変愛

絢麗夢華。

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1.0/露璃恨・過去

露璃恨・過去:4

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ただそれだけの簡単な動作を、わざわざ当たるように狙ったのに、俺には出来なかった。

ボールを蹴ったと思った次の瞬間、世界は反転する。
世界がそんな急に動くなんて事はもちろん無く、ボールを上手く蹴れず、滑った俺が、頭から後ろ向きに地面へと近づいていってるだけだった。
やっぱりこんなことしなければ良かったと、後悔しかけたその時だった。

「お兄さん、大丈夫?」

と、近くにいた小学生の女の子が俺に手を差し伸べる。
女性に触れると、何か良くない事が起こると身をもって実感していた俺だったが、好意を無下にする訳にもいかないと、おそるおそる掴まらせて貰う。
とはいえ、本当に彼女に全体重を任せてしまうと彼女が俺の方に倒れてしまう為、もう一方の手で地面から体をあげ、補助程度に彼女の好意を受け取る。

「ごめんなさい。わたしから言っておきますね。」

笑いを隠しきれない小学生の男子共に、その子は注意をし始めた。
「元といえば皆が強く飛ばしすぎたせいでしょ?ちゃんと謝りなよ。」

「ごめんなさーい」

小学生達の声が聞こえて来た。

「上手く返してあげられないでごめんね。」

久々に大声を出した為、少し喉が痛かったけれど、その日の俺は気分よく家に帰れた。

そういえば、女子に触れると、何かが起こるという件は、語る程の話でもないのだけけど、掃除の時間にバケツを運んでいた俺に 、後ろを向いていた箒だけ持って他クラスの女子と喋っているクラスメイトの女子がぶつかって来たと言うだけの話だった。それ自体は事故だしそうならないように俺は、「危ない」ときちんと声を出したはずなのだけど、大声で喋っていたその女子達には聞こえなかったようで、逆に理不尽な怒りを買ったと言う話だった。

まず、そこにいた他クラスの女子が、「ぶつかったらまず謝れよ。」「ちゃんと気をつけて歩け。」と、俺に向かって言ってきた。お前らは自分達が言われるべきことを何故俺に言うのかと腹立たしかったが、ここで彼女達に罵声を浴びせても仕方がない。一応謝ることにした。余計なトラブルの元となるくらいなら俺が罪を被ればいい。いつの間にか身に付いた処世術だった。

でも、この事件はそれだけで終わらなかった。

「すみません。」と謝った俺に、「誠意が感じられない。」「悪いと思ってるの?」と友人達が捲し立てる。誠意など無いに決まっているだろう。なんで俺が責められる立場なのだと、内心かなり怒りが湧いていた俺だったが、この時はまだ我慢していた。
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