347 / 1,127
ダンジョン
第345話 シャムスの大冒険 中編
しおりを挟む
名乗りを上げたシャムスに大反対したアルジュナだが、それを制したのは雷だった。
「我が行くより平和に解決できるかもしれん」
「万が一シャムスが怪我したらどうするんだ!」
『だいじょーぶよー』
自信満々に胸を張り、のけぞり過ぎてころりと後ろに転がった姿にほわんと場の空気が緩んだ。
「一度状況を整理しよう」
「お待ちください、ドリちゃん水分を」
イブが頼むとドリアンが人数分のジュースを持ってきてくれ、こぼさないように優しく飲ませてくれた。
抵抗しても時間が惜しいのでイブも大人しく飲ませてもらう。
「さてと」
喉を潤した所で話し合いを再開、シャムスに説明しながら状況整理を行うことにした。
「分からなかったら言うんだぞ」
『分かったー』
「まず一つ、主らが最下層に到達した時には我が設置したはずのダンジョンコアは無かった」
「ダンジョンコアだけでなく、一緒に詰めておいた宝も消えてた。キーちゃん情報」
ダンジョンコアを破壊すればダンジョンは消滅する。
雷のダンジョンでは最下層の50層に設置してあり、それを破壊してダンジョンにおけるスタンピードは終了予定だったが、破壊前に天彗龍がイツキを攫ってダンジョンに入った事で計画が狂った。
「恐らく天彗龍がダンジョンコアと宝を取り込んだんだろう」
「さらに個体名を得てパワーアップ済み」
モンスターは名前を持つことで進化する。
これは女神が定めた設定の一つ。
「気配の察知に優れているから、主達は誰も遭遇出来ていない」
「ヘラ様の攻撃には反撃せず、無視して帰る。なおダメージが通っている様子はないそうです」
個体のデザイン、設定をしたのは幼児三人。
ヘラの代わりにラスボスとして設置するつもりで作っていたので能力値もやたら高い、ラスボスに求めた役目は売り飛ばせない宝の保管。
間違ってもレイアに倒されないよう、シャムスにも気合を入れてスライムを作ってもらった。
かつてシャムスのスライムで肉体を作り、リッチからミノタウロスに進化させられた魔物がいた。
彼の名はりっちゃん、その肉体でブチギレたラウルの攻撃を跳ね返し、レイアには攻撃が通らないと引かれた。
今は神薙が作り出した死地に砦を築き、吸血鬼や死霊系魔物と暮らしている。
天彗龍はりっちゃんよりもさらにレアな素材をこねて作られた。
骨格に使った骨もただの骨ではない、アルジュナと雷が厳選した骨をつなぎ合わせて作った手作り品だったりする。
使用した素材は邪神一家やもふもふズ、調子に乗って自分達の爪も使った。
心臓代わりに使った魔石は雷の魔力が凝縮されている。
それだけじゃつまらないとアルジュナと二人、色々なスキルや加護を付与済み。
冷静に考えても倒せる可能性は0だろう。
「ここまでは情報共有出来たか?」
『うん、僕らのモンスターさいきょー!』
「その通りだ」
誰にも倒せない、遭遇率が低いのでヘラ以外誰も交戦していないのは幸いと言うべきか。
「主らに見つからぬように50層まで行き、天彗龍と接触するのに必要なのは隠密と素早さ」
コトリと机の上に置かれたのは、戦闘モードの佐助をモデルにした忍者のフィギュア。
「今回はこれをベースに使う」
「シャムス捏ねてくれ」
『あーい』
幼児のシャムスは非力だ。
鉄などの硬いものなど当然曲げる事は出来ない、だが不思議な事に「スライムを作る」事を意識して捏ねる事で、どんな硬いものでも粘土のように問題なく捏ねる事が可能になる。
シャムスがスライムを作る横で用意するのは核と骨格に使う骨。
移動手段に翼が欲しいので兄にお願いしたらエムが翼を提供してくれた。翼がなくても空を移動できるようになったのでもういらないらしい。
骨格には天彗龍に使ったものとほぼ同じものを用意した。
集めるために奔走したのは十勇士という手足があるイブ、もふもふズの素材は元々あったからそれを使用し、邪神一家の素材の代わりに兄弟の爪や髪、毛を使った。
核にはスピード狂のイネスの加護を込めてもらった、やり方は気合だ。
『出来たの』
素材を一つにまとめるとあら不思議、あっという間に新モンスターが誕生。
隠密リザードマン、翼有。
佐助をイメージに使ったため家事スキルが高い。
『お名前は?』
「ガルーダとかどうだ」
「じゃあそれで」
「シャムス様、お気を付けて」
『お任せなのよ!』
「ガルーダ、頼んだぞ」
「大船に乗ったつもりでお任せ☆」
弊害として性格が軽くなってしまったのはご愛敬だろうか。
「我が行くより平和に解決できるかもしれん」
