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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第347話 彼がいなくなった後
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「……ねぇ、エドガス。あなたがいなくちゃ、私はこれからどうやって生きていけばいいのよ?」
一頻り泣いたフリージアの呟きは、しんと静まり返った部屋に響く。
その後、木こりの仕事を休んだフリージアは、彼を火葬してお墓を作ると、そのままベッドに入って眠りについた。
それから1週間、フリージアは木こりの仕事をしなかった。
「エドガスが亡くなって1週間後、ようやく彼の死を受け入れた私は、彼の仕事を引き継いで仕事を再開したわ」
「それって、木こりの仕事を続けたってこと?」
「そうよ。それしか生きる手段が無かったから」
エドガスとの永遠の別れに、悲しみ暮れていたフリージアだったが、それでもお腹は空くので家にある食料で何とか飢えを凌いでいた。
それから1週間が経ち、食料が底をつきそうになった時、フリージアはエドガスが繋いでくれた命を大事にし、離れ離れになった家族と生きて再会するため、生命線である木こりの仕事を再開した。
「仕事を再開して、村人達に勝手に仕事を休んだ嫌味をさんざん言われた後、久しぶりに王都に来たの。そしたら、商業街に貴族の姿はほとんどなくて、貴族街と商業街の間には大きな壁が出来て、最初に見た時はとても驚いたわ」
「あぁ、ノルベルトが宮廷魔法師達に作らせたやつね。私は、あのアバズレ女の相手をしていたから行かなかったけど……確か『貴族が卑しい平民の姿を見るのは目に毒だから』とか言って強引に作ったのよ」
「相変わらずの平民嫌いね。それに、ダリアのことを『アバズレ女』って……一応、貴族令嬢なのだからはしたない言い方はしないで」
「良いじゃない。誰彼構わず股を広げる女を『アバズレ女』と呼んでなんて呼ぶのよ」
カトレアの容赦の無い毒舌に、苦笑したフリージアは親友のティーカップに紅茶を注ごうとティーポットに手を伸ばした。
その時、フリージアの伸ばした手をカトレアが遮った。
「カトレア?」
「フリージア、気を使わなくても良いわよ。だって、ここには私たちしかいないんだから」
「でもあなた、紅茶の淹れ方なんて知らないでしょ?」
心配そうに見つめるフリージアに、困ったように笑ったカトレアは、ティーポットの中身を手に取ると慣れた手つきでティーカップに注ぐ。
「それがね、あのアバズレ女が最近、『あんたの淹れた紅茶が飲みたい!』なんてワガママを言うようになったから覚えちゃったのよ」
「何やっているのよ、あのアバズレ女」
「そういうことだから、私に気を使わなくても良いわ」
「……分かったわ。カトレアにした仕打ちは途轍もなく腹が立つけど」
「同感だ。あの女が『宰相家令嬢』なんて身の程しらずの肩書を持って行ってなかったら、絶対に拳を出していた」
(ノルベルトの改竄魔法の影響とはいえ、現時点で『稀代の天才魔法師』と呼ばれているカトレア相手に何させているのよ)
ダリアの横暴ぶりを聞いて不快そうに眉を顰めるフリージアとラピス。
そんな2人を見て、小さく笑みを零したカトレアはティーポットを元の位置に戻すと、ティーカップの中身を少し飲み、フリージアに話を戻させた。
「すっかり様変わりしてしまった王都を目の当たりして、寂しさを覚えながらも、私は取引先に無断で休んでしまったことを謝罪して、1週間分の納品を済ませていたわ」
「それは、持って行く方も大変だし、お店の方も困ったんじゃないの?」
(一日でどれだけ納品するか知らないけど、きっとそれなりに多かったはずよ)
不安げに見つめるカトレアに、フリージアが頬を掻きながら笑った。
「持って行く方に関しては、村人達が王都に持って行く分が大量にあることは分かっていたから、納品分は私が屋敷から逃げる時に使ったマジックバックを使ったからそこまで大変じゃなかったわ」
「マジックバックに大量の木材……やけにシュールな光景ね」
「それじゃあ、荷台にはその村人達が持ってきた物を入れたってことか?」
「そうよ。案の定、荷台いっぱいに入れたけどね」
(お陰で、馬車の進むスピードが遅くなって、いつもより王都に到着するのが少し遅くなったのよね)
「でもまぁ、お店の人には『いきなりそんなに納品されたら困るよ』って怒られちゃったわ」
「そうでしょうね」
「だろうな」
「けれど、エドガスのことを話したら、みんな分かってくれて、快く納品分を受け入れてくれたわ。むしろ、『よく頑張ったわね』って同情してくれたわ」
「それだけ、エドガス様が慕われていたってことね」
「そうね」
エドガスが亡くなる半年前、体調を崩すようになったエドガスを案じ、フリージアは1人で仕事をこなすことが多くなった。
そのお陰か、彼が亡くなったこと後に再開した仕事で支障が出ることは、取引先への謝罪や取引先からのお𠮟り以外あまりなかった。
