異世界グルメ紀行~魔王城のレストラン~商品開発部2

ペンギン饅頭

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58・何だか、可愛らしいです。

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 大変です!? 

 ウルちゃんの耳がペシャンコで、尻尾が垂れ下がっています。
 何事!? と、椅子から腰を浮かせかけると、給仕長に腕を掴まれます。
 給仕長はゆっくりと首を横に振りながら、

『マリ様に与えられた、試練なのです』 

 と、小さく、呟くようにして言いました。

『試練?』

 私が尋ね返すと、

『マリ様がウルさんに『ウル、ノ、オリジナル、ヲ、ツクリヤガレ!』と、仰いまして。私が詳しく尋ねてみたら、マリ様がお作りになられた腸詰は、有り合せの余り物のお肉で作った物で、あくまでも試作品のピザや、賄いのホットドッグに使うのであって、味や食感がテンデンバラバラでも構わないとの事です。しかし、ピザ店のサイドメニュー用の商品ならば、一定品質の腸詰を作れと。豚肉と牛肉の配合比率や、脂の量、調味料、香辛料の量などで、味わいがガラリと変わってしまうそうなのです』
『確かにマリのお手製腸詰は、お肉の様々な部位を使って、多様な味わいがしていましたけど……』

 マリ、厳しいです。
 今までにお料理をしたこともないウルちゃんに、お店で提供する商品をいきなり作らせるのは、結構な重圧に違いありません。
 
『ココは色々な種類が楽しめる方が良いですぅ~』

 早速とばかりに、私のお乳の谷間に潜り込んだ、ココ様が言いました。

『う~ん、私もココ様の意見に賛成なのですが、以前にも同じような事がありまして。海老の鬼殻焼の屋台の店主さんが仰るには、通常はオリーブオイルと大蒜と香草で旨味を加えているのですが、旬の時期の上物なら藻塩だけで食べた方が美味しいそうです』

『あ~、なるほど。お店で出す商品としては、常に一定の味でなければいけないという事ですねぇ~。商売は難しいですぅ~。ところでロキちゃん。その海老屋さんには、いつ連れて行ってもらえるのですぅ~?』

 とんだ藪蛇です。

『ロキエル様。私も是非、参考までに連れて行って頂けたら』

 給仕長もですか。これは嫌とは言えなくなりました。

『ロキエル。俺もあの海老、食い損ねてんだ』

 アンタはどうでもいい!

『まあ、何にせよ、紙包み焼き屋のお爺さんに、ピザの作り方を教えに行くついでに、ラビちゃんとウルちゃんも誘って、みんな揃って行きますか』

『紙包み焼き!?』『紙包み焼き!?』

 私ったら、また余計な事を。
 ココ様と給仕長が、凄い勢いで『紙包み焼き』に喰いついてきました。

『ロキエル! 俺も俺も!』

 だから、アンタは、どーでもいー!

『はい、マリがお魚の塩焼きに使った「キョウギ」で、色々な魚貝を包んで、石窯焼きにした物です。とても美味しかったですよ』
『それは是非とも』『…………』

 あら? 給仕長は即答ですが、ココ様は黙りこくってしまいました。

『如何しました、ココ様?』
『ねぇ、ロキちゃ~ん。他の人のお料理を褒めたりしたり、食べたいなんて言ったら、マリちゃん、ご機嫌ナナメになったりしないですかぁ~』

 あらら、ココ様って、意外とビビりです。
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