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第三十六章 Bランク初級にランクアップ!
しおりを挟む赤いクラゲは偉そうに叫んだ。
「CランクとAランクとでは天地ほどの差があることを教えてやる!」
剣一は火炎花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣を手に持ち、火の海に揺るぎなく立つと、冷ややかに言った。
「みんな忘れているようだが、俺は植物系の血統で、植物系の攻撃法も心得ている。今まで使ったことはないが、今日ここで試してみよう」
「荊(けい)棘(きょく)束縛術!!!」
ザザッ!
大量の紫(し)磨(ま)金(ごん)色(じき)の水草が海の中から湧き上がり、葉を広げると、赤いクラゲに巻き付き固く握り締めた。赤いクラゲは慌てず、自分自身を燃やし、水草を焼き払おうとした。しかし彼女は水草に固く動きを封じられ、必死にもがきながら叫んだ。
「なんだこの水草は?なぜ燃えない?地球に私が燃やせない物があるなんて、ありえない!」
剣一は当然何も説明しないまま、火炎花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣を高く掲げ、十字の光を放ちながら赤いクラゲの頭に向かって斬り付けた。
ザッ!
「神殺王者十字閃電斬!」
剣一の雄叫びが響いた。
剣光が十字の光を描きながら、あっという間に赤いクラゲを切り捨てた。赤いクラゲの体は砕け散り、断末魔の叫びをあげた。
「ありえない!ありえない!」
「ふぅ~」
剣一はぐったりして火の海で片膝をつき、手に持った剣で地面を付いて体を支え、ひそかに思った。
「まさかここにも紫(し)磨(ま)金(ごん)の水草があるなんて。そうでなかったら三つの合わせ技を繰り出すことは絶対できなかった」
火の海の炎がうなりながら吹き出し、渦巻きのように一切を巻き込んだ。渦の中心には剣一がいて、炎は全て剣一の火炎花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣に吸い込まれた。
剣一が勢いよく頭を上げると、その両目には炎が燃え、体からは白い光が放たれていた。
システムの通知:上位のAランクの異星生物を倒すことに成功しました。割り振り可能な属性ポイント(ボーナス)650ポイント、特別ボーナス260ポイント
システムの通知:Cランク上級覚醒者にランクアップ、花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣はBランクにランクアップしました!
その時だった。
第十一星殿の上空に巨大な星空の割れ目が出現し、その中から無数の異星生物が空を揺るがす叫び声と共に無秩序に次々と飛び出した。
その生物の中には骨龍や巨大コウモリに乗った異星人や、刀剣や弓矢を持った獣人もいたが、ほとんどは普通の異星獣だった。
空中では骨龍の群れと巨大コウモリが人類の航空機と激しい戦闘を繰り広げていた。そのうち数機は煙を上げて墜落し、一機はコウモリを道連れに爆発し、全体的に人類の戦闘機は不利な状況にあった。
珊(さん)瑚(ご)の海の上空では、剣一、氷織、紅丸、そして炎の人が風を受けてたたずみ、遠方の状況を観察していた。
剣一は分析した。
「ほら、星空の亀裂はすでに陥落し、あそこから異星人と異星獣が無尽蔵に湧き出している」
脳裏に第九星殿が異星獣の群れの手に落ちた時の様子が浮かび、剣一は思わず指が手のひらに食い込んで血が出るほど固く拳を握り締めた。
炎の人も分析した。
「おそらく現在の主戦場は三箇所。一つ目は亀裂周辺の空間、主に飛翔獣が攻撃している」
氷織は法杖を固く握り、髪の毛を風になびかせ、眉をひそめた。
「二つ目は大広場、そして三つ目は私の父が堅守する第十一星殿の総殿に違いないわ」
紅丸が突如キーキー鳴き出したので、全員慌てて声の方を見ると、第十一星殿総殿で爆発があり、キノコ雲が立ち昇っていた。
氷織は紅丸を一目見ると、突然手に持っていた法杖を高く掲げた。紅丸はうなずいて了解したことを伝え、すぐに風を受け巨大化した。紅丸はどんどん巨大化する一方で、その二本の尾の間から三本目の尾を生やした。
氷織は紅丸に素早く跨がり、興奮気味に言った。
「やったわ、この瀬戸際で紅丸もBランクに昇格したのね!」
紅丸の眉間にある三本の線はパチパチという音と共に電紋がびっしりと浮かび、狼のように眉間に皺を寄せ、大声で叫ぶと、紅丸は猛スピードで総殿へ向かって飛んで行った。
炎の人は無理に笑顔を見せて言った。
「お嬢ちゃんとチビ狐は窮地で次々ランクアップし、Bランク中級まで到達した。祝福するべきなのか、憂慮するべきなのか…?」
剣一の背後に突然二本の花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣が出現した。片方は火炎の剣、もう片方は雷電の剣だった。
「彼女たちだけでなく、俺と俺のこの花(はな)蘇(ず)芳(おう)の双剣もランクアップしたぞ!」
システムによる表示:剣一はBランク初級に、花(はな)蘇(ず)芳(おう)の双剣はAランクにランクアップ、双剣は一つに合わせるとSランクになります
炎の人は両目を丸くし、称賛した。
「君は本当に怪物だな。立て続けに三ランク昇格してCランク上級になったと思ったら、あっという間にBランク初級に昇格するなんて。どうやったんだい?」
剣一は頭をかき、恥ずかしそうに言った。
「実は、システムがボーナスで煉化丸をくれたので、それで赤いクラゲから異星の発火源を精製したんです」
炎の人は大笑いし、火に変身すると「俺の目に狂いはなかった!」という言葉を残し、氷織と紅丸の後をびゅんと追って行った。
剣一は花(はな)蘇(ず)芳(おう)の双剣に足を乗せると「火の君、待ってください!」と同じように追いかけた。
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