(それでも、エドガスがいないことがたまらなく嫌だったわ)
つい最近まで、当たり前のように傍にいてくれた人が今では帰らぬ人になってしまった。
その事実が、仕事を再開したばかりのフリージアの心に暗い影を落とす。
一頻り泣いたフリージアの呟きは、しんと静まり返った部屋に響く。
その後、木こりの仕事を休んだフリージアは、彼を火葬してお墓を作ると、そのままベッドに入って眠りについた。
それから1週間、フリージアは木こりの仕事をしなかった。
「エドガスが亡くなって1週間後、ようやく彼の死を受け入れた私は、彼の仕事を引き継いで仕事を再開したわ」
「それって、木こりの仕事を続けたってこと?」
「そうよ。それしか生きる手段が無かったから」
エドガスとの永遠の別れに、悲しみ暮れていたフリージアだったが、それでもお腹は空くので家にある食料で何とか飢えを凌いでいた。
それから1週間が経ち、食料が底をつきそうになった時、フリージアはエドガスが繋いでくれた命を大事にし、離れ離れになった家族と生きて再会するため、生命線である木こりの仕事を再開した。
「仕事を再開して、村人達に勝手に仕事を休んだ嫌味をさんざん言われた後、久しぶりに王都に来たの。そしたら、商業街に貴族の姿はほとんどなくて、貴族街と商業街の間には大きな壁が出来て、最初に見た時はとても驚いたわ」
「あぁ、ノルベルトが宮廷魔法師達に作らせたやつね。私は、あのアバズレ女の相手をしていたから行かなかったけど……確か『貴族が卑しい平民の姿を見るのは目に毒だから』とか言って強引に作ったのよ」
「相変わらずの平民嫌いね。それに、ダリアのことを『アバズレ女』って……一応、貴族令嬢なのだからはしたない言い方はしないで」
「良いじゃない。誰彼構わず股を広げる女を『アバズレ女』と呼んでなんて呼ぶのよ」
カトレアの容赦の無い毒舌に、苦笑したフリージアは親友のティーカップに紅茶を注ごうとティーポットに手を伸ばした。
その時、フリージアの伸ばした手をカトレアが遮った。
「カトレア?」
「フリージア、気を使わなくても良いわよ。だって、ここには私たちしかいないんだから」
「でもあなた、紅茶の淹れ方なんて知らないでしょ?」
心配そうに見つめるフリージアに、困ったように笑ったカトレアは、ティーポットの中身を手に取ると慣れた手つきでティーカップに注ぐ。
「それがね、あのアバズレ女が最近、『あんたの淹れた紅茶が飲みたい!』なんてワガママを言うようになったから覚えちゃったのよ」
「何やっているのよ、あのアバズレ女」
「そういうことだから、私に気を使わなくても良いわ」
「……分かったわ。カトレアにした仕打ちは途轍もなく腹が立つけど」
「同感だ。あの女が『宰相家令嬢』なんて身の程しらずの肩書を持って行ってなかったら、絶対に拳を出していた」
(ノルベルトの改竄魔法の影響とはいえ、現時点で『稀代の天才魔法師』と呼ばれているカトレア相手に何させているのよ)
ダリアの横暴ぶりを聞いて不快そうに眉を顰めるフリージアとラピス。
そんな2人を見て、小さく笑みを零したカトレアはティーポットを元の位置に戻すと、ティーカップの中身を少し飲み、フリージアに話を戻させた。
「すっかり様変わりしてしまった王都を目の当たりして、寂しさを覚えながらも、私は取引先に無断で休んでしまったことを謝罪して、1週間分の納品を済ませていたわ」
「それは、持って行く方も大変だし、お店の方も困ったんじゃないの?」
(一日でどれだけ納品するか知らないけど、きっとそれなりに多かったはずよ)
不安げに見つめるカトレアに、フリージアが頬を掻きながら笑った。
「持って行く方に関しては、村人達が王都に持って行く分が大量にあることは分かっていたから、納品分は私が屋敷から逃げる時に使ったマジックバックを使ったからそこまで大変じゃなかったわ」
「マジックバックに大量の木材……やけにシュールな光景ね」
「それじゃあ、荷台にはその村人達が持ってきた物を入れたってことか?」
「そうよ。案の定、荷台いっぱいに入れたけどね」
(お陰で、馬車の進むスピードが遅くなって、いつもより王都に到着するのが少し遅くなったのよね)
「でもまぁ、お店の人には『いきなりそんなに納品されたら困るよ』って怒られちゃったわ」
「そうでしょうね」
「だろうな」
「けれど、エドガスのことを話したら、みんな分かってくれて、快く納品分を受け入れてくれたわ。むしろ、『よく頑張ったわね』って同情してくれたわ」
「それだけ、エドガス様が慕われていたってことね」
「そうね」
エドガスが亡くなる半年前、体調を崩すようになったエドガスを案じ、フリージアは1人で仕事をこなすことが多くなった。
そのお陰か、彼が亡くなったこと後に再開した仕事で支障が出ることは、取引先への謝罪や取引先からのお𠮟り以外あまりなかった。
(それでも、エドガスがいないことがたまらなく嫌だったわ)
つい最近まで、当たり前のように傍にいてくれた人が今では帰らぬ人になってしまった。
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