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第7章 余興と奇貨の建国祭
第393話 あなたに伝えたいこと
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「そう、あなたが言うならそうなのね」
フリージアの言葉に救われたカトレアは、安堵したような笑みを浮かべるとティーカップに口を付ける。
すると、フリージアはふと、建国祭が近いことを思い出す。
「そう言えば2人とも、休日とはいえ、建国祭が近いのにここにいていいの?」
(確か、この時期って騎士団も宮廷魔法師団も忙しかったはず。お父様も建国祭の準備が始まったらずっと王城に泊まっていたし、メスト様だって……)
2ヶ月前、メストから『建国祭が終わるまで忙しいから来られない』と言われたフリージアは、メストと同じ近衛騎士であるラピスと宮廷魔法師であるカトレアも、メストと同じように建国祭の準備で忙しいのではないかと心配した。
そんな彼女の心配総中を見て、顔を見合わせた2人が揃って苦笑するとフリージアの方を見た。
「それなら大丈夫よ。あなたも知っていると思うけど、ノルベルトが宰相になってから、建国祭は王族と貴族のみが祝った。だから、国を挙げてやっていたあの頃に比べたらたいしたことはないわ」
「そ、そう……?」
「それに、警備の方は当日の動きさえ確認しておけば問題ない。まぁ、隊長クラス以上の騎士は、当日の動きを決めないといけないから大変そうだが」
「そうなのね」
(確かに、あの男が宰相になってから建国祭は王族と貴族のみが行うものになったから、お父様が宰相をしていた頃に比べればたいしたことはないわね)
レクシャがまだ宰相だった頃の建国祭と、ノルベルトが宰相になった時の建国祭を思い出し、フリージアが思わず苦笑すると、突然カトレアとラピスから笑みが消えた。
「けど、今年の建国祭はノルベルトにとって世界征服の足掛かりになる大事な行事。そして、この国を元に戻したい私たちにとって一世一代の大チャンスなの」
「あぁ、むしろ俺らはそっちに力を注いでいる」
「そうね」
先程聞いた話を思い出し、眉を顰めたフリージアが静かに拳を握ると、不意に満天の星空の下でメストが話してくれたことが頭を過った。
「でも、ラピスさんって確か、建国祭当日って近衛騎士は王族護衛につくのよね?」
「あぁ……って、どうして知っているんだ? 俺、話してないよな?」
疑うように目を細めたラピスの問いに、カトレアがあっさりと答えた。
「それはもちろん、メスト様から聞いたからでしょ?」
「え、えぇ、そうね」
「何をやっているんだ、あの人は」
(あの人はフリージアの記憶が無いはずなのに、どうしてそんな大事なことをフリージア嬢に話してしまっているんだ)
普段は騎士らしく毅然としているメストの失態に、これをフェビルに話そうか頭を抱えるラピス。
そんな彼を内心気の毒思いながら、フリージアは静かに問い質す。
「それで、ラピスさんは王族護衛につくなら、お父様の作戦に協力することは出来ないんでじゃないの? それに、カトレアだって宮廷魔法師の仕事があるんじゃないの?」
「私は問題ないわ。どさくさ紛れに持ち場を離れればいいだけだから」
「そ、そう……」
得意げに答えたカトレアに、フリージアが口元を引き攣らせていると、そっと頭を上げたラピスは小さく笑みを浮かべた。
(まぁ、団長から『フリージア嬢になら話して良い』って言っていたから話すか)
「それなら、団長が俺を王族護衛から外してくれたから問題ない」
「確かに、フェビル団長ならお父様の協力者だからラピスさんを外すくらい造作もないわね」
「ただ、この護衛に問題があるんだ……」
そう言うと、ラピスは数日前にフェビルから聞いた話をフリージアに話した。
◇◇◇◇◇
「……つまり、ノルベルトは、自分にとって邪魔な人達を消すためにメスト様達に王族護衛を任せたの?」
「そういうことだ」
「っ!」
ラピスから一通り話を聞いたフリージアは、冷たい殺気を放った。
(本当に何を考えているの!? あのアホ貴族! 改竄魔法があれば殺さなくたっていいじゃないの!……いや、全然良くないんだけどね!)
