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それぞれの
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気がつくともう3年の秋が過ぎようとしていた。
「もうすぐ卒業だなぁ…」
「早いよねー」
「卒業旅行!マジで楽しみ過ぎて春休み早く来いって思ってる!」
「まだ冬休みも来てないよ?」
皆んなで企画した卒業旅行の話が数日前に決定し、清水くんの頭の中は旅行でいっぱいらしい。
「卒業後。清水は伊藤についていくんだよな?」
「うん。航平が大阪のプロチームに合格したから一緒に行く」
うれしそうに話す清水くんは幸せそうだ。
「佐野くんは中野くんと結婚だもんね?」
「その予定だったんだけどこのままココの大学に進学するよ」
初めて聞いた。今まで高校出たら結婚して家に入ると言っていたから思ってもいない返事だった。
「内部進学?」
「真白がすぐ勉強に誘ってくるからそれなりの成績取れるようになっちゃって…せっかくなら大学行こうかなって?」
「じゃあ大学でも一緒なんだね?どこ入るの?」
「幼児教育とか勉強したくてさ…」
「いいね!佐野くんならきっと素敵な先生になれそう!」
「先生には…なれないかもだけど、自分の子に役立つかなって」
佐野くんは困ったような顔をする。
「あ…そっか…中野家の奥様が働かないよな…」
「でも結婚後も外に出てもいいってことになったから色んなボランティアに参加しようと思ってる。大学は結婚しても外出!の第一歩なんだよ」
高校卒業したら番になって結婚。後は子供を産むだけ。
そう言っていた佐野くんは自分で将来を見つけたんだ。
「番にはなるのか?」
「それは旬が待てないと思うからね。今でも我慢の限界みたい」
「白井くんは?」
「俺は…まだ発情期来てないからなぁ…。いつ番になれるかはわかんないし。進路は服飾の専門学校行くんだ。まぁ高校卒業したら薫のところで住む予定」
皆んなそれぞれの道に進んでいく…。
「皆んな離れちゃうんだなぁ…」
「鈴木は?坂口と番になるのか?」
夏休みに話し合って番わずに一緒にいるって決めた。
まだ依存度は高いけど晴人くんとはいい距離感で過ごせてると思う。
「あ…ううん。番にはまだならない。晴人くんが俺の気持ちが固まるまで待ってくれるって言ってくれたから…」
「そうなのか?じゃあ番にならず離ればなれになるんだな?」
「ちょっと離れるだけ…。隣の県だしすぐに会えるよ」
晴人くんの進学先は隣の県の体育大学に決まった。
俺は内部進学するので少し離れてしまう。
「さみしくない?」
「淋しくないとは言い切れないけどお互い目標を持って頑張るよ」
それぞれの進路が決まっていく。
高校3年の残り数カ月。このメンバーでいられるのもあと少しになったんだ。
寮で晴人くんと2人の時間。
晴人くんは俺の前に座るとポケットからシンプルな指輪をだしてきた。
「これ。真白に渡したくって。バイトとか出来ないからそんな良いもの用意出来なかったんだけど…受け取ってくれないか?」
「…指輪?」
「俺たち。大学…離れるだろ?2人の関係を形にしたくて…真白…俺と結婚しないか?」
すぐに返事できなかった。
結婚なんてまだまだ先の話だと思ってたから…
「真白が怖いなら番にはならなくていい。でもこれからも一緒に暮らして生きたい。今までみたいに夜、真白と2人で語れる時間が俺には必要なんだ」
これからもいっしょにいられる?
離れなくていいんだ…
「一緒にいていいの?」
「一緒にいて欲しい」
進路が分かれた時にこれからはあまり会えないんだと覚悟を決めてた。さみしいけど2人が成長するためには必要な物だから。でも、晴人くんと離れなくていいんだ…。
「嬉しい…卒業後も一緒にいたかった…」
「悪い…また我慢させてたみたいだな…」
「ううん。晴人くん…ありがとう」
晴人くんは涙を溜めた俺の目尻にキスをする
「真白さん。俺と結婚してください」
「はい。よろしくお願いします」
俺は晴人くんの首に腕を回すと返事のキスをした。
「みんな~!こっち見て!!1番の笑顔で!」
カメラを持った九条さんが声を掛ける。
カメラに向かって花を持った俺たちは満面の笑み。
今日からそれぞれ新しい世界に飛び出していく。
俺たちは高校の卒業式を迎えた。
「この寮も今日で終わりだな…」
「なんだかさみしいね…」
「色々あったし、俺たちの思い出がたくさん詰まってるからな…」
「皆に会えなくなるのさみしいな…」
3年間…ずっと一緒にいたからこれからもずっと一緒にいられる気がしてた…。
「またいつでも会えるさ」
「そうだね…。また皆で会えるよね?」
2人で向かい合って手を繋ぐ。
一緒に幸せになるためにこれからは晴人くんと2人で歩いていくんだ。
「じゃあ俺たちも次の場所に向かいますか?」
「はい。またよろしくお願いします」
3年間過ごした思い出いっぱいの寮の部屋を出る。
2人の左手にはシンプルなお揃いの指輪が光っていた。
※※※※※※※※※※
最後まで読んでいただきありがとうございました。
色々不完全燃焼ですが…コレで完結にさせてもらいます。
目標の10万字も何とか書けました。
伸二☓椿カップルとかクラスメイトの山田くんの話とか書きたいことまだまだいっぱいあったのですが広げ過ぎたら爆発しそうなのでさわれませんでした…(泣)
薫と白井くんの巣作りが描ききれずに止まってて悔しい限りです…またいつか書きたい…。
では、お付き合いありがとうございました!
