ファクト ～真実～

討伐編 前幕 獣に牙を向ける鳥たち

１５．

「……ふぅ、だいぶ片付きましたね！」

「はい！手伝ってくれてありがとうございます、颯希さん」

　奏の部屋がだいぶ片付け終わり、颯希が一息つく。奏も颯希が手伝ってくれたおかげでだいぶ早く片付いたことに安堵している。

　その時だった。

　――――ポーン！

　各自の部屋に備え付けてある、インターフォンのような画面に佐和子が映る。

『お食事の準備が出来ましたので、リビングにお越しくださいね。今日は歓迎会という事でパーティーメニューにしましたよ』

　佐和子が画面越しにそう言葉を綴る。

「どんなメニューですかね？」

　奏がワクワクしながらそう声を出す。

「はい！楽しみなのです！佐和子さんのご飯は美味しいのですよ！」

　颯希も奏と同様にワクワクしながらそう言葉を綴る。

　そして、二人仲良くリビングに向かった。



「……いや～！どの料理も美味いぜ！！」

　紅蓮が佐和子の作った料理に舌鼓を打ちながら満面の笑みでそう言葉を綴る。

　そして、楽しいパーティーが繰り広げられる。

「……そういえば、その例の事を調べるにしても私たちでは限界があるのではないのでしょうか？」

　奏が昼間の梓が言った「協力して欲しい」と言う件に対してそう言葉を発する。

「確かに内部事情をどう調べるかは難しいな」

　透が奏の言葉に同意しながらそう言葉を綴る。

「それなら問題ない。そこにも協力者はいる」

「えっ？！そうなんですか？！」

　梓の言葉に奏が驚いたようにそう言葉を発する。

「あぁ。我々の考えに同調している輩は少なくない。まぁ、内部の協力者については順繰りに紹介することになるだろう」

　梓がワインを傾けながらそう言葉を綴る。

　そして、パーティーも終盤になり、それぞれ部屋に戻る事になった。


「じゃあ、みんなで紅蓮を部屋に送っていくか！」

　梓がそう言って席を立つ。

「別にいいっすよ～。適当に部屋に戻るっすから！」

　紅蓮がまんざらでもないような顔をしながらどこか嬉しそうにそう言葉を綴る。

「君はみんなのヒーローだからな！途中で何かあったら大変だ！」

　梓が笑顔でそう言葉を綴る。

「そうっすか？じゃあ、お見送りしてもらいましょうかね？」

　紅蓮がその言葉に有頂天なのか、ニコニコしながら席を立つ。

「……何かあるのですか？」

　奏がそのやり取りがよく分からなくて、頭にはてなマークを浮かべながら不思議そうに声を出す。

「行ってみたら分かるのですよ！」

　颯希が奏に小声でそう呟く。

　そして、みんなで紅蓮を部屋に送り届けることになった。


「……じゃあ、良い夢を！」

　紅蓮を部屋に送り届けて、梓がそう声を発する。

「へ～い♪」

　その言葉に紅蓮が陽気にそう声を出す。

「じゃ♪奏ちゃん♪またね♪」

　紅蓮が奏にウインクを投げつけて部屋の中に入る。

「……私、眠れるでしょうか……？」

　奏が身の危険を感じているのか、恐々と震えながらそう言葉を綴る。

「では……スイッチオン！！」