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33・おっさん臭いって、嫌いじゃないです。
しおりを挟む何という事を言うのですか! この娘たちは。
乙女が口にしてはいけない4文字を連呼しながら、飛び跳ねて喜んでいます。
何があるのかと覗いてみれば、本当に金ピカの玉がありました。
はいはい、分かりました、排卵前の卵、俗称キンカンでした。
もう今更驚きもしませんが、マリは熟練の職人技の如く、見る間に鳥を捌いてゆき、綺麗に部位ごとに分けていきます。
さて、何を作りましょうか、私としては炭火であっさり塩焼きと行きたいところですが、そんな思案をしていると、ハルが私の肩をやけに力強く掴んで言います。
「日向、モツ煮込みは作れるか?」
また、乙女にあるまじき、おっさん臭い事を、いえ、私もモツ煮込みで一杯やるのは大好きなのですが。
「ちょっと量的に難しいわね」
肩を掴む力どころか、ガックリと肩を落とすハルです。
意地悪を言う訳ではありませんが、ニワトリより2回り程大きいだけですから、モツの量もたかが知れています。
モツ煮込みは、やはりある程度多めの量が無いと旨味が引き出せません。
そこで良い事、思いつきました。
早速調理開始です。
鳥の肉を開いて、皮と肉を薄く残してそぎ切りにします。
削ぎ落とした肉は、粘りが出るまで細かく、良く包丁で叩くようにします。
モツの各部位や軟骨を粗みじんにして混ぜたら、色々な味と食感が楽しめて美味しくなること間違いなしです。
あ、勿論キンカンも入れます。
先程の皮つきの肉で包みます。
塩、胡椒を全体に馴染ませるように擦り込み、糸の代わりに香草を全体にまんべんなく巻きつけると、円柱状の大きなチャーシューみたいな見た目です。
玉葱、人参、セロリ、大蒜、香味野菜のスライスを敷き詰めた天板に載せ、オリーブオイルをたっぷりと掛け、オーブンの中に入れました。
5分置き位に位置を変えてムラ無く焼けるようにします。
何度かオーブンを開け鳥肉の位置を変えていると、再びハルが肩を掴んできました。
「日向! この香り、これはパンだな! パンだよな!」
ハルの眼が怖いです。
確かにご飯よりパンの方が合うでしょう、バケットが半分位しか残っていないので、この娘たちがそれで足りる筈もありません。
「そーだね、じゃあこれで……」
お財布から千円札を取り出そうとすると、ハルがひったくる様にして駆け出して行きました。
呆気に取られていると、マリが袖を引っ張ります。
「やけたの、どーすればわかる?」
「音。聞いていれば分かるよ」
マリはオーブンの前に座り込んで、聞き耳を立てます。
可愛いです。
「マリ、もう良いよ。触った時の感触を覚えておくといいよ」
「わかった!」
ソースは簡単に味変の感覚で、粒マスタードをワインビネガーで溶きました。
カラトリウスのバロティーヌ、マスタードソースの、
出来上がり!
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