当然だよな」
「…………」
「だからこう言った。『どうしたら信じてくれる?』と」
涙を溜めながら段々と視線を下げたカトレアに対し、ラピスは小さく笑みを零す。
「そしたら、こう言ったんだ『自らの力で証明しなさい!』と」
「っ!?」
「本当、相変わらず貴族令嬢として規格外だよな。まぁ、剣を振るっている時点で規格外だが」
苦笑いを浮かべるラピスに、顔を上げたカトレアが涙を拭いて笑みを浮かべた。
「そうね。でも、普通の貴族令嬢なら容赦なく切り捨てるわよ。私なら迷わずそうするわ」
「た、確かに……」
「だけど、あの子はしなかった。その時点で信じていたのよ。あんたのことを。そして……私のことも」
(本当、あの子は相変わらずお人好しなんだから)
今のカトレアは、家族も何もかも奪われ、絶望に立たされた親友がどのような経緯で民のために剣を振るい、どんな思いで2人を信じようと思ったのか知らない。
それでも、彼女の根本的な性格が変わっていないことに安堵していた。
「それで、あんたはあの女と対峙したってわけね?」
「あぁ、団長が来なかったら今頃、俺は牢屋の中だったかもしれない」
「それはかなり困るからやめてちょうだい」
冗談にならないことを言うラピスに、カトレアが呆れたような顔をすると、不意にラピスの鍛えられた逞しい腕に目がいった。
「ちなみに、怪我とかしなかった? 相手は騎士団の精鋭部隊だったんでしょ?」
(それに加えて、あの場には王族直属の宮廷魔法師達もいたって……)
不安そうに見つめるカトレアに、ラピスが優しく微笑んだ。
「問題ない。フリージア嬢が無効化魔法を使ってくれたお陰で、かすり傷程度にしか負わなかった。もちろん、フリージア嬢にも大した傷は負わせていない」
「そう、なら良かった」
(きっと、フリージアが上手く立ち回って、それにラピスも合わせてくれたのよね。さすが、私の親友と婚約者様ね)
ラピスや平民を、ダリアや近衛騎士達から守った親友を誇らしく思う反面、自ら危険に飛び込む勇気にどうしようもなく心配になるカトレア。
だからこそ、より一層気合が入る。
「私も、早く感覚を取り戻さないといけないわね」
(少しでも早く、親友の隣に立つために!)
「そのためには、鍛錬一択ですね。カトレア嬢」
「師匠!」
いつの間にかガゼボに入ってきたロスペルが、真剣な表情でカトレアを見つめる。
「カトレア嬢、鍛錬を再開します。早速、準備に入ってください」
「はい、師匠!」
師匠の言葉に従って立ち上がったカトレアがガゼボから出ると、静かに立ち上がったラピスが、ロスペルに近づいた。
その屋敷の庭で魔法の鍛錬をしていたカトレアは、休憩がてらガゼボで紅茶を楽しんでいると、向かいに座っていたラピスから王都でのことを聞いて思わず声を上げた。
「えっ、その時にフリージアがいたの!?」
(まさか、フリージアがあの場にいたなんて!)
「まぁ、俺が到着した時には既にダリアと対峙していたけどな」
「そ、そう……」
目の前にいる婚約者が一番会いたいと分かっていたラピスは、唖然とするカトレアから目を逸らして頬を掻く。
すると、2人の間にある白い丸テーブルに焼き菓子が乗せられた。
「カトレア嬢。この屋敷が認識阻害魔法で外から見えなくなっているとはいえ、淑女として声を上げるのはいかがなものかと思いますよ」
「も、申し訳ございません、ロスペル師匠」
使用人が作った焼き菓子を持ってきたロスペルから注意を受け、落ち込んだカトレアが小さく頭を下げる。
そんな弟子を見て、深く溜息をついたロスペルは、淡い緑色の長い髪を1つに束ね直すと何かを取りに屋敷に戻った。
(あれっ? カトレアが声を上げたお陰で、ロスペル様にもフリージア嬢の名前が聞こえたはすだが、どうして深く追及しないんだ?)
実の妹の名前を聞いても動揺していないロスペルの背中に、ラピスは違和感を覚えつつ、視線をカトレアに移した。
「それで、簡単ではあるが俺とカトレアが記憶を取り戻したことと、今の俺たちが味方であることを伝えた」
「……フリージアは何て?」
(この2年間……いえ、5年間誰にも頼れない状況で孤独に戦ってきた。そんな彼女に突然『今の自分達は味方だ』と言っても信じてはもらえないわよね。改竄魔法と魅了魔法にかかっていたとはいえ、親友を罵倒して、挙句の果てに撃った私のことなんて尚更)
カトレアの脳裏に蘇る、魔物討伐の時に親友を『平民』と呼んで蔑んだ言葉と、得意の火属性魔法で親友を撃った記憶。
その記憶が、よりカトレアを苦しめ、鍛錬用のドレスに皺を作った。
そんな彼女を目の前に見ていたラピスは、僅かに眉を顰めると静かに口を開いた。
「最初は信じてもらえなかった。まぁ、当然といえば当然だよな」
「…………」
「だからこう言った。『どうしたら信じてくれる?』と」
涙を溜めながら段々と視線を下げたカトレアに対し、ラピスは小さく笑みを零す。
「そしたら、こう言ったんだ『自らの力で証明しなさい!』と」
「っ!?」
「本当、相変わらず貴族令嬢として規格外だよな。まぁ、剣を振るっている時点で規格外だが」
苦笑いを浮かべるラピスに、顔を上げたカトレアが涙を拭いて笑みを浮かべた。
「そうね。でも、普通の貴族令嬢なら容赦なく切り捨てるわよ。私なら迷わずそうするわ」
「た、確かに……」
「だけど、あの子はしなかった。その時点で信じていたのよ。あんたのことを。そして……私のことも」
(本当、あの子は相変わらずお人好しなんだから)
今のカトレアは、家族も何もかも奪われ、絶望に立たされた親友がどのような経緯で民のために剣を振るい、どんな思いで2人を信じようと思ったのか知らない。
それでも、彼女の根本的な性格が変わっていないことに安堵していた。
「それで、あんたはあの女と対峙したってわけね?」
「あぁ、団長が来なかったら今頃、俺は牢屋の中だったかもしれない」
「それはかなり困るからやめてちょうだい」
冗談にならないことを言うラピスに、カトレアが呆れたような顔をすると、不意にラピスの鍛えられた逞しい腕に目がいった。
「ちなみに、怪我とかしなかった? 相手は騎士団の精鋭部隊だったんでしょ?」
(それに加えて、あの場には王族直属の宮廷魔法師達もいたって……)
不安そうに見つめるカトレアに、ラピスが優しく微笑んだ。
「問題ない。フリージア嬢が無効化魔法を使ってくれたお陰で、かすり傷程度にしか負わなかった。もちろん、フリージア嬢にも大した傷は負わせていない」
「そう、なら良かった」
(きっと、フリージアが上手く立ち回って、それにラピスも合わせてくれたのよね。さすが、私の親友と婚約者様ね)
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だからこそ、より一層気合が入る。
「私も、早く感覚を取り戻さないといけないわね」
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「そのためには、鍛錬一択ですね。カトレア嬢」
「師匠!」
いつの間にかガゼボに入ってきたロスペルが、真剣な表情でカトレアを見つめる。
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