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背中を押してみた。押されてみた。
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くそ、なんで俺がこんな羞恥プレーを強制的にされなきゃならないんだ。
ドMのヨッシーと同じカテゴリーに入れないでくれよ。今なら恥ずかし過ぎて清水寺の舞台から飛び降りられるレベル。こういう場面で逃げ出したいって思うのは俺だけじゃないはず。
うん、これはトイレに立て籠もるフラグが立った。よし、逃げよう。
「おい。鳳斗、逃げるなよ。ヨッシー、俺にも後でSNSのURL教えてくれ」
「わかった。メールで送るわ」
行動を先読みされ、動けなくなった鳳斗がまた大きなため息をつく。
女性陣が元の自分の席に着き、鳳斗に落ち着いた時間が戻る。そしてまた世間話が始まったが、鳳斗の中で居心地の悪さがさらに高くなっていた。
幸隆がみんなを巻き込み、話題を盛り上げていた。ソフトドリンクを片手に会話を流し聞きしていると。突然、遥香が鳳斗に話しかけてきた。
「小説とか脚本とか書いてみないんですか?」
遥香の突然の提案に驚く鳳斗。
「ど、どうしたの、突然?」
「だって、あれだけの文才があるんだから小説とか書けそうじゃないですか」
笑顔で鳳斗の問いに答える遥香。
「俺に文才? ないない。あんなのちょっと盛っただけだし、サスペンスとか推理モノなんてネタ自体が考えられないよ」
鳳斗は自分の力量を自分自身が一番知っている。
サスペンスなどを書くほど知識はないし、推理小説を書けるほどトリックなどは思いつかない。
「SFとかファンタジーとかは?」
きっぱり否定している鳳斗に対して一歩も引かない遥香。
「さらに無理だよ」
この子は何を言っちゃってるのかな。俺に面白くなりそうなネタを捻り出せと。
確かに俺は隠れマンガヲタ&アニメヲタだけど、天才たちが生み出すアイディアが俺に浮かぶはずないでしょ。もう王道ファンタジーネタはほぼ出尽くしているし、ハーレムネタとか自虐ネタとかまで色んなネタが出ちゃっているんだよ。
あっ、俺のお薦めは捻くれデレで千葉が舞台のアニメとか、作画が超綺麗な古典部なのに推理アニメ、読書好きでぼっちな可愛い先輩に恋をするマンガ。他にもゴム人間のマンガとか競技かるたの漫画とかね。
あんなめっちゃ面白いネタが出るわけないだろ! あの作者様たちは尊敬を通り越して崇拝するレベル。
「目新しいネタとかなんて、絶対に俺じゃ思いつかない。もし書くとしてもパクリネタになること間違い無し」
自信を持って自分を自虐する鳳斗に遥香は次第に苛立ちを感じ始める。あれだけSNSを上手に書けるのは才能だと遥香は思っていた。
監督を目指す遥香にとって文才も必要な能力。文才があれば自分で脚本も書けるし、出演者に文章で気持ちを伝える事が出き、思い通りの映画を作ることも出来る手助けになる。
だが、その文才は遥香には持ち合わせていない。遥香は自分が欲しい才能を持っているのに、努力をしない鳳斗を見ているうちに苛立ってきた。
「とりあえず何か書いてみたらどうですか?」
「う~ん、書いてみたいネタはなんとなくだけど、何個かあるんだよね」
自分なりに精一杯可愛い声で鳳斗に促してみる遥香。すると鳳斗はと意外な反応を見せてきた。
「えっ、どんな内容ですか?」
「SNSを書いていると色んな人の反応が返ってきてね、その経験談とか話を膨らませてみたいとか思うことはあるよ」
「例えばどんな?」
「恋愛とか趣味とかね」
SNSをほとんどしない遥香にとっては新鮮な話であった。鳳斗は自分の中で書いてみたい小説の話を遥香に話し始めると、遥香が意外にも内容に食いついてくる。
「いいじゃないですか。一回書いてみたらどうですか?」
「う~ん」
遥香には鳳斗の心の壁が少しずつ崩れていく音が聞こえるような気がしていた。
「書いてみなくちゃわからないじゃないですか。こんな格言を知っていますか? (駄目だと思ってやらないのと、やって駄目なのは全然違う)って。私もそう思います」
「うん、イチローだね。ここでも女子高生が戦車に乗るアニメネタかよ。幸と遥香さん、打ち合わせでもした?」
「なんの事ですか?」
「天然で格言かよっ」
「それよりもさっきの続きです」
