5 / 33
5.急いでる時に限って時間が遅いのなんで
しおりを挟む
(まだ10時……)
いつもならとっくに昼休みになっている時間のはずなのに、今日は時間が経つのがとても遅く感じる。先程見た時は9時55分だったし、その前は50分だった。
時計にばかり意識が向いてしまって、授業の内容なんて全然頭に入ってこない。休み時間に友達から話しかけられた気もするけれど、どう返事をしたか正直覚えていない。
(まだ10時5分……)
時計を見ては、針の進み具合に溜息を繰り返す。
(はやく昼休み来ないかな……)
──キーンコーン
(きた!)
ついに待ちに待った4時間目の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「……今日はここまでですね」
手に持っていたチョークを置いて、徐に卓上を片付け始める先生の一つ一つの動作にやきもきする。
(早く、早く終わって)
「起立!」
「礼!」
(早く食べなきゃ)
イスに座るのと同時に、昼食のパンを鞄から取り出し誰よりも早く食べ始める。少しでも長く一緒にいたいから、一分一秒でも無駄にしたくない。
「あれ~? 葵どっかいくの?」
食べ終わって席を立つと、クラスメイトが声をかけてきた。いつもと違う動きをしていたし、不思議に思うのも無理はない。
でも、正直に言う訳にもいかない。
「ちょ、ちょっと用事があって」
「ふ~ん」
「5時間目体育でしょ? 遅れないようにね」
「う、うん。念の為ジャージ持ってくよ」
なるべく平常心で足早に教室を出る。深く聞かれなくて良かったと胸を撫で下ろす。都合よく着替えも持ってこれたし、あとは向かうだけだ。
(えっと、先生は体育職員室にいるんだよね)
たくさんの先生がいる職員室とは違い、体育館内を見渡せる場所にある、体育の先生のための職員室。授業がない時は大半そこで過ごしているようだ。
早く会いたい一心で、自然と足が小走りになっていく。生徒指導の澤口先生にだけは見つからないように気をつけて、階段も数段飛ばしつつ駆け下りて。
(おっと)
体育館へ向かう途中にある、壁面に設置されている大きな鏡の前で立ち止まる。
(どこか変なとこないかな?)
周りに人がいないのを確認してから髪の毛を手ぐしで整えて、スカートの裾をつまんでヒラヒラしてみたりと、身だしなみのチェックをする。鏡に向かって笑ってみせて、笑顔の練習も忘れない。
これから会うのは『好きな人』だから、少しでも可愛く映りたい。
体育職員室まであと少し。もう少しで先生に会える──
いつもならとっくに昼休みになっている時間のはずなのに、今日は時間が経つのがとても遅く感じる。先程見た時は9時55分だったし、その前は50分だった。
時計にばかり意識が向いてしまって、授業の内容なんて全然頭に入ってこない。休み時間に友達から話しかけられた気もするけれど、どう返事をしたか正直覚えていない。
(まだ10時5分……)
時計を見ては、針の進み具合に溜息を繰り返す。
(はやく昼休み来ないかな……)
──キーンコーン
(きた!)
ついに待ちに待った4時間目の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「……今日はここまでですね」
手に持っていたチョークを置いて、徐に卓上を片付け始める先生の一つ一つの動作にやきもきする。
(早く、早く終わって)
「起立!」
「礼!」
(早く食べなきゃ)
イスに座るのと同時に、昼食のパンを鞄から取り出し誰よりも早く食べ始める。少しでも長く一緒にいたいから、一分一秒でも無駄にしたくない。
「あれ~? 葵どっかいくの?」
食べ終わって席を立つと、クラスメイトが声をかけてきた。いつもと違う動きをしていたし、不思議に思うのも無理はない。
でも、正直に言う訳にもいかない。
「ちょ、ちょっと用事があって」
「ふ~ん」
「5時間目体育でしょ? 遅れないようにね」
「う、うん。念の為ジャージ持ってくよ」
なるべく平常心で足早に教室を出る。深く聞かれなくて良かったと胸を撫で下ろす。都合よく着替えも持ってこれたし、あとは向かうだけだ。
(えっと、先生は体育職員室にいるんだよね)
たくさんの先生がいる職員室とは違い、体育館内を見渡せる場所にある、体育の先生のための職員室。授業がない時は大半そこで過ごしているようだ。
早く会いたい一心で、自然と足が小走りになっていく。生徒指導の澤口先生にだけは見つからないように気をつけて、階段も数段飛ばしつつ駆け下りて。
(おっと)
体育館へ向かう途中にある、壁面に設置されている大きな鏡の前で立ち止まる。
(どこか変なとこないかな?)
周りに人がいないのを確認してから髪の毛を手ぐしで整えて、スカートの裾をつまんでヒラヒラしてみたりと、身だしなみのチェックをする。鏡に向かって笑ってみせて、笑顔の練習も忘れない。
これから会うのは『好きな人』だから、少しでも可愛く映りたい。
体育職員室まであと少し。もう少しで先生に会える──
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる