一方的に婚約破棄してきたくせに私ともう一度婚約だなんて、馬鹿にしないでください

よるひこ

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乱入者

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公爵邸の中庭に設置された椅子とテーブル。テーブルにはメイドが淹れてくれた紅茶が置かれてあります。それは既に冷えきってしまいました。共に並べられたお茶菓子は手つかずです。

今、私の目の前には無言で無表情で座る王太子が居ます。いいえ無表情とは少し違いますね。付き合いの長い私は、その顔は不機嫌そのものであることを理解してました。

エドワード様。王太子様。かつての私の婚約者。一度は破棄となったものの、またも婚約者となったお相手。
その方が、今公爵邸の庭におられるのです。
勿論私が呼んだわけではありません。エドワード様が好き好んでやって来たわけでもありません。

「・・・父上に殴られた」

ボソッと言った彼の顔を見れば、確かに頬が赤い。かつてエドワード様が私を殴ったように、エドワード様も王に殴られたのでしょう。

いい気味です。・・・なんて言おうものなら彼の怒りはますます大きくなるでしょうから、ここは黙っておくのが賢明でしょう。

「証拠もなく勝手に婚約破棄したうえに幽閉して処刑とはなにごとだ、とな」
「・・・」
「だが僕は知ってるぞ、本当にお前がやったことを僕は知ってるんだ!リリーが嘘をつくわけがないんだ!彼女のドレスは確かに破られていたし、彼女の体には痛々しい痣があった!お前がやったのでなければ誰がやったというのだ!」
「そんなこと・・・私には分かりません」

思い出されるのは、エドワード様の背後でほくそ笑んでいたリリー嬢の顔。あの顔を見れば、彼女の考えなんて直ぐに分かるというもの。けれどエドワード様は私の言葉には耳を貸さず、リリー様の言葉だけを信じておられます。そんな方に何を言ったところで無駄なのでしょう。

「父上の命だから仕方なくお前と再び婚約するが、絶対証拠を掴んでやるからな。そうしたらまた直ぐに婚約破棄して処刑してやる」

どうして私のことを簡単に処刑するだなんて言う人と婚約しなければいけないのかしら。私の心は絶望に染まっていきます。

不意に来客の知らせが届きました。
私に?今日はエドワード様が来るから誰とも約束してないはずなのだけど。うっかり約束が重なってしまったのかしら?首を傾げていれば、何やら騒がしい声が聞こえてきました。

「お待ちください!まだお嬢様の許可が・・・!」
「必要ないわよ!私はエドワード様の恋人なのだから!エドワード様が呼んだのだから許可なんて必要ないでしょ?」

聞き覚えのない声。ですが会話の内容で全てを察しました。

「来たか」

呟いて立ち上がるエドワード様。

「エドワード様!」

直後姿を現したその方は、駆け寄って来て・・・そのままの勢いでエドワード様に抱きつくのでした。

「リリー、よく来たね」
「会いたかったですエドワード様!」
「僕も会いたかったよ、リリー」

リリー男爵令嬢。
その方がやって来たのでした。
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