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4章
61-3. ルピス・フィス・レーベン ロイド
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「おっ、降ろしてくれ。逃げたり、しない、からっ……あん! っ……それか、抱え方を変えっ、へぅ!?」
「……?」
俺はルピスを、消防士が怪我人を運ぶときの要領で両肩に担いで進んでいるわけだが、ルピスはさっきからなぜか、妙な声を上げて嫌がっている。
確かに、俺は彼女を攫うようにして――というか攫って森を移動しているわけだが、ルピスは最初から抵抗しなかった。最初こそ、いきなりのことに戸惑って抵抗する余裕もなかっただけなのかもしれないが、少しして彼女にも自分の置かれている状況が分っただろう頃合いになっても、彼女は俺から逃れようとして暴れるどころか、むしろ安堵したとすら感じさせるくらい脱力して、俺に身を任せていた。
ところが、なぜか数分ほど前から、急に変な声を上げて「降ろしてくれ」と言ってくるようになったのだ。
「どうした? どこかに頭でもぶつけたか?」
いちおう、張り出した枝葉に尻や頭をぶつけることがないように気をつけて進んでいるのだけど、どこかでうっかりぶつけさせてしまったのかもしれない。
「い、いやっ、そうではない。それは問題なひぃん!」
「……本当に問題ないなら、このまま進むが、いいんだな?」
「い……いい」
「そうか」
よく分らないけれど、いちいち降ろして、後でまた担ぎ直すのも面倒臭い。というかぶっちゃけ――重い。
担いでみてはっきり分ったけれど、ルピスはとても華奢だ。隣国の首都とやらからここまでの距離は分らないけれど、起伏に富んだ森の中を歩き通してきたのが信じられないほど体重が軽い。
だが、軽いと言っても人間一人だ。四十キロ未満だとは思うのだが、三十五キロはあるだろう。
想像してみて欲しい。三十五キロの荷物を両肩に担いで、辛うじて獣道と呼べなくもない木々の隙間を延々登ったり降りたりしながら進む大変さを。
彼女が厚手の服を着ていても、鎧は身につけていなかったことは素直に幸運だった。もし鎧を着ていたなら、担いで運ぶのは早々に諦めて、彼女にも歩いてもらっていただろう。
……まあ、べつに自分で歩いてもらってもいいのだ。俺が担いで運んでいるのは、たぶんこのほうが速いからだ。担いで歩くのは大変だといっても、頑張れば問題ない程度だし。
でも、歩いているうちにルピスの体勢が崩れてきている。ちょっと担ぎ直そう。
「よっ、と」
「ひゃッ♥」
担ぎ直した途端、ルピスは変な声を上げた……なぜ?
「な、何も言ってない! 私は何も言っていない!」
聞くな、ということらしい。女子にそういう態度を取られて尚突っ込むような度胸、俺にはない!
「そうか」
その一言で流して、止めていた歩みを再開させる。
「ひっ! ……っ、ん、んん……ッ♥」
「……」
「なっ、んでっ! もっ、なひっ! んん……ッ!」
「……いや、さすがに何でもなくはないだろ」
足を一歩進める毎に奇声……というか嬌声を上げられては、さすがに鈍感ムーブは無理だ。
でもなぜ、彼女はそんな声を? 男に担がれると興奮する性癖でも持っているのか? これがお姫様抱っこなら百歩譲って分らなくもないけれど、ファイヤーマンズキャリーで興奮するというのは有瓜でもラヴィニエでも至っていない境地だと思うのだが……被虐性癖? マゾなのか? 女王様なのに?
結局足を止めた俺は、その場にしゃがんでルピスを地面に降ろすことにした。
「あ、あっ、んぅ……!」
……降ろそうとしたら、また喘がれた。
そして、俺も遅まきながら、彼女がどうして喘ぐのかを理解した。
俺は彼女の身体を、頭を左側に向けたうつ伏せの姿勢で両肩に担いでいる。そして左手で彼女の右腕を掴み、右手は彼女の股座を通す形で、彼女の右太腿を抱えている。この、右手を彼女の股座に通している、というのが問題を起こしていたのだ。
要するに、俺の右腕――肘より上の部分が、ズボンを穿いているルピスの股間に擦れていたわけだ。足を踏み出すたびに、ずりずりごしごしと擦れていたわけだ。
頭のほうが下になるのは苦しいだろうと思って、歩きながら小忠実に、彼女の尻を引っ張るようにしていたのが裏目に出てしまったわけだ。
「……なるほど」
いや、なるどほ、って何だよ。我ながら、なんと意味のない一言! こんなことしか言えないのなら、むしろ無言で流したほうが良かった。一言でも反応してしまったせいで、もう気づかなかったことにして流せなくなってしまった……!
