ごめんなさい。人間に化けてた嘘つき魔王と結婚なんてムリです!

シンさん

文字の大きさ
21 / 72

ちからもち2

しおりを挟む

「リディア大丈夫だよ。」
「…メンフィスさま」
よかった、来てくれた!

ゴロゴロ…
バチバチッ
ドーーッン

「雷だー!」
「教会に落ちたぞー!」
「ぅわあ、地震だぁーー!」

え?これは…メンフィス様が原因だよね…。
「っ!?」
笑顔だけど、ものすごく怒ってる!?
「メンフィス様!落ち着いて下さいっ!私は
大丈夫ですから。」
「……」
聞こえてない?ここまできて、『よしよし』とか『ぎゅ』って抱きしめても止まらなそうだわ。
とりあえずやってみたけど、やっぱりダメ…。

どうしよう、土砂降りになってきたわ…。
これって1ヶ月くらい続くって言ってたよね。

なんとかしないと、この国1番の街が崩れるわ。

「メンフィス様!!」

「あ~らら、魔王様は偉くお怒りね。何をしたらこんな事になるの。」
「っ貴女は悪魔の…婚約者。メンフィス様に助けを求めたらこんな事に…」
「助け…あぁ、なるほど。」
「どうしたらいいですか?メンフィス様をとめて下さい!」
「そのまま放っておけば?そのうち何とかなるわよ。」
「そのうちって、そんな事してたら街が!」
「解らない子ね…。私は悪魔なの、そしてその王様がメンフィスなの。どうにか出来る
相手じゃないのよ。婚約者リディアの願いでもね。」
「でも、この前は何とかなったわ!頭を撫でたり、抱き締めたら!でもダメだったの!」

「……へぇ」

「何かあるの?」

「口付けでもしてごらんなさい。きっと止まるわよ。」

「…っくち!?」

「ええ、驚いて目を覚ますわよ。駄目で元々でしょ。やってみなさい。」

「…ちょっと待って、私は婚約者じゃないし
恋人でもないのに、そんなのイヤよ。」

「早くしないと、溶けるわよ。」

「溶ける?」

「これ、酸の雨に変わるわよ。」
「酸っ!?」
「痛いでしょうねぇ」
「痛いとかそんなどころじゃないわよ!」

もぉ~、仕方がない!

「やるわよ!やってみるわよ!…けど身長差が」
「これでいいでしょ?」
「え!?わっ…」

何をどうしたのかわからないけど、浮いてるよね…。

「早くしなさい。」
「っメンフィス様!っこれ以上は止めてください。」

口付け…ってよくわからないし、まさに言葉のまま、ぎゅっと口を押し付けてみた。

何か変化が起きるまで、ずっとそうしていた。


小雨になってきたから、とりあえず離れてみたけど…これで何とかなるの?

「メンフィス、落とすわ、捕まえて。」
捕まえる?
「きゃっ!?」
「リディア!」

さっきまでフワっと浮いてたのに、急にそれがなくなってメンフィス様に抱上げられた
感覚に変わった。

「メンフィス様っ離して下さい!」

魔王様…また照れてるわ…。

「…本当は確信犯なんじゃないの!?」
「そんな事はないよ。普通、口付けされたからってこんな風に戻らない。」
「くち…づ…け、…じゃないわよ。口を押し当てただけだし、好きだとか、そんな気持ちなんてないですからね!」

「口がくっついてたんだから、どんなのでも口付けじゃないの?リディアちゃん。」
「…っ違います!!…っ私の初めての口づけが、こんなのだなんてイヤです!」

「初めてかぁ…」
「何をニヤニヤしてるの!っ絶対にわざとでしょ!」
「違う、違う。イタタッ…リディア、肩をおもいっきり掴まないでくれ。さすがに俺でも痛い。」

「あ…」

そうだった、私には『力持ちの魔法』があるんだった!
それなら自分で倒せたんだわ。なのに魔王様を呼んで、こんな事に…。

「とりあえず邸に帰ろうか。」


邸に帰ると、やんす君が走って駆け寄ってきた。

「リディアさま!どうしたんですか!?びしょ濡れじゃないですか!早く着替えを、俺は風呂に湯をはってくるので。」

「うん。ありがとう。やんす君。」

やんす君といるのが1番楽だわ。1番人間に近い感覚がする。他はやっぱりお化けよ。

「…っ、もう2度とメンフィス様と2人で外出なんてさせませんからっ!!例えメンフィス様の命令であっても、リディアさまの命令じゃない限り、何処にでも付いて行きます!」
「やんす…、そんな意地悪な事を言わないでくれ…」
「意地悪じゃないです!さぁ、行きましょう、リディアさま。」
「うん…」


これから口づけしても、この事が頭を離れなくなりそう。
初めての口づけは魔王の暴走を止めるだけのものだった…て。

もう衝撃だよね。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...