「万が一シャムスが怪我したらどうするんだ!」
『だいじょーぶよー』
自信満々に胸を張り、のけぞり過ぎてころりと後ろに転がった姿にほわんと場の空気が緩んだ。
「一度状況を整理しよう」
「お待ちください、ドリちゃん水分を」
イブが頼むとドリアンが人数分のジュースを持ってきてくれ、こぼさないように優しく飲ませてくれた。
抵抗しても時間が惜しいのでイブも大人しく飲ませてもらう。
「さてと」
喉を潤した所で話し合いを再開、シャムスに説明しながら状況整理を行うことにした。
「分からなかったら言うんだぞ」
『分かったー』
「まず一つ、主らが最下層に到達した時には我が設置したはずのダンジョンコアは無かった」
「ダンジョンコアだけでなく、一緒に詰めておいた宝も消えてた。キーちゃん情報」
ダンジョンコアを破壊すればダンジョンは消滅する。
雷のダンジョンでは最下層の50層に設置してあり、それを破壊してダンジョンにおけるスタンピードは終了予定だったが、破壊前に天彗龍がイツキを攫ってダンジョンに入った事で計画が狂った。
「恐らく天彗龍がダンジョンコアと宝を取り込んだんだろう」
「さらに個体名を得てパワーアップ済み」
モンスターは名前を持つことで進化する。
これは女神が定めた設定の一つ。
「気配の察知に優れているから、主達は誰も遭遇出来ていない」
「ヘラ様の攻撃には反撃せず、無視して帰る。なおダメージが通っている様子はないそうです」
個体のデザイン、設定をしたのは幼児三人。
ヘラの代わりにラスボスとして設置するつもりで作っていたので能力値もやたら高い、ラスボスに求めた役目は売り飛ばせない宝の保管。
間違ってもレイアに倒されないよう、シャムスにも気合を入れてスライムを作ってもらった。
かつてシャムスのスライムで肉体を作り、リッチからミノタウロスに進化させられた魔物がいた。
彼の名はりっちゃん、その肉体でブチギレたラウルの攻撃を跳ね返し、レイアには攻撃が通らないと引かれた。
今は神薙が作り出した死地に砦を築き、吸血鬼や死霊系魔物と暮らしている。
天彗龍はりっちゃんよりもさらにレアな素材をこねて作られた。
骨格に使った骨もただの骨ではない、アルジュナと雷が厳選した骨をつなぎ合わせて作った手作り品だったりする。
使用した素材は邪神一家やもふもふズ、調子に乗って自分達の爪も使った。
心臓代わりに使った魔石は雷の魔力が凝縮されている。
それだけじゃつまらないとアルジュナと二人、色々なスキルや加護を付与済み。
冷静に考えても倒せる可能性は0だろう。
「ここまでは情報共有出来たか?」
『うん、僕らのモンスターさいきょー!』
「その通りだ」
誰にも倒せない、遭遇率が低いのでヘラ以外誰も交戦していないのは幸いと言うべきか。
「主らに見つからぬように50層まで行き、天彗龍と接触するのに必要なのは隠密と素早さ」
コトリと机の上に置かれたのは、戦闘モードの佐助をモデルにした忍者のフィギュア。
「今回はこれをベースに使う」
「シャムス捏ねてくれ」
『あーい』
幼児のシャムスは非力だ。
鉄などの硬いものなど当然曲げる事は出来ない、だが不思議な事に「スライムを作る」事を意識して捏ねる事で、どんな硬いものでも粘土のように問題なく捏ねる事が可能になる。
シャムスがスライムを作る横で用意するのは核と骨格に使う骨。
移動手段に翼が欲しいので兄にお願いしたらエムが翼を提供してくれた。翼がなくても空を移動できるようになったのでもういらないらしい。
骨格には天彗龍に使ったものとほぼ同じものを用意した。
集めるために奔走したのは十勇士という手足があるイブ、もふもふズの素材は元々あったからそれを使用し、邪神一家の素材の代わりに兄弟の爪や髪、毛を使った。
核にはスピード狂のイネスの加護を込めてもらった、やり方は気合だ。
『出来たの』
素材を一つにまとめるとあら不思議、あっという間に新モンスターが誕生。
隠密リザードマン、翼有。
佐助をイメージに使ったため家事スキルが高い。
『お名前は?』
「ガルーダとかどうだ」
「じゃあそれで」
「シャムス様、お気を付けて」
『お任せなのよ!』
「ガルーダ、頼んだぞ」
「大船に乗ったつもりでお任せ☆」
弊害として性格が軽くなってしまったのはご愛敬だろうか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
329
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる