もふもふ詐欺にあいました

シンさん

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もふもふなんて嫌い

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動物ってモフモフしてるものばかりじゃないよね。そういえば…。

もさもさ、ぼさほさ、ぱさぱさ、チクチク、ザラザラ、なんでもあるじゃない。

くだらない事を考えていると国境に着いた。
ここからは私以外は入れない。

迎えに来てるのは、犬の耳っぽいものが頭についた青年。

「よろしくおねがいします。」
「よろしく。じゃあ行くぞ。」
「え、貴方1人なの?」
「うん。」

もう少し丁寧に出迎えて欲しいわ。

「その耳って…」
「俺は狼だから耳がつくんだ。」

モフモフは全体的に動物ではないの?これじゃ頭にモフモフした何かをつければ、私もモフモフになるって理論にならない?

獣人?

そんなのモフモフじゃないわ。ただのおまけ付き人間よ。
耳なんてカチューシャしてればいい話じゃない。

「…貴方には人間の耳もあるの?」

「ある。」

ほぼ人間…

「貴方はモフモフなの?」

「もふもふって何?」

「今となっては私もわからないわ。」

「俺もわからない。毛並みだったら、俺の耳はもさもさしてる。」

「じゃあ、もさもさだね。」

「うん。」

何この会話。




連れてこられたのはお城。

道すがら、モフモフした動物なんて1匹たりとも見当たらなかったわ。

みんな人間よ。

「貴方だけ狼なの?」

「……」

「狼なんだよね?」

「……」

「まさか人間なの?」

「……」

私は耳を軽く引っ張ってみた。するとスコンと耳つきカチューシャが取れた。

作り物……。しかも、私が考えてたレベルの変装。

「私はモフモフと仲良くできるって聞いて、喜んで来たのだけど。」

「『もふもふ』って何か知らないけど、ここは神獣様がいるだけで、人間の国だ。」

「王子様が神獣でモフモフなの?」

「いや、俺は違う。」

俺?

「…まさか貴方が王子様?」

「そうだ。」

「モフモフ詐欺っ!!」

「何が?」

「だって、モフモフと仲良くなれる国だってきいたから来たのに!!」

「モフモフしてればいいんだろ?どれがいい?」

「なによ、どれがいいって。」

連れてこられた部屋、そこにある机の上には沢山の動物の毛皮が並んでいる。

「人間は動物の毛皮まではさすがに食べないから、残り物が沢山あるんだよ。さ、選んでくれたら俺はそれを着ることにする。」

「……いや、違うの。私は動物達と仲良く…」

「サラと結婚出来るなんてうれしいよ。」

「しないわ…。人間と結婚なんてっ!」

「えー、モフモフだったらいいって言ったのに。」

モフモフとはなんなの…。

「これね、狼の毛皮。」

王子さまがそれを羽織った。

「で、これはウサギ。」

そう言って白い毛皮を羽織らされた。

「サラは狼に食べられる、うさぎちゃんなんだよ。」

モフモフの毛皮を着た王子に抱き締められた。


「モフモフって何かしらないけど、サラを捕まえるいい餌にはなったよ。」

「餌…って、モフモフなんて大嫌いよ!」

「じゃあ、人間が好きになったって事で。」

左手をとって、スッと薬指に指輪をはめられた。

「俺と結婚して下さい。」

「一生毛皮を来てくれるならね。」

「狼でいい?」

「それは嫌よ。」


結局私は人間に嫁ぐ事になったのでした。
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