侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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公爵夫人3

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…思い出したわ。

お医者様が、お母様の飲んでるお薬と同じ物を持って馬車を下りたから、同じ病なら朝顔が見れないはずだって思って勝手に植えたのよ。
『馬車で待ってなさい』って言われたのを無視して。

「申し訳ございません。後先考えずに植えてしまって…。不法侵入者がいたかもしれないって、騒ぎになるのは当然ですよね。」
「気にしないで。あの日は久し振りに楽しかったから。ね、アイリス。」
「はい。」

2人ともご機嫌だけど、その理由は何かあるのかしら。ゴミ同然の物が庭に刺さってて、それで迷惑をかけているのに…。

「お姉様、私はこの花に感謝してるんです。」
「感謝…ですか?」
「私、毎日泣いていたんです。お母様はどんなによくなっても完治はしない、死ぬ確率の方が高いって聞いていたから。私がお母様を元気付けなければいけないのに、怖くて悲しくて…それが出来なかったんです。でも、ある日奇跡が起きました。」
「何が起きたのですか?」
「庭に突然花が咲いたんです。」
「……そのボロボロの花ですか?」

素敵な花なら美談になるけど、花に見えるかどうかギリギリの物なのに…。

「お姉様がこの花を作った理由をランプ先生から聞いて、私も頑張ろうと思ったんです。お母様の見る事の出来る世界が私より狭いのであれば、私が新しい物を作って見せればいいだけだって。お母様がこの花を見て笑っていたのを見て、そう思いました。」

アイリス様の気持ちはとてもよく解る。私もずっと泣いていたけど、お父様に言われたのよね。
『ルーナが笑顔でいる分だけ、お母様は元気になる』って。結局亡くなってしまったけど、今はその言葉にとても感謝してる。お母様に、私の泣き顔の記憶しか残らなかったら寂しいもの。

「ボロボロのお花ですが、少しでもお力になれたのなら本望です。」
「ふふ、お兄様はこのお花を見て『ある意味芸術だ』って褒めていました。」

それは褒めていないと思う…。

「お姉様、これを。」

そう言って、アイリス様はサイドテーブルに置いてある木箱を、私に手渡してきた。

「中を見てください。」
「……これ、もしかして」
「はい!あの時のお花です。」
「持っていてくださったのですね。」
「当然です!これは家宝ですから。」

…家宝!?

「あの…それは考え直した方がよいかと。その…『花と形容しがたい物』を家宝にするなんて…。」

私のゴミのような花が公爵家で引き継がれていくなんて、絶対に駄目よ!というか、私が恥ずかしいから止めてほしい!!
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