ユミとマオ

ゆう

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壊れた心

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マンションに帰り私は眠る。

朝が来て目覚めた時、悪夢が終って今まで通りのマオとの幸せな時間を過ごせる。

そう信じて眠る




朝目覚める、マオの家であったことは夢ではない、現実だった。

私はマオを失った。

マオは私だ。

同じ無毛症という病を持つもう一人の私。

二人で一つだった。それを引き裂かれたのだ。

身体が半分になれば生きていけない。

私は生きているが心は死んでいる。





連休中私はどう生活していたのかわからない、食事をした記憶はない、

ダダ泣いて、泣き疲れて眠る。そしてまた起きて泣いた。

連休最終日。

マンションのインターホンが鳴った。

マオが来てくれたの?そう思ってドアを開けた。

マオではない。綺麗な女性が立っていた。

私の記憶はそこまでだった。


気がついた時、病院のベッドだった。私の目の前には綺麗な女性が笑顔で見つめていて、私はようやく兄だと気づいた。

兄は連休中にずっと私に連絡したが繋がらず、新婚旅行のお土産もあったので訪ねて来てくれたらしい。

私は衰弱していて、兄が来た時に気を失った。救急車で病院に運んでくれた。

私は泣きながら、マオとの事を話した。

一週間、入院した。

身体は元に戻ったようだ。心は壊れたまま。

退院し、マンションに戻る。

退院の日を知り、兄嫁のユミさんがマンションの掃除をして待っていてくれた。

心が壊れ変わり果てた私をユミさんは優しく抱きしめてくれた。



マンションはマオとの思い出がありすぎて、私の壊れた心には苦痛でしかない。ベットで眠ることさえできない、一番苦しい。マオと初めて結ばれた場所だから。

ユミさんは兄に相談して、私を田舎に帰す事にした。

仕事も退職した。

マンションは父が買った物なので将来のために賃貸にするらしい。

実家に戻って精神科に通院させられるようになった。

両親は仕事がハード過ぎて、精神的に病んだと思っているようだ。

兄がうまく両親に話してくれたみたい。

月日がたっても私の心は壊れたまま。

実家に戻って2ヶ月ほどたったある日、私がアルバイトをしていた塾の塾長から実家に電話があった。

私は普通に話す事はできるようになっていたので私に直接話しをしてくれた。

内容を聞いて私は愕然としてしまった。

心臓が高鳴り、頭が痛く、耳鳴りもして寒気までも。

私はその場に崩れ落ち、そのまま気を失った。





私と引き離されたマオは傷つき、苦しんで、自ら死を選んだ。

幸い発見が早く一命は取り留めた。

進学した高校も退学し、今は遠く離れた全寮制の学校に入ったらしい。

マオは人が変わったように誰とも喋らないし、自分の殻に閉じ籠もっているらしい。

私はマオの気持ちが痛いほどわかってしまう。心が潰れそうになる。

それから私は起き上がる事もできないほど、心がボロボロになってしまった。

両親に私の異変を聞いた兄が私に会いに来てくれた。

食事も取れてないので、痩せてしまった私を見て涙を流し抱きしめてくれた。

兄にマオの事を伝えた、兄は泣きながら話しを聞いてくれた。

兄「この事は私とユミの秘密にしてくれる?」
そう言って話してくれた。

兄は私の異変を聞いて、マオの所在を確かめて会いに行ってくれていた。

マオの伝言と、マオのパソコンのアドレスを教えてくれた。


マオは自殺未遂で入院したが一週間ほどで退院、そしてかなり離れた学校の寮に入れられたらしい。
厳しいところでマオは管理されてる。

マオも心を病んで、痩せ細っていた。

兄はマオにあった時、ユミの兄だと告げるとマオは号泣して、何度も「ごめんなさい」と謝ったと。

マオが落ち着いてから兄はある提案をマオにした。

兄「○○県にある○○大学に入る事ができれば二人にとって必ずいい方向にに行くわ。」

兄「今は離れて辛いでしょう、でも頑張れば幸せ待ってるから。早く身体を治してね」
そして兄はマオに「お勉強用で許可もらったの」と、ノートパソコンをプレゼントした。

マオは兄を信じる事にした。

兄「今は会えないけどメールで繋がっていれば、いつか必ず幸せに笑えるから」

マオは涙をこぼし、兄に感謝した。


兄にもらったマオの伝言

「ユミちゃんごめんなさい、あの時ユミちゃんが言った事守っていればよかった。もう取り返しができない。ユミちゃんに会えなくなって私は変になっちゃって、それであんな事までしちゃった。心配かけちゃってごめんなさい。ユミちゃんのお兄さん?お姉さんに会ってアドバイスもらったの。私頑張るから、ユミちゃんにはまだ会えないかもしれないけど、幸せが来る事を信じる事にするわ。ユミちゃんも身体早く治してね。たまにでいいからメールくれたら嬉しいです」

私は号泣した。嬉しくて嬉しくて泣いた。

私は兄に感謝しかない、私はいいお姉さんさんがいて幸せだ。

そして私の兄は、いえ、姉は私にもパソコンをプレゼントしてくれた。

兄「まずはちゃんと食べて元気にならなくちゃね。」





暗闇にいた私は最愛の姉に助けられた。













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