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アドバイス
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「ねえ、美月ちゃん。今の俺は何がいけない?チームの何がダメだと思う」
プロとして聞いてはいけないことだと分かっている。しかし、美月は圭吾の高校時代から注目していてくれている。
もしかしたら何か気付いているかもしれない。些細な事でいい。浮上するきっかけがほしい。決して調子は悪くない。
しかし、結果が出てない。搾り出すような声で美月に聞いてみた。
電話の向こうの美月からは何も聞こえてこない。
無言の時間がただ過ぎていく。何を言おうか思案しているのだろう。
どれぐらい時間が立ったのか分からないが、長くも短くも感じる時間が過ぎた頃、
「怒らないで聞いてくれますか?」
考えがまとまったのか、美月の声が聞こえてきた。
圭吾は「もちろん」と即答で答えた。美月が頭の中で言葉を選びながら圭吾に伝え始めた。
「今のチームは必死さが見えないです」
「えっ?」
圭吾にとっては意外であり、この言葉が美月から出るとは思っていなかった。
「必死じゃない?」
「言葉が悪いかもしれないけど、手を抜いているように見えるんです」
「そんなことはない・・・と思うけど」
強く言いそうになった圭吾は慌てて言い直す。
「ごめんなさい」
「いや、俺の方こそ、ごめん。もう少し詳しく教えてくれるかな?」
「必死さが見えないというか、サッカーに慣れたと言うか」
「どういうこと?」
「がむしゃらに走っていた時とは違い、ペース配分や余力を残している。そんなイメージです」
何がいけないのか、圭吾にはまったくわからなかった。
「試合後のチームを見ていると余力が余りすぎてる。そんな気がするんです。若手主体のチームなのにフレッシュさがないと言うか・・・」
自信無さそうに美月が圭吾に伝える。
「最後まで走りきるのは大事だとは思います。でも、必死さやがむしゃらにやっているとは思えない。試合に負けて悔しいと思うより先に、もう立ち上がれない。そんな試合をやっているようには見えないんです。体力や精神力を使い果たしているようには思えません」
圭吾には思い当たる節がいくつもあった。確かに、試合後に動けなくなるほど走っていない。
体力があるなら無くなるまで走る。他の選手達も同じ事が言える。確かに試合終了後に会話できる余裕もあれば、すぐに動ける余裕もある。
(なるほどね)
圭吾は心の中で少し納得した。
「美月ちゃんの言っている事、少し分かる気がする」
「すいません、生意気な事を言って」
「聞いたのはこっちだよ。他にも無いかな?」
もっと聞いて見たい。サポーターだからこそ見えるものがある。
圭吾は確信した。
そして美月の口から出た言葉はさらに興味がわいた。
「今の・・今の圭吾君はかっこ悪いです」
美月は心の中に溜まっているものを吐き出すように言った。
「なんで?」
「サッカーを楽しんでいるように思えません」
「楽しむ?」
「昔の圭吾君はもっとサッカーを真剣に楽しんでいました。でも、最近の圭吾君にはそんな雰囲気は無いです。私の好きな圭吾君じゃない。サッカーを楽しんでいないように思えるんです」
「・・・」
連敗が続き、心に余裕が無かったのに圭吾は気付いていなかった。美月の言葉は圭吾の心に大きくのしかかった。
しかし、確実に自分ではわからない事を美月は教えてくれた。
「美月ちゃん、明日、暇?」
「えっ?」
圭吾から美月の予想していなかった言葉が出た。
「俺は明日オフだから。良かったらご飯でも行かない?」
「でも・・・」
「ファンが、サポーターが、美月ちゃんがどう思っているかもっと聞きたいんだ」
圭吾の言葉から強い意志と迷いの無い気持ちが伝わってくる。
美月は迷った。
また、無言の時間になる。美月の様子をさっした圭吾が先に口を開く。
「無理しなくてもいいよ。ごめん。急なお願いばっかりして。少し気分転換がしたかったからさ」
美月には圭吾の心のSOSが聞こえた気がした。
とっさに
「どこに連れて行ってくれますか?おいしいお店じゃないと嫌ですよ」
と無理に明るい声を出し、圭吾に言った。
心が決まった。友達として、サポーターとして、今は圭吾を助けよう。
(それが、圭吾君の浮上のきっかけになるのなら)
祐介に心の中で(ごめんなさい)と謝り、そして自分がいくら傷つこうとも圭吾が自分を必要としてくれる限り傍にいようと決めた。
