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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第335話 幸せの終わり
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――思えば、ノルベルトが暗躍していると気づいた時には、私はこの運命を辿るしかなかった。
幼い頃から読書と同じくらいの体を動かすことが大好きで、馬に乗って駆け回ったり、木剣で父や兄と模擬戦したりしていた。
そんな彼女の貴族令嬢らしくないお転婆ぶりを、家族や使用人、友人達は苦笑しつつも優しく見守り、婚約者であったメストは振り回されつつも彼女のことを心の底から愛していた。
もちろん、『宰相家令嬢』としてどこに出ても恥ずかしくない振る舞いが出来るよう、日頃から淑女教育や経済や外交などペトロート王国に関するあらゆる勉強を毎日欠かさずし、お茶会や夜会で社交界での情報戦を母ティアーヌと共にしていた。
だから、ノルベルトの目的が300年前に果たせなかった世界征服であり、その足掛かりとしてこの国に改竄魔法をかけ、インベック家にとって因縁の相手であるサザランス家を消そうとしていることを知っていた。
「前々からノルベルトが怪しい動きをしていたのは社交界での彼の立ち回りを見ていれば何となく推測出来たし、それをお父様も知っていたわ」
「じゃあ、どうして私たちに教えてくれなかったの? もし言ってくれれば、少しでも力になれたのに」
(そもそも、そんなことになっていたなんて全く知らなかった)
親友の異変に気づけなかったカトレアは、内心後悔しつつも心配そうに声をかける。
そんな彼女の顔を見て、フリージアは悔しそうにマグカップを握り締め、か細い声で答える。
「……まだ、確証が得られなかったからよ」
「確証?」
「そう、ノルベルトが本当に大それた野望を果たそうとしているか分からなかったのよ」
実は、レクシャを始めとしたサザランス公爵家がインベック伯爵家……特にノルベルトの動きを注視していたのだが、闇魔法使いを排出する家であり国の暗部を担う家である上、その時には既にノルベルトの改竄魔法で使用人達が彼の駒になっていたため、簡単には尻尾を掴ませてくれなかったのだ。
「そんなある日、手紙を持って朝早くに出られたお父様が、珍しく早く帰ってきたの。それも、自ら手綱を握ってね」
「「っ!?」」
それは、ある日の爽やかな朝だった。
2人の兄達より少しだけ遅く起きたフリージアは、日課である1人木剣を持って鍛錬をこなしつつ、翌日に控えた婚約者とのデートに胸を躍らせていた。
「メスト様から『明日は少し遠出をする』って聞いたけど……ウフフッ、久しぶりのデートだからとても楽しみだわ」
忙しい婚約者との久方ぶりの逢瀬に、フリージアがいつも以上に浮足立っていた時、屋敷に公爵家の家紋入りの馬車が慌てたように入ってきた。
(私以外の家族は全員お屋敷の中にいるから、お父様が戻ってきたのね。でも、こんなに急いで入ってくるなんて珍しいわね)
母ティアーヌとロスペルは朝食前のティータイムを楽しみ、リュシアンは次期当主として、領地から届いた書類を片付けていた。
そんな屋敷での家族の動きを把握していたフリージアは、馬車の中にいる人物が父だとすぐに分かった。
すると、屋敷の前に止まった馬車に近づいたフリージアが、思わず目を見開いた。
「お、お父様!? 一体何があったというのですか!?」
普段なら公爵家直属の御者であるマーティスが座っているそこには、公爵家当主である父レクシャが手綱を握って座っていた。
(この数時間で一体何があったというの!?)
宰相家当主としてはあるまじき行為を目の当たりし、フリージアが固まっていると屋敷から出てきた執事のインホルトが、御者台から降りてきたレクシャに慌ててかけよる。
「旦那様!? マーティスは一体どうしたのですか!?」
エドガスから執事の職を引き継いだインホルトが、当主が御者を務めている異常事態に、執事としての冷静沈着を忘れていると、険しい顔をしたレクシャがインホルトに指示を出す。
「インホルト、悪いがティアーヌとリュシアンに私の執務室に来るように伝えてくれ。リュシアンは既に執務室で仕事をしているだろうから。それと、マーティスに治癒魔法をかけてくれ」
「か、かしこまりました。旦那様」
主から指示に困惑しつつも深々と頭を下げたインホルトは、足早に屋敷に戻ると早速行動に移す。
それを見届けたレクシャは、隣に立っているフリージアをようやく視界に入れた。
「フリージア」
「は、はい!」
突然声をかけられた驚いたフリージアに、悲しい顔をしたレクシャが優しくお願いをする。
「すまないが、私と一緒に執務室に来てくれないか? 大事な話があるんだ」
「わ、分かりましたわ」
(一体、家族を集めて何を話すのかしら?)