「もうすぐ卒業だなぁ…」
「早いよねー」
「卒業旅行!マジで楽しみ過ぎて春休み早く来いって思ってる!」
「まだ冬休みも来てないよ?」
皆んなで企画した卒業旅行の話が数日前に決定し、清水くんの頭の中は旅行でいっぱいらしい。
「卒業後。清水は伊藤についていくんだよな?」
「うん。航平が大阪のプロチームに合格したから一緒に行く」
うれしそうに話す清水くんは幸せそうだ。
「佐野くんは中野くんと結婚だもんね?」
「その予定だったんだけどこのままココの大学に進学するよ」
初めて聞いた。今まで高校出たら結婚して家に入ると言っていたから思ってもいない返事だった。
「内部進学?」
「真白がすぐ勉強に誘ってくるからそれなりの成績取れるようになっちゃって…せっかくなら大学行こうかなって?」
「じゃあ大学でも一緒なんだね?どこ入るの?」
「幼児教育とか勉強したくてさ…」
「いいね!佐野くんならきっと素敵な先生になれそう!」
「先生には…なれないかもだけど、自分の子に役立つかなって」
佐野くんは困ったような顔をする。
「あ…そっか…中野家の奥様が働かないよな…」
「でも結婚後も外に出てもいいってことになったから色んなボランティアに参加しようと思ってる。大学は結婚しても外出!の第一歩なんだよ」
高校卒業したら番になって結婚。後は子供を産むだけ。
そう言っていた佐野くんは自分で将来を見つけたんだ。
「番にはなるのか?」
「それは旬が待てないと思うからね。今でも我慢の限界みたい」
「白井くんは?」
「俺は…まだ発情期来てないからなぁ…。いつ番になれるかはわかんないし。進路は服飾の専門学校行くんだ。まぁ高校卒業したら薫のところで住む予定」
皆んなそれぞれの道に進んでいく…。
「皆んな離れちゃうんだなぁ…」
「鈴木は?坂口と番になるのか?」
夏休みに話し合って番わずに一緒にいるって決めた。
まだ依存度は高いけど晴人くんとはいい距離感で過ごせてると思う。
「あ…ううん。番にはまだならない。晴人くんが俺の気持ちが固まるまで待ってくれるって言ってくれたから…」
「そうなのか?じゃあ番にならず離ればなれになるんだな?」
「ちょっと離れるだけ…。隣の県だしすぐに会えるよ」
晴人くんの進学先は隣の県の体育大学に決まった。
俺は内部進学するので少し離れてしまう。
「さみしくない?」
「淋しくないとは言い切れないけどお互い目標を持って頑張るよ」
それぞれの進路が決まっていく。
高校3年の残り数カ月。このメンバーでいられるのもあと少しになったんだ。
寮で晴人くんと2人の時間。
晴人くんは俺の前に座るとポケットからシンプルな指輪をだしてきた。
「これ。真白に渡したくって。バイトとか出来ないからそんな良いもの用意出来なかったんだけど…受け取ってくれないか?」
「…指輪?」
「俺たち。大学…離れるだろ?2人の関係を形にしたくて…真白…俺と結婚しないか?」
すぐに返事できなかった。
結婚なんてまだまだ先の話だと思ってたから…
「真白が怖いなら番にはならなくていい。でもこれからも一緒に暮らして生きたい。今までみたいに夜、真白と2人で語れる時間が俺には必要なんだ」
これからもいっしょにいられる?
離れなくていいんだ…
「一緒にいていいの?」
「一緒にいて欲しい」
進路が分かれた時にこれからはあまり会えないんだと覚悟を決めてた。さみしいけど2人が成長するためには必要な物だから。でも、晴人くんと離れなくていいんだ…。
「嬉しい…卒業後も一緒にいたかった…」
「悪い…また我慢させてたみたいだな…」
「ううん。晴人くん…ありがとう」
晴人くんは涙を溜めた俺の目尻にキスをする
「真白さん。俺と結婚してください」
「はい。よろしくお願いします」
俺は晴人くんの首に腕を回すと返事のキスをした。
「みんな~!こっち見て!!1番の笑顔で!」
カメラを持った九条さんが声を掛ける。
カメラに向かって花を持った俺たちは満面の笑み。
今日からそれぞれ新しい世界に飛び出していく。
俺たちは高校の卒業式を迎えた。
「この寮も今日で終わりだな…」
「なんだかさみしいね…」
「色々あったし、俺たちの思い出がたくさん詰まってるからな…」
「皆に会えなくなるのさみしいな…」
3年間…ずっと一緒にいたからこれからもずっと一緒にいられる気がしてた…。
「またいつでも会えるさ」
「そうだね…。また皆で会えるよね?」
2人で向かい合って手を繋ぐ。
一緒に幸せになるためにこれからは晴人くんと2人で歩いていくんだ。
「じゃあ俺たちも次の場所に向かいますか?」
「はい。またよろしくお願いします」
3年間過ごした思い出いっぱいの寮の部屋を出る。
2人の左手にはシンプルなお揃いの指輪が光っていた。
※※※※※※※※※※
最後まで読んでいただきありがとうございました。
色々不完全燃焼ですが…コレで完結にさせてもらいます。
目標の10万字も何とか書けました。
伸二☓椿カップルとかクラスメイトの山田くんの話とか書きたいことまだまだいっぱいあったのですが広げ過ぎたら爆発しそうなのでさわれませんでした…(泣)
薫と白井くんの巣作りが描ききれずに止まってて悔しい限りです…またいつか書きたい…。
では、お付き合いありがとうございました!
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