「ありがとう。じゃあ・・・」
美月の心の中を知らない圭吾は明日の待ち合わせ場所などを決めていった。
プロとして聞いてはいけないことだと分かっている。しかし、美月は圭吾の高校時代から注目していてくれている。
もしかしたら何か気付いているかもしれない。些細な事でいい。浮上するきっかけがほしい。決して調子は悪くない。
しかし、結果が出てない。搾り出すような声で美月に聞いてみた。
電話の向こうの美月からは何も聞こえてこない。
無言の時間がただ過ぎていく。何を言おうか思案しているのだろう。
どれぐらい時間が立ったのか分からないが、長くも短くも感じる時間が過ぎた頃、
「怒らないで聞いてくれますか?」
考えがまとまったのか、美月の声が聞こえてきた。
圭吾は「もちろん」と即答で答えた。美月が頭の中で言葉を選びながら圭吾に伝え始めた。
「今のチームは必死さが見えないです」
「えっ?」
圭吾にとっては意外であり、この言葉が美月から出るとは思っていなかった。
「必死じゃない?」
「言葉が悪いかもしれないけど、手を抜いているように見えるんです」
「そんなことはない・・・と思うけど」
強く言いそうになった圭吾は慌てて言い直す。
「ごめんなさい」
「いや、俺の方こそ、ごめん。もう少し詳しく教えてくれるかな?」
「必死さが見えないというか、サッカーに慣れたと言うか」
「どういうこと?」
「がむしゃらに走っていた時とは違い、ペース配分や余力を残している。そんなイメージです」
何がいけないのか、圭吾にはまったくわからなかった。
「試合後のチームを見ていると余力が余りすぎてる。そんな気がするんです。若手主体のチームなのにフレッシュさがないと言うか・・・」
自信無さそうに美月が圭吾に伝える。
「最後まで走りきるのは大事だとは思います。でも、必死さやがむしゃらにやっているとは思えない。試合に負けて悔しいと思うより先に、もう立ち上がれない。そんな試合をやっているようには見えないんです。体力や精神力を使い果たしているようには思えません」
圭吾には思い当たる節がいくつもあった。確かに、試合後に動けなくなるほど走っていない。
体力があるなら無くなるまで走る。他の選手達も同じ事が言える。確かに試合終了後に会話できる余裕もあれば、すぐに動ける余裕もある。
(なるほどね)
圭吾は心の中で少し納得した。
「美月ちゃんの言っている事、少し分かる気がする」
「すいません、生意気な事を言って」
「聞いたのはこっちだよ。他にも無いかな?」
もっと聞いて見たい。サポーターだからこそ見えるものがある。
圭吾は確信した。
そして美月の口から出た言葉はさらに興味がわいた。
「今の・・今の圭吾君はかっこ悪いです」
美月は心の中に溜まっているものを吐き出すように言った。
「なんで?」
「サッカーを楽しんでいるように思えません」
「楽しむ?」
「昔の圭吾君はもっとサッカーを真剣に楽しんでいました。でも、最近の圭吾君にはそんな雰囲気は無いです。私の好きな圭吾君じゃない。サッカーを楽しんでいないように思えるんです」
「・・・」
連敗が続き、心に余裕が無かったのに圭吾は気付いていなかった。美月の言葉は圭吾の心に大きくのしかかった。
しかし、確実に自分ではわからない事を美月は教えてくれた。
「美月ちゃん、明日、暇?」
「えっ?」
圭吾から美月の予想していなかった言葉が出た。
「俺は明日オフだから。良かったらご飯でも行かない?」
「でも・・・」
「ファンが、サポーターが、美月ちゃんがどう思っているかもっと聞きたいんだ」
圭吾の言葉から強い意志と迷いの無い気持ちが伝わってくる。
美月は迷った。
また、無言の時間になる。美月の様子をさっした圭吾が先に口を開く。
「無理しなくてもいいよ。ごめん。急なお願いばっかりして。少し気分転換がしたかったからさ」
美月には圭吾の心のSOSが聞こえた気がした。
とっさに
「どこに連れて行ってくれますか?おいしいお店じゃないと嫌ですよ」
と無理に明るい声を出し、圭吾に言った。
心が決まった。友達として、サポーターとして、今は圭吾を助けよう。
(それが、圭吾君の浮上のきっかけになるのなら)
祐介に心の中で(ごめんなさい)と謝り、そして自分がいくら傷つこうとも圭吾が自分を必要としてくれる限り傍にいようと決めた。
「ありがとう。じゃあ・・・」
美月の心の中を知らない圭吾は明日の待ち合わせ場所などを決めていった。
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