「あ、あぁ……えぇ……と……あっ、ちょっと休むか。うん、そうだ、そうしよう。担がれているのも疲れるだろ」
早口になってしまうのは許していただきたい。
俺はとにかく、返事を待たずにルピスを肩から降ろそうと……
「んうぅ♥」
「あっ、ごめん!」
慌てて右腕を抜こうとしたら、十秒前の再現をやってしまった。両足を地面につけたルピスは、そのままへなへなと崩れ落ちる。
「はっ……っ……」
「……悪い。こういう事態になるとは全然、考えつかなかった」
「い、いや……いい。不可抗力という、もの……だ……ッ」
ルピスは顔を俯けて座り込んだまま、ゆるゆると頭を振る。その額から鼻梁にかけて、汗の一粒が滴り落ちていく。
いま顔を覗き込もうとするのが最低だと分るくらいには、俺も理性を残していた。どくどくと心臓が早鐘を打っているけれど、これは荷物を抱えて山中行軍したせいだから。こめかみに汗が伝うのも、そのせいだから。
「あ……湿ってる……」
顔の脂汗を上着の袖で拭おうとして、右袖の上腕が汗とは違った匂いの液体で湿っているのに気づいてしまった。それを思わず、声に出してしまった。
「――あぁ!!」
ばっと顔を両手で押さえて、ぷるぷると身悶え始めるルピス。
……可愛いな。
素直にそう思った。喉がごくりと呻いた。
考えてみれば、俺の周りの性事情はオープンすぎる。どいつもこいつも、ところ構わずセックスだ。行為を見たり見られたりすることに羞恥心を抱きもしない。一番新参のラヴィニエでさえ、見られる恥じらいよりも自分の特殊性癖を優先させる体たらくだ。
そんな品性の擦れた女たちと比べて、ルピスはどうだ? 慣れない刺激でちょっと濡らしてしまっただけで、へたり込んだまま顔も上げられなくなるほど恥じ入っている。この清純さ、この可憐さ――これこそが俺の求めていた、あり得べき正しい女性の在り方ではないか? いや、言い過ぎだと思うけれど、言い過ぎちゃってもいいんじゃないかなと思うくらいに新鮮で、魅力的だった。
「……どうせ、無様だと思っているんでしょ」
俯くルピスを見下ろして喉をひりつかせていたら、不意に彼女が声を零した。騎士たちの前で堂々たる女王を演じていたときとは全然違う、恨めしげで弱々しい声だった。
そう――彼女はずっと演じていた。女王の演技をしていた。
『ここで従者殿の手を借りて労なく向かうことは、竜の御心に反すること。故に、従者殿の助太刀は不要。そのお心ばかり、頂戴致す』
ルピスが俺に向かってそう言ったときの目には、言葉とは裏腹な色をしていた。
そんな色をした目を、俺は見たことがない。でも知っていた。
そう、俺だ。半年かそこら前――もうあれからそんなに経つのか――何をやっても空回りで苦しかった頃の俺だ。
あの頃はちょうど、山賊退治を請け負う代わりに食料や日用品を提供する約束を村と取り付けようとしていた。そのための威圧材料として、山賊の遺体から首を斬り落としたりもしていた。
でも結局、その交渉をまとめたのは有瓜だった。村を襲いたがるゴブリンたちに納得させたのも有瓜だった。俺がやったことはどれも意味がなくて、有瓜が簡単に問題解決するのを見ているだけだった。
その結果、俺はシャーリーとの肉体関係に逃げた。あの頃の自分の駄目っぷりは、思い出すと奇声を発しそうになる。
そこから立ち直った……というか、自分なりにどうにか踏ん切りをつけたのも有瓜に説教されたからで、独力で克己したわけではない。だから、いまでもまだ少し、あの頃の俺は胸の奥に残っている。
……まあ、だからこそ、その後もずっと頑張ってこられたのだと言えるのだが。
『助太刀は不要』
そう言ったルピスの瞳に、あの頃の自分が重なって見えた。だから、直感――いや、共感できた。
頑張っても頑張っても変わらない現実に、歩くのを諦めた。
楽になりたくて、考えるのを止めた。
