ごめんなさい。人間に化けてた嘘つき魔王と結婚なんてムリです！

説明

コンコン

『はい』

「３日前にお会いしたモーガンと申します。」

メンフィス様が自分からモーガンって言うの、久しぶりに聞いたかも。
私の家に挨拶に来た時が最後。

苗字は適当につけてそう…。

そんなくだらない事を考えていたら、中からドタドタドタっと足音かして、男の子が出てきた。

「お父さん！お帰りっ！」

「……え!?」
「……メンフィスお父さん、…私は帰ります。家族水入らず、楽しい時間をお過ごし下さい！」
「待って！本当に違う！」
「お試しも何もかも終わりです。さよなら！」

メンフィス様に腕を捕まれたけど、私はそれを振り払った。

「説明って、子供の紹介？婚約だとか、好きだとか、さんざん言ってたのに最低よ！」

私は、口づけまでして暴走を止めたり頑張ったのに…

「これが１度目だったならまだ考える余地はあるけど、婚約者がいて、子供が産まれた話、その話があった後に『お父さん』の言い訳されたって、もう信じられないっ！」

走って外に出たけど、お金も持ってないし、前みたいに何かあったら困るし…。結局どこにも行けないよね。


「大丈夫かい？」
「……ええ。問題ありません。」
「君はパーティーに来ていた、モーガン侯爵の婚約者だろう？１人なのかい？」

とても身なりのいい、威厳のある男性。こんな人いたっけ？

「あの、申し訳ございません。私は貴方の事を憶えてなくて…」
「リディアっ!!……っ貴方は。」
「やぁ、モーガン侯爵」
「マイケル王、あれから具合はいかがですか？」
えっ…王様っ!?
「君から貰う薬が効いて、大分よくなったよ。」
「それは良かった。必要であればいつでも仰って下さい。すぐに調合いたしますので。」

「ああ、では来週また届けてくれるかな。」
「畏まりました。」
「それにしても侯爵、こんなに可愛い婚約者がいて羨ましいよ。」
「ええ。私は幸せ者です。」
「今は喧嘩でもしていたのかな？可愛い顔が泣きそうになっている。」
「…私…そこの階段で転びそうになってしまいまして。とても怖くて。」
「そうか。ふふ、仲良くするんだよ。では、私はこれで。」
「はい。」
喧嘩してたって見透かされてる…。