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むかつく2

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「んんっーー!!」

はなせっ!オッサンっ!!
まずい!馬車に乗せられたら終わりだ!

「そう、暴れないでください。何にもしませんよ。」

この時点で、もう何かしてるし!!

「ぅんーっ!」

叫んでもまわりに人がいない!
裏道なんて通るんじゃなかった!今日は厄日だーー!!

「おい!あれ、アリス様だっ!」
「そこの馬車!待てっ!!」

衛兵っ?もしかして、私を追いかけてきてた?よかったー!

「騎馬じゃなければ追い付けるわけあるまいに。」

なんてこった…!

「んーーっんっ!」
「じたばたするな。」

バタンッ
まずい!馬車の扉閉められた!

馬車がものすごく揺れてる。きっと凄いスピードではしってるんだ。街を出られたら困る!

「…んっ!?」
「場所を知られても困るのでね。」

そういって、白い布で目隠しされた。しかも、猿ぐつわまで!本格的すぎるぞっ!!
進行方向と逆に座らせられたら、もう感覚すらつかめないっ!


…っ一体私が何をしたっていうんだーーっ!!




「この近辺の兵士は検問だ!!通る馬車の中を全て確認しろ!俺はファビアン様に報告する!」



・・・・

「…っアリスが連れ去られただと!?」

「はい。さきほど追いかけていた衛兵が見ています。」

「何処だっ!どこに連れていかれた!!追いかけてるんだろうな!」

「それが…誰も馬にのっておらず、後を追えてはいません。ただいま街を走る馬車に検問を。」

「そんなのんびりしてる場合じゃないっ!誘拐なんて、時間がたてばたつほど殺される確率はあがる!解らぬわけじゃないだろうっ!!」

「申し訳ございませんっ!」


「…すまない。八つ当たりだ。演習場にいる騎士、総出でさがせ。」

「畏まりました!」

俺がくだらない事をしなければ出ていく事もなかった。そうすれば、こんな事にならなかった…。

「……」

探しに行きたいが、やらなければいけない事は山ほどある。
王である自分の行動は国の責任になる。明日やるでは済まない事もある。
王でなければ、心のままに動けたのに…。
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