流れ着く先を考えなければ、状況に流されるままでいることは、とても楽だ。嫌なことを考えないのは、とても楽だ。
でも、楽なのに、楽しくない――苦しい。助けて。
ルピスの目はそう訴えていた。きっと俺がそうだったように。
だから、今度は俺が助ける番だと思った。有瓜が、アンが、シャーリーが、俺にそうしてくれたように。
「無様だ」
「え……」
はっと顔を上げたルピスに、俺はさらに捲し立てる。
「ああ、確かに無様だ。地べたにみっともなく座り込んで起き上がれもしないでいるおまえは無様だよ。でも、それがどうした? 悪いことか? 駄目なことか? 間違っていることか? ――んなわけ、ねぇ。足掻いてんだから、そりゃ無様に見えるさ。当然だ。っつか、無様に見えない程度で済むような足掻きなんて、あるかっつの」
「そ、そうか……」
「そうだよ。だから、俺はもう開き直って誇ることにした。それが無意味な空回りだとしても、俺は無様に這いつくばっても足掻くのは止めないぞ、って」
「……」
「というか、諦めて格好つけに走るとますます格好悪いことになるのが分ったからな」
「それは、いまの私が格好悪いと言いたいのか?」
「いまのおまえが、って話じゃない。初対面からここまでずっと――いや、たぶんそのもっと前から全部だ」
「な……!」
そこまで断言されるとは思わなかったのだろう。ルピスは灰色の瞳を大きく見開き、絶句した。
いい顔だ。無理やりに押し固めていた女王の表情より、ずっと活き活きしている。ずっと面白い。
「……なんだ、その顔は! わ、笑うな!?」
「なら、面白い顔をするな」
「していない! ……ではなくっ、私がずっと前から格好悪いって、どいうことよ!?」
「そのままの意味だよ。実際、胸に手を当てて思い返してみろよ……ほら、な。自覚できるだろ。下手に格好つけようとして、ますます格好悪くなってきたことを、さ」
「……」
ほら、黙った。自覚がお有りになるようで。……自覚が持てる分、俺よりも倍はマシだな。
「実際のところ、俺におまえのことは分らない。あの爺さんが長々語ってくれたけれど、それもあの爺さんにとって都合の良い脚色がされていたんだろ? 話半分にもならないと思っている……ああ、そうか。むしろ、その逆か。あれがおまえの話なんじゃなく、あの話の女王陛下をモデルにして、おまえは女王を演じているんだろ?」
そう言ってルピスを見ると、いっそう恨みがましい目つきで睨まれた。つまり、ぐうの音も出ない図星ということだ。
「だいたい、竜の巫女って何だよ。どうせ言ったもん勝ちで名乗ってるんだろうけど、巫女なのか女王なのか、はっきりしろよって話だ」
「……そうよね。竜の従者様を相手に謀れるわけがないわね」
「まあな」
そもそも、あの竜がこの地にやって来たのはつい最近のことだ。ルピスと面識があるとは思えないし、仮に面識があって竜に気に入られたとしたら、ルピスはその時点で攫われて孕まされるか壊されるかしていただろう。あの竜とそんなに話したわけではないが、あれはそういう軽挙で短慮で幼稚な輩だと確信している。
というか、こっちには本物の竜の巫女がいるのだ。ぽっと出の普通そうな女子を「有瓜と同じ竜の巫女です」と紹介されても、まず疑ってしまうのは仕方がないことなのだ。
「ご賢察の通り、私は竜の巫女だなんて大層なものではないわ。ただの方便よ……方便だったのに、本当に竜が出てきてしまったから、こんなことになったのよ……」
「……そうかい」
まあ大方、ルピスを派閥の御輿に担ぎ上げるに際して箔を付けようと、周りの誰かがそう呼び始めたのだろう。そうしたら本物の竜が出てきたものだから、「出任せでそう呼んでいただけだが、本当に巫女なのかも」と思われてしまった――そんなところが真相だろう。