その場の雰囲気に流されて遥香が饒舌になっていく。そして、次第に遥香は鳳斗が書いた小説をなにが何でも読んでみたいと思っていた。
ドMのヨッシーと同じカテゴリーに入れないでくれよ。今なら恥ずかし過ぎて清水寺の舞台から飛び降りられるレベル。こういう場面で逃げ出したいって思うのは俺だけじゃないはず。
うん、これはトイレに立て籠もるフラグが立った。よし、逃げよう。
「おい。鳳斗、逃げるなよ。ヨッシー、俺にも後でSNSのURL教えてくれ」
「わかった。メールで送るわ」
行動を先読みされ、動けなくなった鳳斗がまた大きなため息をつく。
女性陣が元の自分の席に着き、鳳斗に落ち着いた時間が戻る。そしてまた世間話が始まったが、鳳斗の中で居心地の悪さがさらに高くなっていた。
幸隆がみんなを巻き込み、話題を盛り上げていた。ソフトドリンクを片手に会話を流し聞きしていると。突然、遥香が鳳斗に話しかけてきた。
「小説とか脚本とか書いてみないんですか?」
遥香の突然の提案に驚く鳳斗。
「ど、どうしたの、突然?」
「だって、あれだけの文才があるんだから小説とか書けそうじゃないですか」
笑顔で鳳斗の問いに答える遥香。
「俺に文才? ないない。あんなのちょっと盛っただけだし、サスペンスとか推理モノなんてネタ自体が考えられないよ」
鳳斗は自分の力量を自分自身が一番知っている。
サスペンスなどを書くほど知識はないし、推理小説を書けるほどトリックなどは思いつかない。
「SFとかファンタジーとかは?」
きっぱり否定している鳳斗に対して一歩も引かない遥香。
「さらに無理だよ」
この子は何を言っちゃってるのかな。俺に面白くなりそうなネタを捻り出せと。
確かに俺は隠れマンガヲタ&アニメヲタだけど、天才たちが生み出すアイディアが俺に浮かぶはずないでしょ。もう王道ファンタジーネタはほぼ出尽くしているし、ハーレムネタとか自虐ネタとかまで色んなネタが出ちゃっているんだよ。
あっ、俺のお薦めは捻くれデレで千葉が舞台のアニメとか、作画が超綺麗な古典部なのに推理アニメ、読書好きでぼっちな可愛い先輩に恋をするマンガ。他にもゴム人間のマンガとか競技かるたの漫画とかね。
あんなめっちゃ面白いネタが出るわけないだろ! あの作者様たちは尊敬を通り越して崇拝するレベル。
「目新しいネタとかなんて、絶対に俺じゃ思いつかない。もし書くとしてもパクリネタになること間違い無し」
自信を持って自分を自虐する鳳斗に遥香は次第に苛立ちを感じ始める。あれだけSNSを上手に書けるのは才能だと遥香は思っていた。
監督を目指す遥香にとって文才も必要な能力。文才があれば自分で脚本も書けるし、出演者に文章で気持ちを伝える事が出き、思い通りの映画を作ることも出来る手助けになる。
だが、その文才は遥香には持ち合わせていない。遥香は自分が欲しい才能を持っているのに、努力をしない鳳斗を見ているうちに苛立ってきた。
「とりあえず何か書いてみたらどうですか?」
「う~ん、書いてみたいネタはなんとなくだけど、何個かあるんだよね」
自分なりに精一杯可愛い声で鳳斗に促してみる遥香。すると鳳斗はと意外な反応を見せてきた。
「えっ、どんな内容ですか?」
「SNSを書いていると色んな人の反応が返ってきてね、その経験談とか話を膨らませてみたいとか思うことはあるよ」
「例えばどんな?」
「恋愛とか趣味とかね」
SNSをほとんどしない遥香にとっては新鮮な話であった。鳳斗は自分の中で書いてみたい小説の話を遥香に話し始めると、遥香が意外にも内容に食いついてくる。
「いいじゃないですか。一回書いてみたらどうですか?」
「う~ん」
遥香には鳳斗の心の壁が少しずつ崩れていく音が聞こえるような気がしていた。
「書いてみなくちゃわからないじゃないですか。こんな格言を知っていますか? (駄目だと思ってやらないのと、やって駄目なのは全然違う)って。私もそう思います」
「うん、イチローだね。ここでも女子高生が戦車に乗るアニメネタかよ。幸と遥香さん、打ち合わせでもした?」
「なんの事ですか?」
「天然で格言かよっ」
「それよりもさっきの続きです」
その場の雰囲気に流されて遥香が饒舌になっていく。そして、次第に遥香は鳳斗が書いた小説をなにが何でも読んでみたいと思っていた。
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