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episode7 『勇者』のスキル

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「冒頭に何を持ってくればいいのか分からない。レベルについて今回で回収するつもりだから本編関連では文が組めないどうしよう。」

安心しろ。お前が登場したことで冒頭は埋まった。

「前回の『アキ』について絡んどく?」

本編いかないのかよ。あの回想、意味ありげに書いてたのにあとがきで一切触れなかったからネタ禁止のガチで作ったのかと。

「※で触れてるけど書く順番が本編→あとがき→『アキ』編だったから、あとがきの内容変えるのが難しかったんだよね。ぼーっとしてたら思い付いたやつだから。」

で?『アキ』って主人公のアキだよな?

「英雄の方のアキだね。クラレントの前の名前を決めたらしっかりした展開が思い付いて。後から伏線としても活用できそうだったからメモに残すんじゃなくてそのままepisode6に突っ込んだ。今考えてみればもう少し内容厚くしてepisode7にすればよかった。新しい名前が思い付かない限り、主人公たちが目立った動きを出せないから章数稼げた。」

…そんなところで本編行こう。


「今後の方針はどうしますか、ご主人様。」

クラレントは俺に話しかける。

「とりあえず魔王軍と張り合えるくらいに強くならないと。」

「強くなる、といいますと?」

「んー、モンスターを倒す、とか?」

「ふむ、剣に慣れるということなら有効かもしれませんが、時間がかかりますし目に見える強さは得られないでしょうね…」

「そうか。じゃあ仲間を集める、てのは?」

「魔王にダメージを与えるには特殊なスキルが必要です。それが無いことにはそもそもご主人様も魔王と戦う術はありません。」

「その特殊なスキルっていうのは?」

「『魔王特効』という付加スキルです。英雄様は『剣聖』というジョブに加えてそのスキルを使った…とされています。」

「英雄のジョブって『勇者』じゃなかったのか?」

するとクラレントは剣をカタカタと震わせながら

「『勇者』ですか?聞いたことがないですね。あくまで魔王に立ち向かう『アキ』様を勇者と称していたことは確かですが」

「今の俺のジョブは『勇者』なんだ。」

「なんと…。ちなみに使用可能なスキルは何でしょう?」

「俺は『スキル』と念じるように頭に思い浮かべるといくつかの情報が頭の中に入ってきた。」

取得可能なスキル 剣聖と同じスキルに加えて『魔王特効』『付与効果全体化』その他特定条件で発動するスキルあり。

「…いける。『魔王特効』あるし、パーティー全員に共有できる。」

希望の光は見えた。俺とクラレントはここから魔王の討伐を目標に歩み始めた。


「何故英雄様は転生し、また勇者としてこの世界にいるのでしょうか?」

「代理人」は彼らを観察しながら呟く。巫女装束のようなものを身に纏う小柄な代理人の肩には白いひよこのようなトリが止まっているがそのトリは今は眠っている。

「きっと理由が必要になればこの子が起きて伝えてくれるでしょうね。」

今はまだ…と代理人は続ける。

「その時が来るまで待ちましょう。」

彼女は代理人。白いトリを介して世界に『彼の意思』を伝えるもの。別世界にいる『彼』はこの世界を創り、転生システムを築いた人物であった。英雄の転生と共にこの世界にきた彼女は『彼』が近いうちに世界に干渉することを悟った。

「一体何をなさるのです?」

今この世界を混乱させている「魔王の復活」もそもそも世界を創った『彼』がやったことである。

「まあ、私は『彼』の代理人。」

彼女は深く考えるのをやめ、白いトリの頭を撫でた。


「前回、前々回が長かったから今回が短く感じる。」

短いと思うよ。それはいいけど何かとんでもない設定加えなかったか今回?

「代理人?あの娘は保険だから大丈夫。これ以上導入増やすわけにもいかないからその時を想定して先に出しといた。」

いや、『彼』のほうだよ。創造主的なやつでしょ?そんなの出したら何でもアリにならないか?

「『彼』の方はepisode2から登場してるから大丈夫でしょ。今のところ問題ないし。」

前から出てるの?世界を創るとか、そんな反則的な奴いたか?……あ。

「そう、筆者だ。」

お前なにやってるの?でしゃばんなよ、あとがきでふざけてるだけでも十分アレなのについに本編に進出って…

「だから代理人の肩にトリがいるんだよ。俺のトレードマークみたいな」

やりたい放題だな…。

「直接アクションを起こさないように基本的には代理人を本編に出さないから。今考えてみたら代理人設定隠して僧侶的な回復キャラとして仲間にした方が展開としてはおいしいのでは?と後悔してる。」

ああ…トリを乗っけた謎の少女で初登場させればね。いざというときにトリが目覚めりゃいいわけだし。

「という訳で次回からあの娘、仲間になります。」

手遅れだよ!

「大丈夫、主人公たちにはまだ顔見せてないから。」

読んでる人はすでに登場済キャラなんですが。

「また導入が必要になったときの保険設定だから最後まで使わなかったらトリは覚醒して口からレーザー出せる召喚獣にすればいけるでしょ」

トリが凶悪になるのか…

「最後に疑問を一つ、本編とあとがきが大体文字数同じとはこれ如何に。」

彼は世界に干渉する準備を整えながら先の未来を創っていた。
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