いや、実のところはルピスについてきた騎士たちの中にも、竜があのとき空に火を放ったのは偶々で、ルピスとは何の関係もなかったのかもしれないと察しが付いている者もいるかも……いやいや、その可能性は低いのか。もしそうだとしたら、竜に無視される、あるいは食われたり焼かれたりする可能性が高いと考えていながら、こんなところまでえっちらおっちら歩いてきたことになる。さすがにそれはないだろう。
「ねえ……もういいわ」
ルピスがすっくと立ち上がる。
「もういい?」
「休憩はもう十分よ。竜の寝床へ連れて行ってくれるのでしょう?」
「……行ってどうするんだ?」
竜の巫女だから竜に助けを請うため会いに行く――そういう話だった。ルピス自身が、自分は竜の巫女などではない、と認めた以上、この話は根底から覆された。彼女にはもう、竜のところへ行く理由がないはずだ。それなのに、どうしてまだ会いに行きたがる?
「竜は……」
短い沈黙を挟んで、ルピスはぽつりぽつりと絞り出すように話し始める。
「竜は……いえ、これは八つ当たりだと分っているのだけど……とにかく竜は、私にとっての運命だったの」
「運命?」
「それがたとえお為ごかしの言葉だったとしても、私は物心ついたときには竜の巫女と呼ばれるようになっていた。それ以来ずっと、そのまま。あんまり皆が言うものだから、自分でも実は本当に私って巫女なのかも、と思ったこともあるけれど、やっぱり違っていた。私はただの馬鹿な女だった。私の処刑直前に竜が吠えたのだって、ただの偶然なのでしょう? ……竜の巫女と呼ばれるようになったのも偶然の産物なのだもの。ええ、そう偶然よ、偶然。結局、ただの偶然なのよ。それを運命なんて……皆、馬鹿だわ」
「結局竜は運命なのか、偶然なのか?」
「偶然よ。だから、運命にするの」
我ながら揚げ足取りだな、と思いつつ苦笑したら、頓知のようなことを言い返された。
「なんだ、それ。どういう意味だ?」
だが、ルピスは俺の質問を無視して歩き出す。
「もう行きましょう。これ以上、彼を待たせるのは悪いわ」
「彼?」
俺が眉根を寄せると、ルピスは黙って視線をずらしていく。その視線の向かう先を目で追うと、うちの忍者がいた。ここまで、ルピスを担いで進む俺に先行して、枝葉を切り払いながら道案内してくれていたやつだ。いまは俺たちから離れたところで所在なげに突っ立っていた。
「……あいつのこと忘れてた」
「え……」
思わずぽろっと言ってしまったら、それは随分なのではないかしら、とルピスから無言で詰られた。
「はは……よし、行くか」
「……そうね」
俺を見るルピスの視線は少し刺々しいけれど、殊更に追求するつもりはないようだ。なら、俺も華麗に聞き流すとしよう。
「また担ぐか? あ、背負うのでもいいぞ」
「要らない。歩くわ」
「そうかい。でも、歩くのが大変そうだったら問答無用で担ぐからな」
「……変態」
「えっ」
冷たい声で告げられた一言は、意外なほど鋭く俺の胸を抉ってくれた。
●
移動を再開して間もなく、先導役の忍者ゴブリンが「近くに泉があったはず」と告げてきた。
「寄り道して水浴びしていくか?」
ルピスにそう尋ねたら、逆に聞き返された。
「やはり、竜に会う前に汗を流しておくべきかしら……?」
「いや、あれに対してそういう気遣いは要らないと思うんだが、水で流さなくて気持ち悪くないかなと思ってさ」
「私だって、ここまで旅をしてきた身よ。汗を掻いたくらいで文句を言ったりしないわ」
「いや、汗じゃなくて……」
俺が視線を顔から股間へとずらしたら、ルピスはようやく俺の言いたいことを理解してくれた。
「……変態」
さっきよりもなおいっそう底冷えのする言い様だった。
「……?」
俺はルピスを、消防士が怪我人を運ぶときの要領で両肩に担いで進んでいるわけだが、ルピスはさっきからなぜか、妙な声を上げて嫌がっている。
確かに、俺は彼女を攫うようにして――というか攫って森を移動しているわけだが、ルピスは最初から抵抗しなかった。最初こそ、いきなりのことに戸惑って抵抗する余裕もなかっただけなのかもしれないが、少しして彼女にも自分の置かれている状況が分っただろう頃合いになっても、彼女は俺から逃れようとして暴れるどころか、むしろ安堵したとすら感じさせるくらい脱力して、俺に身を任せていた。
ところが、なぜか数分ほど前から、急に変な声を上げて「降ろしてくれ」と言ってくるようになったのだ。
「どうした? どこかに頭でもぶつけたか?」
いちおう、張り出した枝葉に尻や頭をぶつけることがないように気をつけて進んでいるのだけど、どこかでうっかりぶつけさせてしまったのかもしれない。
「い、いやっ、そうではない。それは問題なひぃん!」
「……本当に問題ないなら、このまま進むが、いいんだな?」
「い……いい」
「そうか」
よく分らないけれど、いちいち降ろして、後でまた担ぎ直すのも面倒臭い。というかぶっちゃけ――重い。
担いでみてはっきり分ったけれど、ルピスはとても華奢だ。隣国の首都とやらからここまでの距離は分らないけれど、起伏に富んだ森の中を歩き通してきたのが信じられないほど体重が軽い。
だが、軽いと言っても人間一人だ。四十キロ未満だとは思うのだが、三十五キロはあるだろう。
想像してみて欲しい。三十五キロの荷物を両肩に担いで、辛うじて獣道と呼べなくもない木々の隙間を延々登ったり降りたりしながら進む大変さを。
彼女が厚手の服を着ていても、鎧は身につけていなかったことは素直に幸運だった。もし鎧を着ていたなら、担いで運ぶのは早々に諦めて、彼女にも歩いてもらっていただろう。
……まあ、べつに自分で歩いてもらってもいいのだ。俺が担いで運んでいるのは、たぶんこのほうが速いからだ。担いで歩くのは大変だといっても、頑張れば問題ない程度だし。
でも、歩いているうちにルピスの体勢が崩れてきている。ちょっと担ぎ直そう。
「よっ、と」
「ひゃッ♥」
担ぎ直した途端、ルピスは変な声を上げた……なぜ?
「な、何も言ってない! 私は何も言っていない!」
聞くな、ということらしい。女子にそういう態度を取られて尚突っ込むような度胸、俺にはない!
「そうか」
その一言で流して、止めていた歩みを再開させる。
「ひっ! ……っ、ん、んん……ッ♥」
「……」
「なっ、んでっ! もっ、なひっ! んん……ッ!」
「……いや、さすがに何でもなくはないだろ」
足を一歩進める毎に奇声……というか嬌声を上げられては、さすがに鈍感ムーブは無理だ。
でもなぜ、彼女はそんな声を? 男に担がれると興奮する性癖でも持っているのか? これがお姫様抱っこなら百歩譲って分らなくもないけれど、ファイヤーマンズキャリーで興奮するというのは有瓜でもラヴィニエでも至っていない境地だと思うのだが……被虐性癖? マゾなのか? 女王様なのに?
結局足を止めた俺は、その場にしゃがんでルピスを地面に降ろすことにした。
「あ、あっ、んぅ……!」
……降ろそうとしたら、また喘がれた。
そして、俺も遅まきながら、彼女がどうして喘ぐのかを理解した。
俺は彼女の身体を、頭を左側に向けたうつ伏せの姿勢で両肩に担いでいる。そして左手で彼女の右腕を掴み、右手は彼女の股座を通す形で、彼女の右太腿を抱えている。この、右手を彼女の股座に通している、というのが問題を起こしていたのだ。
要するに、俺の右腕――肘より上の部分が、ズボンを穿いているルピスの股間に擦れていたわけだ。足を踏み出すたびに、ずりずりごしごしと擦れていたわけだ。
頭のほうが下になるのは苦しいだろうと思って、歩きながら小忠実に、彼女の尻を引っ張るようにしていたのが裏目に出てしまったわけだ。
「……なるほど」
いや、なるどほ、って何だよ。我ながら、なんと意味のない一言! こんなことしか言えないのなら、むしろ無言で流したほうが良かった。一言でも反応してしまったせいで、もう気づかなかったことにして流せなくなってしまった……!