この時、フリージアは御者台に座っていた父を見て嫌な胸騒ぎを覚えていた。
だが、この後レクシャの口から伝えられる話が、自分の人生を大きく左右するなど、翌日のデートに浮かれていたフリージアには思いも寄らなかった。
幼い頃から読書と同じくらいの体を動かすことが大好きで、馬に乗って駆け回ったり、木剣で父や兄と模擬戦したりしていた。
そんな彼女の貴族令嬢らしくないお転婆ぶりを、家族や使用人、友人達は苦笑しつつも優しく見守り、婚約者であったメストは振り回されつつも彼女のことを心の底から愛していた。
もちろん、『宰相家令嬢』としてどこに出ても恥ずかしくない振る舞いが出来るよう、日頃から淑女教育や経済や外交などペトロート王国に関するあらゆる勉強を毎日欠かさずし、お茶会や夜会で社交界での情報戦を母ティアーヌと共にしていた。
だから、ノルベルトの目的が300年前に果たせなかった世界征服であり、その足掛かりとしてこの国に改竄魔法をかけ、インベック家にとって因縁の相手であるサザランス家を消そうとしていることを知っていた。
「前々からノルベルトが怪しい動きをしていたのは社交界での彼の立ち回りを見ていれば何となく推測出来たし、それをお父様も知っていたわ」
「じゃあ、どうして私たちに教えてくれなかったの? もし言ってくれれば、少しでも力になれたのに」
(そもそも、そんなことになっていたなんて全く知らなかった)
親友の異変に気づけなかったカトレアは、内心後悔しつつも心配そうに声をかける。
そんな彼女の顔を見て、フリージアは悔しそうにマグカップを握り締め、か細い声で答える。
「……まだ、確証が得られなかったからよ」
「確証?」
「そう、ノルベルトが本当に大それた野望を果たそうとしているか分からなかったのよ」
実は、レクシャを始めとしたサザランス公爵家がインベック伯爵家……特にノルベルトの動きを注視していたのだが、闇魔法使いを排出する家であり国の暗部を担う家である上、その時には既にノルベルトの改竄魔法で使用人達が彼の駒になっていたため、簡単には尻尾を掴ませてくれなかったのだ。
「そんなある日、手紙を持って朝早くに出られたお父様が、珍しく早く帰ってきたの。それも、自ら手綱を握ってね」
「「っ!?」」
それは、ある日の爽やかな朝だった。
2人の兄達より少しだけ遅く起きたフリージアは、日課である1人木剣を持って鍛錬をこなしつつ、翌日に控えた婚約者とのデートに胸を躍らせていた。
「メスト様から『明日は少し遠出をする』って聞いたけど……ウフフッ、久しぶりのデートだからとても楽しみだわ」
忙しい婚約者との久方ぶりの逢瀬に、フリージアがいつも以上に浮足立っていた時、屋敷に公爵家の家紋入りの馬車が慌てたように入ってきた。
(私以外の家族は全員お屋敷の中にいるから、お父様が戻ってきたのね。でも、こんなに急いで入ってくるなんて珍しいわね)
母ティアーヌとロスペルは朝食前のティータイムを楽しみ、リュシアンは次期当主として、領地から届いた書類を片付けていた。
そんな屋敷での家族の動きを把握していたフリージアは、馬車の中にいる人物が父だとすぐに分かった。
すると、屋敷の前に止まった馬車に近づいたフリージアが、思わず目を見開いた。
「お、お父様!? 一体何があったというのですか!?」
普段なら公爵家直属の御者であるマーティスが座っているそこには、公爵家当主である父レクシャが手綱を握って座っていた。
(この数時間で一体何があったというの!?)
宰相家当主としてはあるまじき行為を目の当たりし、フリージアが固まっていると屋敷から出てきた執事のインホルトが、御者台から降りてきたレクシャに慌ててかけよる。
「旦那様!? マーティスは一体どうしたのですか!?」
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「インホルト、悪いがティアーヌとリュシアンに私の執務室に来るように伝えてくれ。リュシアンは既に執務室で仕事をしているだろうから。それと、マーティスに治癒魔法をかけてくれ」
「か、かしこまりました。旦那様」
主から指示に困惑しつつも深々と頭を下げたインホルトは、足早に屋敷に戻ると早速行動に移す。
それを見届けたレクシャは、隣に立っているフリージアをようやく視界に入れた。
「フリージア」
「は、はい!」
突然声をかけられた驚いたフリージアに、悲しい顔をしたレクシャが優しくお願いをする。
「すまないが、私と一緒に執務室に来てくれないか? 大事な話があるんだ」
「わ、分かりましたわ」
(一体、家族を集めて何を話すのかしら?)
この時、フリージアは御者台に座っていた父を見て嫌な胸騒ぎを覚えていた。
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