ドラゴンとなった侍は恩返しをするそうです

カメレオン

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第一章 恩人

ゴブリンとゴブリンロード

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「さぁ街へ行こう!」

ゼシカ嬢は依頼の途中らしく報告をするため街へ戻るらしいのだがあいにく私はこの辺りの地形を理解していない

「街へ行くって言ってもどこの街に行くのだ?」
「ウォルフェアだよ」

ウォルフェア
王国の中でもかなり賑わっている街とのこと
数多の商人が行き来しているため物品の流通が激しく珍しい物が流れてくることも少なくないらしい
またそんな珍しい品を手に入れるために貴族も多く住んでいる

そんなウォルフェアのギルドにゼシカ嬢は所属しているのだそうだ

「街に着いたらジスも冒険者登録しなよ。刀を持ってるってことはそれなりに戦えるってことでしょ?」
「あいにく今まで一度たりとも戦闘経験が無いんだ」

その答えが意外だったのかゼシカ嬢はポカンとしている

「じゃ、じゃあここら辺で魔物と一度戦ってみようよ」
とゼシカ嬢は言う
確かに戦闘経験を積んでいるのと積んでいないのでは雲泥の差だ

「わかった、それでここらにはどんな魔物が生息しているのだ?」
「ここら辺は無星ランクのゴブリンやコボルト、☆ランクのオーク、スライムとかかな、ジスのいた深層付近だと☆☆☆☆ランクのオーガなんかがいるけど戦闘経験が無いんじゃ厳しいかな」

なるほど、流石は★ランクのゼシカ嬢だ、様々なことを知っている

先程から出てきている☆や★というのは所謂ランクである
☆の数は五個までで星の数が多いほどランクが高いということになる、そして★の方だがこれは☆☆☆☆☆ランクよりも強いということになる
さらにこの☆☆☆☆☆と★は全くの別物であることを聞かされた
★ランクに行くには類まれなる才能が無ければ上がれないそうだ
★ランク以上の冒険者が全冒険者中僅か15%程であることが何よりの証拠だろう

「ちょっとまってね。''気配察知''」

ゼシカ嬢は目を瞑った、集中しているのだろう全く動く気配がない

「いた!」
ゼシカ嬢はそう言うと、ついてきてと言って走り出したので自分も後を追う

ゼシカ嬢が茂みに隠れているのが見えたのそばにいき体勢を低くする

「ほら、あそこ。ゴブリンの群れだよ」

ゼシカ嬢がそう言いながら指さした方を見ると十五匹ぐらいのゴブリンの群れがいた

「彼奴らを倒せばいいのか?」
「そうだけど…一度にあんな数相手にして大丈夫?」
「やってみないとわからないな。まぁゼシカ嬢は見ていてくれないか、私の初陣を」
そう言うとゆっくりと茂みをでて歩き出した

すると一匹のゴブリンがこちらに気づいたのかギャー、ギャーと声をあげた
すると瞬く間にゴブリン達は戦闘態勢に入った

その様子を見ていたゼシカは
(おかしい…ゴブリンは知能が低いからあんな陣形を組むことは出来ないはず…まさか!?)
「ジス!そこから逃げて!この群れはゴブリンロードが率いてる群れだわ!」

ゴブリンロード
ゴブリンの上位種である☆☆☆☆☆ランクの魔物、だがそれは単体で戦った時の話
ゴブリンロードはゴブリンよりも強く体格も五倍ほどになっているがその中でも知能が優れている
それにより率いる群れを強化できる
その恩恵を受けた群れの強さは★ランクの強さを誇る
それはつまりゼシカとどっこいどっこいということ
奥の方から、ズン…ズン…と言う音が近づいてき、そして姿を現したゴブリンロード

「ジス!早くこっちに!」
「心配はいらないぞ」

ジスはそう言うと素早く抜刀した
その抜刀を見れば刀の扱いが一流であることはひと目でわかる

スキル【剣術神】

あらゆる剣、刀を使いこなすことのできるスキル

「いざ、尋常に」

その言葉を合図に周りのゴブリン達が連携を取りつつ攻めてくる八体のソードゴブリンがジスを囲いアーチャーゴブリン六体が矢を放ちメイジゴブリンの詠唱をサポートする
これ以上ない連携だ、しかし…

八体のソードゴブリンは一瞬にして首を切られ矢は弾かれジスには届かない

呆気にとられるアーチャーゴブリンとメイジゴブリン、その隙をジスは見逃さない

一瞬にしてアーチャーゴブリンの目の前に移動し命を狩る、残りの五体のアーチャーゴブリンも同様に切っていく

残るはメイジゴブリン、詠唱が終わったのか何か叫ぶと魔法陣から火球が飛んできた
火魔法の''ファイアボール''だ
それをジスは刀で切りファイアボールは消失した
これにはメイジゴブリンもゼシカ嬢も驚いた様子
なぜなら魔法攻撃を物理攻撃で防御するのは並大抵のことではないからだ
ジスはそれを初の戦闘でやったのだから驚くのも無理はない

そしてメイジゴブリンも絶命していく

「す、すごい……!?ジス!後ろ!」

ジスがゼシカ嬢の声に反応し後ろを見ると目の前にゴブリンロードの正拳突きが迫っていた
それを寸でのところで刀を使い防ぐがそのまま吹っ飛ばされてしまい頭から木に激突した

「ぐっ…」

痛みは少ししかないものの急なことで受け身をとることができなかった

「ジス!!」
「ゼシカ嬢…俺は大丈夫だ、安心してくれ」

そう言いながら刀を杖替わりにして立つ
「はぁ…一着しかない袴が汚れてしまったじゃないか、仕方ない【鎧纏】」
そう呟くと赤黒い煙がジスを包む

煙が晴れるとそこには
赤く黒光りしたフルフェイスアーマーを纏い片手に刀を持ったジスが立っていた












    
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