「あ、あぁ……えぇ……と……あっ、ちょっと休むか。うん、そうだ、そうしよう。担がれているのも疲れるだろ」
早口になってしまうのは許していただきたい。
俺はとにかく、返事を待たずにルピスを肩から降ろそうと……
「んうぅ♥」
「あっ、ごめん!」
慌てて右腕を抜こうとしたら、十秒前の再現をやってしまった。両足を地面につけたルピスは、そのままへなへなと崩れ落ちる。
「はっ……っ……」
「……悪い。こういう事態になるとは全然、考えつかなかった」
「い、いや……いい。不可抗力という、もの……だ……ッ」
ルピスは顔を俯けて座り込んだまま、ゆるゆると頭を振る。その額から鼻梁にかけて、汗の一粒が滴り落ちていく。
いま顔を覗き込もうとするのが最低だと分るくらいには、俺も理性を残していた。どくどくと心臓が早鐘を打っているけれど、これは荷物を抱えて山中行軍したせいだから。こめかみに汗が伝うのも、そのせいだから。
「あ……湿ってる……」
顔の脂汗を上着の袖で拭おうとして、右袖の上腕が汗とは違った匂いの液体で湿っているのに気づいてしまった。それを思わず、声に出してしまった。
「――あぁ!!」
ばっと顔を両手で押さえて、ぷるぷると身悶え始めるルピス。
……可愛いな。
素直にそう思った。喉がごくりと呻いた。
考えてみれば、俺の周りの性事情はオープンすぎる。どいつもこいつも、ところ構わずセックスだ。行為を見たり見られたりすることに羞恥心を抱きもしない。一番新参のラヴィニエでさえ、見られる恥じらいよりも自分の特殊性癖を優先させる体たらくだ。
そんな品性の擦れた女たちと比べて、ルピスはどうだ? 慣れない刺激でちょっと濡らしてしまっただけで、へたり込んだまま顔も上げられなくなるほど恥じ入っている。この清純さ、この可憐さ――これこそが俺の求めていた、あり得べき正しい女性の在り方ではないか? いや、言い過ぎだと思うけれど、言い過ぎちゃってもいいんじゃないかなと思うくらいに新鮮で、魅力的だった。
「……どうせ、無様だと思っているんでしょ」
俯くルピスを見下ろして喉をひりつかせていたら、不意に彼女が声を零した。騎士たちの前で堂々たる女王を演じていたときとは全然違う、恨めしげで弱々しい声だった。
そう――彼女はずっと演じていた。女王の演技をしていた。
『ここで従者殿の手を借りて労なく向かうことは、竜の御心に反すること。故に、従者殿の助太刀は不要。そのお心ばかり、頂戴致す』
ルピスが俺に向かってそう言ったときの目には、言葉とは裏腹な色をしていた。
そんな色をした目を、俺は見たことがない。でも知っていた。
そう、俺だ。半年かそこら前――もうあれからそんなに経つのか――何をやっても空回りで苦しかった頃の俺だ。
あの頃はちょうど、山賊退治を請け負う代わりに食料や日用品を提供する約束を村と取り付けようとしていた。そのための威圧材料として、山賊の遺体から首を斬り落としたりもしていた。
でも結局、その交渉をまとめたのは有瓜だった。村を襲いたがるゴブリンたちに納得させたのも有瓜だった。俺がやったことはどれも意味がなくて、有瓜が簡単に問題解決するのを見ているだけだった。
その結果、俺はシャーリーとの肉体関係に逃げた。あの頃の自分の駄目っぷりは、思い出すと奇声を発しそうになる。
そこから立ち直った……というか、自分なりにどうにか踏ん切りをつけたのも有瓜に説教されたからで、独力で克己したわけではない。だから、いまでもまだ少し、あの頃の俺は胸の奥に残っている。
……まあ、だからこそ、その後もずっと頑張ってこられたのだと言えるのだが。
『助太刀は不要』
そう言ったルピスの瞳に、あの頃の自分が重なって見えた。だから、直感――いや、共感できた。
頑張っても頑張っても変わらない現実に、歩くのを諦めた。
楽になりたくて、考えるのを止めた。
流れ着く先を考えなければ、状況に流されるままでいることは、とても楽だ。嫌なことを考えないのは、とても楽だ。
でも、楽なのに、楽しくない――苦しい。助けて。
ルピスの目はそう訴えていた。きっと俺がそうだったように。
だから、今度は俺が助ける番だと思った。有瓜が、アンが、シャーリーが、俺にそうしてくれたように。
「無様だ」
「え……」
はっと顔を上げたルピスに、俺はさらに捲し立てる。
