チート冒険者はギルド男子をご所望です

結人

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同衾するようになって1ヶ月。
カイルが長期の遠征に行かない限り俺たちは毎日抱きしめあってベッドで横になる。

「なぁ…この痣って大きくはなって無いけど…これ以上小さくならないのかなぁ?」
「酷い時は足の方まで痣が出てたからこれでも小さくなった方なんだ」
「でも上半身はずっと残ってるよ?」
「…そうだなぁ。これ以上となると…何か違う方法を試してみるべきでしょうか」

「違う方法?」

「実はこの痣を小さくする方法は他にもあるんです。ただ場所を選ぶので頻繁にはできません」
「何をするんだ?」
「魔力を空っぽになるくらいまで放出します」

「空っぽ?」
「一度強い魔獣を相手にした時、魔力枯渇を感じるほど魔法を使ったことがあります。その時は痣が小さくなり身体の重さをあまり感じませんでした」
「え?!痣があると体が重いの?!」
「そうですね。体全体が熱いですし重い…いや…ダルいというべきか…」

体が熱くてダルかったら辛いよなぁ…
風邪ひいた時の症状によく似てる。
俺だったら布団から一歩も出たくない状態だ。

「それ、普通に体調不良だし…。でも魔力を放出したらいいんだったらそれのほうがよくない?」

俺に貴重な素材を渡して柔らかくもない男を抱きしめて寝るより絶対ソッチのほうがいいよね??

「俺が一気に魔力を放出すれば森がひとつなくなります」
「なにそれ魔王じゃん」

「魔力を放出する事が痣を小さくするのだとしたら他にも方法はあります。ミナトと肌を触れ合わせてると触れ合ったところから熱が冷めていくんです。そしてミナトが俺の魔力を吸い取ってくれてるのでは?と仮説を立て、肌を触れる以上のことをしたらもっと魔力を吸収してくれるのではないか?と考えました」

「触れる以上の事って?」
「キスとかセックスですね…」

恐ろしい単語が聞こえてきた。
キスもセックスも俺は女の子としたい!
イケメンでもこんな大男となんて嫌だ!

「やだ!ヤラないぞ!!それは契約外だ!」
「今以上の報酬はお渡ししますよ?」
「やだ!俺まだ女の子ともやったこと無いのに…」

「キスだけならどうですか?」
「キスもしたこと無い~!!」

布団の中で抱きしめられながらカイルの胸をポカポカと叩く。全然カイルに効いてる感じはしない。ただ俺の手が痛くなっただけだ。

「ミナト…。一度だけ試してみませんか?今度北部の氷山へ行く予定があります。そこのクリスタルを取ってきますから」
「く…クリスタル…?」

北部氷山のクリスタルといえば王家も欲しがってるという代物ではないか?!領地1年分の予算に匹敵する値段が付けられるくらい貴重な物…。

「ミナト」

俺の髪を指で梳かしながら返事を待つカイルは断られるとは思ってもないのだろう。髪を触っていた指が耳を掠め頬を擦り唇に触れる。
諦めた俺は目を瞑るとカイルに身を委ねた。



さよなら俺のファーストキス…。


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