フリージアが握った拳を怒りで震えさせていると、カトレアがそっとフリージアの握った拳を優しく包んだ。
「カトレア?」
「フリージア。私も今、初めて聞いたから今のフリージアと全く同じ気持ちよ」
「カトレア……」
「……俺も」
「えっ?」
フリージアの視線がラピスに移る。
「俺も初めて聞いた時は、今のフリージア嬢と同じ気持ちだった」
「ラピスさん……」
悔しそうに顔を歪めるラピスと、その隣で小さく下唇を噛んだカトレアが怒りに堪えているのを見て、フリージアは殺気を放つのを止めた。
すると、突然険しい顔をしたカトレアが、ラピスとアイコンタクトを交わすと、フリージアからそっと手を離した。
「カトレア、どうしたの?」
「フリージア。今日は、あなたにどうしても伝えたいことがあったから来たの」
「えっ?」
(2人が来た理由って、建国祭でのノルベルトとお父様の動きを私に伝えることじゃなかったの?)
小首を傾げるフリージアに、カトレアは少しだけ顔を歪ませると小さく息を吐いた
(本当は『建国祭の日、黙って帝国に逃げて欲しい』と言いたい。でも、それを言ってしまっては、後で知ったフリージアが傷つくのは目に見えている)
カトレアはフリージアにレクシャから託されたことを言うのが嫌で、この家に来てからずっとはぐらかしていた。
それを分かっていたラピスは、黙って待っていた。
けれど、フリージアと話しているうちにカトレアはようやく彼女に伝える覚悟を決めた。
それでも言うのは怖くて、膝の上に置いたカトレアの手が恐怖で小刻みに震える。
すると、それに気づいたラピスが彼女の手をそっと包み込む。
(ラピス……)
(大丈夫、俺がついている)
彼の大きな手の温かさに勇気をもらい、カトレアはいつになく真剣な表情で口を開く。
「フリージア、心して聞いてちょうだい」
それは、ワケアリ平民の生活に終わりを告げるものだった。
「あなたにノルベルトの魔の手が迫っているわ」
フリージアの言葉に救われたカトレアは、安堵したような笑みを浮かべるとティーカップに口を付ける。
すると、フリージアはふと、建国祭が近いことを思い出す。
「そう言えば2人とも、休日とはいえ、建国祭が近いのにここにいていいの?」
(確か、この時期って騎士団も宮廷魔法師団も忙しかったはず。お父様も建国祭の準備が始まったらずっと王城に泊まっていたし、メスト様だって……)
2ヶ月前、メストから『建国祭が終わるまで忙しいから来られない』と言われたフリージアは、メストと同じ近衛騎士であるラピスと宮廷魔法師であるカトレアも、メストと同じように建国祭の準備で忙しいのではないかと心配した。
そんな彼女の心配総中を見て、顔を見合わせた2人が揃って苦笑するとフリージアの方を見た。
「それなら大丈夫よ。あなたも知っていると思うけど、ノルベルトが宰相になってから、建国祭は王族と貴族のみが祝った。だから、国を挙げてやっていたあの頃に比べたらたいしたことはないわ」
「そ、そう……?」
「それに、警備の方は当日の動きさえ確認しておけば問題ない。まぁ、隊長クラス以上の騎士は、当日の動きを決めないといけないから大変そうだが」
「そうなのね」
(確かに、あの男が宰相になってから建国祭は王族と貴族のみが行うものになったから、お父様が宰相をしていた頃に比べればたいしたことはないわね)
レクシャがまだ宰相だった頃の建国祭と、ノルベルトが宰相になった時の建国祭を思い出し、フリージアが思わず苦笑すると、突然カトレアとラピスから笑みが消えた。
「けど、今年の建国祭はノルベルトにとって世界征服の足掛かりになる大事な行事。そして、この国を元に戻したい私たちにとって一世一代の大チャンスなの」
「あぁ、むしろ俺らはそっちに力を注いでいる」
「そうね」
先程聞いた話を思い出し、眉を顰めたフリージアが静かに拳を握ると、不意に満天の星空の下でメストが話してくれたことが頭を過った。
