奪い寝

花蓮

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5月1日(麻里)

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寝て起きたら
彼の家だった
隣に彼の顔
彼の腕のなか

昨日、買い物してたら
ラインきて
会いたくなっちゃって
泊まったんだ。

お母さんにうそついちゃったんだ、ごめんね

黒猫がいるの
黒猫のお菓子をかって
赤いリボンを
首につけて

なのに、
彼の猫になれなかったのよ、私

昨日、自然と涙がでて
男の人の前でしか泣けないの
恋のことでしか泣けないの、私

ひどい男の人

何しに来たのかしら、私

私の初めてをあげたのに
浮気相手でもいい?
っていってきたの

いいわけないでしょう

私、好きなんだと思ってたわ
わたしを一番欲しいんだと思ってたわ

だから、あげたのに

泣いてる嗚咽が聞こえたらいやだから
ずっとキスして塞いでたの
だから、こんなに感触残ってるんだわ

私を忘れて欲しくないから
罪の証につけたの、キスマーク
忘れたくないから
彼の証につけたの、キスマーク

お風呂も、ごはんも、歯磨きもしてない
でも、いい

いいの

見送ってもらった
普通の会話をした
たのしかったはず
ギリギリ走って
汽車に乗った
大好きな友達がのってた
友達の家に泊まりに行くの

その日は、映画見て、ホットケーキいっぱいたべて
しゃべって、猫に登られて、笑って、カレー食べて、ゲームして

大好きな友達が
男ってやっぱりやだぁー
っていきなりいうから
私も言った
おっとりしたリスちゃんが(友達)どうしたのさー
っていうけど

いまは、いいの

お風呂に入って気づいた
あぁ、そうだ
彼の家にいたんだ

鏡の中にいる自分は
愛されてたんだ

彼も見てるかな

お風呂から上がってラインをした

すごい跡だねって

後悔した

もう切り替えよう

こんな返事望んでない

つめたすぎる
あんなに、あんなに
楽しい時間を過ごしたのに

身体だけだったのね、私

ちょっと泣きそう

さて、友達のとこにいこう

お風呂上がったから、はいれー

そこには、笑顔で
いつも通りの私がいた

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