「ああ、確かに無様だ。地べたにみっともなく座り込んで起き上がれもしないでいるおまえは無様だよ。でも、それがどうした? 悪いことか? 駄目なことか? 間違っていることか? ――んなわけ、ねぇ。足掻いてんだから、そりゃ無様に見えるさ。当然だ。っつか、無様に見えない程度で済むような足掻きなんて、あるかっつの」
「そ、そうか……」
「そうだよ。だから、俺はもう開き直って誇ることにした。それが無意味な空回りだとしても、俺は無様に這いつくばっても足掻くのは止めないぞ、って」
「……」
「というか、諦めて格好つけに走るとますます格好悪いことになるのが分ったからな」
「それは、いまの私が格好悪いと言いたいのか?」
「いまのおまえが、って話じゃない。初対面からここまでずっと――いや、たぶんそのもっと前から全部だ」
「な……!」
そこまで断言されるとは思わなかったのだろう。ルピスは灰色の瞳を大きく見開き、絶句した。
いい顔だ。無理やりに押し固めていた女王の表情より、ずっと活き活きしている。ずっと面白い。
「……なんだ、その顔は! わ、笑うな!?」
「なら、面白い顔をするな」
「していない! ……ではなくっ、私がずっと前から格好悪いって、どいうことよ!?」
「そのままの意味だよ。実際、胸に手を当てて思い返してみろよ……ほら、な。自覚できるだろ。下手に格好つけようとして、ますます格好悪くなってきたことを、さ」
「……」
ほら、黙った。自覚がお有りになるようで。……自覚が持てる分、俺よりも倍はマシだな。
「実際のところ、俺におまえのことは分らない。あの爺さんが長々語ってくれたけれど、それもあの爺さんにとって都合の良い脚色がされていたんだろ? 話半分にもならないと思っている……ああ、そうか。むしろ、その逆か。あれがおまえの話なんじゃなく、あの話の女王陛下をモデルにして、おまえは女王を演じているんだろ?」
そう言ってルピスを見ると、いっそう恨みがましい目つきで睨まれた。つまり、ぐうの音も出ない図星ということだ。
「だいたい、竜の巫女って何だよ。どうせ言ったもん勝ちで名乗ってるんだろうけど、巫女なのか女王なのか、はっきりしろよって話だ」
「……そうよね。竜の従者様を相手に謀れるわけがないわね」
「まあな」
そもそも、あの竜がこの地にやって来たのはつい最近のことだ。ルピスと面識があるとは思えないし、仮に面識があって竜に気に入られたとしたら、ルピスはその時点で攫われて孕まされるか壊されるかしていただろう。あの竜とそんなに話したわけではないが、あれはそういう軽挙で短慮で幼稚な輩だと確信している。
というか、こっちには本物の竜の巫女がいるのだ。ぽっと出の普通そうな女子を「有瓜と同じ竜の巫女です」と紹介されても、まず疑ってしまうのは仕方がないことなのだ。
「ご賢察の通り、私は竜の巫女だなんて大層なものではないわ。ただの方便よ……方便だったのに、本当に竜が出てきてしまったから、こんなことになったのよ……」
「……そうかい」
まあ大方、ルピスを派閥の御輿に担ぎ上げるに際して箔を付けようと、周りの誰かがそう呼び始めたのだろう。そうしたら本物の竜が出てきたものだから、「出任せでそう呼んでいただけだが、本当に巫女なのかも」と思われてしまった――そんなところが真相だろう。
いや、実のところはルピスについてきた騎士たちの中にも、竜があのとき空に火を放ったのは偶々で、ルピスとは何の関係もなかったのかもしれないと察しが付いている者もいるかも……いやいや、その可能性は低いのか。もしそうだとしたら、竜に無視される、あるいは食われたり焼かれたりする可能性が高いと考えていながら、こんなところまでえっちらおっちら歩いてきたことになる。さすがにそれはないだろう。
「ねえ……もういいわ」
ルピスがすっくと立ち上がる。
「もういい?」
「休憩はもう十分よ。竜の寝床へ連れて行ってくれるのでしょう?」
「……行ってどうするんだ?」
竜の巫女だから竜に助けを請うため会いに行く――そういう話だった。ルピス自身が、自分は竜の巫女などではない、と認めた以上、この話は根底から覆された。彼女にはもう、竜のところへ行く理由がないはずだ。それなのに、どうしてまだ会いに行きたがる?