「でも、ラピスさんって確か、建国祭当日って近衛騎士は王族護衛につくのよね?」
「あぁ……って、どうして知っているんだ? 俺、話してないよな?」
疑うように目を細めたラピスの問いに、カトレアがあっさりと答えた。
「それはもちろん、メスト様から聞いたからでしょ?」
「え、えぇ、そうね」
「何をやっているんだ、あの人は」
(あの人はフリージアの記憶が無いはずなのに、どうしてそんな大事なことをフリージア嬢に話してしまっているんだ)
普段は騎士らしく毅然としているメストの失態に、これをフェビルに話そうか頭を抱えるラピス。
そんな彼を内心気の毒思いながら、フリージアは静かに問い質す。
「それで、ラピスさんは王族護衛につくなら、お父様の作戦に協力することは出来ないんでじゃないの? それに、カトレアだって宮廷魔法師の仕事があるんじゃないの?」
「私は問題ないわ。どさくさ紛れに持ち場を離れればいいだけだから」
「そ、そう……」
得意げに答えたカトレアに、フリージアが口元を引き攣らせていると、そっと頭を上げたラピスは小さく笑みを浮かべた。
(まぁ、団長から『フリージア嬢になら話して良い』って言っていたから話すか)
「それなら、団長が俺を王族護衛から外してくれたから問題ない」
「確かに、フェビル団長ならお父様の協力者だからラピスさんを外すくらい造作もないわね」
「ただ、この護衛に問題があるんだ……」
そう言うと、ラピスは数日前にフェビルから聞いた話をフリージアに話した。
◇◇◇◇◇
「……つまり、ノルベルトは、自分にとって邪魔な人達を消すためにメスト様達に王族護衛を任せたの?」
「そういうことだ」
「っ!」
ラピスから一通り話を聞いたフリージアは、冷たい殺気を放った。
(本当に何を考えているの!? あのアホ貴族! 改竄魔法があれば殺さなくたっていいじゃないの!……いや、全然良くないんだけどね!)
フリージアが握った拳を怒りで震えさせていると、カトレアがそっとフリージアの握った拳を優しく包んだ。
「カトレア?」
「フリージア。私も今、初めて聞いたから今のフリージアと全く同じ気持ちよ」
「カトレア……」
「……俺も」
「えっ?」
フリージアの視線がラピスに移る。
「俺も初めて聞いた時は、今のフリージア嬢と同じ気持ちだった」
「ラピスさん……」
悔しそうに顔を歪めるラピスと、その隣で小さく下唇を噛んだカトレアが怒りに堪えているのを見て、フリージアは殺気を放つのを止めた。
すると、突然険しい顔をしたカトレアが、ラピスとアイコンタクトを交わすと、フリージアからそっと手を離した。
「カトレア、どうしたの?」
「フリージア。今日は、あなたにどうしても伝えたいことがあったから来たの」
「えっ?」
(2人が来た理由って、建国祭でのノルベルトとお父様の動きを私に伝えることじゃなかったの?)
小首を傾げるフリージアに、カトレアは少しだけ顔を歪ませると小さく息を吐いた
(本当は『建国祭の日、黙って帝国に逃げて欲しい』と言いたい。でも、それを言ってしまっては、後で知ったフリージアが傷つくのは目に見えている)
カトレアはフリージアにレクシャから託されたことを言うのが嫌で、この家に来てからずっとはぐらかしていた。
それを分かっていたラピスは、黙って待っていた。
けれど、フリージアと話しているうちにカトレアはようやく彼女に伝える覚悟を決めた。
それでも言うのは怖くて、膝の上に置いたカトレアの手が恐怖で小刻みに震える。
すると、それに気づいたラピスが彼女の手をそっと包み込む。
(ラピス……)
(大丈夫、俺がついている)
彼の大きな手の温かさに勇気をもらい、カトレアはいつになく真剣な表情で口を開く。
「フリージア、心して聞いてちょうだい」
それは、ワケアリ平民の生活に終わりを告げるものだった。
「あなたにノルベルトの魔の手が迫っているわ」
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