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練習場で会話
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圭吾はいつものように1人居残り練習を終え、最後にクラブハウスを出た。かなり遅くまで練習する自分に対し、熱心なサポーターは最後まで残っていてくれている。
感謝の気持ちを込めつつ、圭吾は1人1人にサインや写真に応じていった。
最後らしきの1人にサインをし、(終わりかな?)と思い、車に向かおうとする圭吾の目に少し離れたサポーターが目に入った。
(何もあんなに遠くにいなくていいのに)
そう思いながら本当に最後の1人に近づいていった圭吾。
そこには見覚えのある少女が立っていた。
「こんばんは、私の事、覚えてますか?」
開口一番、美月が圭吾にそう言った。もちろん圭吾は美月の事を覚えていた。
当たり前だった。圭吾は美月のラボーラのブログは毎日チェックしている。
美月の写メ付きのメールも来るし、試合での(お疲れ様)も印象が残っている。忘れる事は出来ないサポーターだ。
最近ではラボーラのブログの更新やメールがないと寂しいと思うことすらある。
「もちろん、久しぶりだね」
圭吾は美月から練習に来る事はメールもなかったし、ブログにも載っていなかったので心の底から驚いていた。
「来てたんだね」
(ブログには行くって書いてなかった)と圭吾は危うく言いそこなった。
「はい。来ちゃいました。石川さんにプレゼントを渡しに来たんです」
自分の気持ちを隠したまま、美月は圭吾に挨拶を交わす。そしてプレゼントを圭吾に手渡した。
中身はニット帽と美月が作ったクッキー。圭吾は(ありがとう)と言いながら受け取った。
その後、お互い会話が続かなくなる。メールをし、わずからながらお互いを意識し始めている2人。
何を言葉にしていいのか、2人は分からないでいた。そうしていると沈黙を破って美月が口を開いた。
「あの、一緒に写真を撮ってもらっていいですか?」
「あっ、うん、もちろんだよ」
周囲に誰もいない為、美月は自らカメラのシャッターを押す準備をした。その為、美月と圭吾はかなり接近した。
お互いの吐息が感じるぐらい顔が近づく。そして圭吾が美月の肩に自然と手をかけると、みるみるうちに美月の顔が赤くなっていった。肩に置かれた圭吾の手から自分の心臓の鼓動が伝わるような気がした。
鼓動が圭吾に気付かれる前に美月は急いで写真を撮った。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
顔を真っ赤にした美月を見た圭吾は少しだけ胸が高鳴った。
再び2人の会話が止まり、沈黙の空気が流れる。
「私、まだ、石川さんにメールしてもいいですか?」
沈黙の空気に耐えられず美月は自分の思っていなかったことを口にした。
美月は言ってから(余計な事を聞いちゃった)と後悔した。
聞かなければそのままメールをすることは出来る。しかし、「ちょっと遠慮して」など言われたら圭吾との接点がなくなってしまう。
聞いてしまった以上、答えを聞かなければならない。美月は圭吾の答えを下を向いて目をつぶり待った。
圭吾は「もちろん」と笑顔で、そして、優しく冷静に答えた。
感謝の気持ちを込めつつ、圭吾は1人1人にサインや写真に応じていった。
最後らしきの1人にサインをし、(終わりかな?)と思い、車に向かおうとする圭吾の目に少し離れたサポーターが目に入った。
(何もあんなに遠くにいなくていいのに)
そう思いながら本当に最後の1人に近づいていった圭吾。
そこには見覚えのある少女が立っていた。
「こんばんは、私の事、覚えてますか?」
開口一番、美月が圭吾にそう言った。もちろん圭吾は美月の事を覚えていた。
当たり前だった。圭吾は美月のラボーラのブログは毎日チェックしている。
美月の写メ付きのメールも来るし、試合での(お疲れ様)も印象が残っている。忘れる事は出来ないサポーターだ。
最近ではラボーラのブログの更新やメールがないと寂しいと思うことすらある。
「もちろん、久しぶりだね」
圭吾は美月から練習に来る事はメールもなかったし、ブログにも載っていなかったので心の底から驚いていた。
「来てたんだね」
(ブログには行くって書いてなかった)と圭吾は危うく言いそこなった。
「はい。来ちゃいました。石川さんにプレゼントを渡しに来たんです」
自分の気持ちを隠したまま、美月は圭吾に挨拶を交わす。そしてプレゼントを圭吾に手渡した。
中身はニット帽と美月が作ったクッキー。圭吾は(ありがとう)と言いながら受け取った。
その後、お互い会話が続かなくなる。メールをし、わずからながらお互いを意識し始めている2人。
何を言葉にしていいのか、2人は分からないでいた。そうしていると沈黙を破って美月が口を開いた。
「あの、一緒に写真を撮ってもらっていいですか?」
「あっ、うん、もちろんだよ」
周囲に誰もいない為、美月は自らカメラのシャッターを押す準備をした。その為、美月と圭吾はかなり接近した。
お互いの吐息が感じるぐらい顔が近づく。そして圭吾が美月の肩に自然と手をかけると、みるみるうちに美月の顔が赤くなっていった。肩に置かれた圭吾の手から自分の心臓の鼓動が伝わるような気がした。
鼓動が圭吾に気付かれる前に美月は急いで写真を撮った。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
顔を真っ赤にした美月を見た圭吾は少しだけ胸が高鳴った。
再び2人の会話が止まり、沈黙の空気が流れる。
「私、まだ、石川さんにメールしてもいいですか?」
沈黙の空気に耐えられず美月は自分の思っていなかったことを口にした。
美月は言ってから(余計な事を聞いちゃった)と後悔した。
聞かなければそのままメールをすることは出来る。しかし、「ちょっと遠慮して」など言われたら圭吾との接点がなくなってしまう。
聞いてしまった以上、答えを聞かなければならない。美月は圭吾の答えを下を向いて目をつぶり待った。
圭吾は「もちろん」と笑顔で、そして、優しく冷静に答えた。
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