「竜は……」
短い沈黙を挟んで、ルピスはぽつりぽつりと絞り出すように話し始める。
「竜は……いえ、これは八つ当たりだと分っているのだけど……とにかく竜は、私にとっての運命だったの」
「運命?」
「それがたとえお為ごかしの言葉だったとしても、私は物心ついたときには竜の巫女と呼ばれるようになっていた。それ以来ずっと、そのまま。あんまり皆が言うものだから、自分でも実は本当に私って巫女なのかも、と思ったこともあるけれど、やっぱり違っていた。私はただの馬鹿な女だった。私の処刑直前に竜が吠えたのだって、ただの偶然なのでしょう? ……竜の巫女と呼ばれるようになったのも偶然の産物なのだもの。ええ、そう偶然よ、偶然。結局、ただの偶然なのよ。それを運命なんて……皆、馬鹿だわ」
「結局竜は運命なのか、偶然なのか?」
「偶然よ。だから、運命にするの」
我ながら揚げ足取りだな、と思いつつ苦笑したら、頓知のようなことを言い返された。
「なんだ、それ。どういう意味だ?」
だが、ルピスは俺の質問を無視して歩き出す。
「もう行きましょう。これ以上、彼を待たせるのは悪いわ」
「彼?」
俺が眉根を寄せると、ルピスは黙って視線をずらしていく。その視線の向かう先を目で追うと、うちの忍者がいた。ここまで、ルピスを担いで進む俺に先行して、枝葉を切り払いながら道案内してくれていたやつだ。いまは俺たちから離れたところで所在なげに突っ立っていた。
「……あいつのこと忘れてた」
「え……」
思わずぽろっと言ってしまったら、それは随分なのではないかしら、とルピスから無言で詰られた。
「はは……よし、行くか」
「……そうね」
俺を見るルピスの視線は少し刺々しいけれど、殊更に追求するつもりはないようだ。なら、俺も華麗に聞き流すとしよう。
「また担ぐか? あ、背負うのでもいいぞ」
「要らない。歩くわ」
「そうかい。でも、歩くのが大変そうだったら問答無用で担ぐからな」
「……変態」
「えっ」
冷たい声で告げられた一言は、意外なほど鋭く俺の胸を抉ってくれた。
●
移動を再開して間もなく、先導役の忍者ゴブリンが「近くに泉があったはず」と告げてきた。
「寄り道して水浴びしていくか?」
ルピスにそう尋ねたら、逆に聞き返された。
「やはり、竜に会う前に汗を流しておくべきかしら……?」
「いや、あれに対してそういう気遣いは要らないと思うんだが、水で流さなくて気持ち悪くないかなと思ってさ」
「私だって、ここまで旅をしてきた身よ。汗を掻いたくらいで文句を言ったりしないわ」
「いや、汗じゃなくて……」
俺が視線を顔から股間へとずらしたら、ルピスはようやく俺の言いたいことを理解してくれた。
「……変態」
さっきよりもなおいっそう底冷えのする言い様だった。
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