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本編
9
淡いグレイッシュ系の緑色を基調にした、マーメイドラインのドレス。
肩から袖はレース、スカート部分にもレースが使われ、ふわりとし上品だった。
流石、ナデージュに相談して決めただけはある、婚約式に相応しい素晴らしいドレスだ。
わたしは鏡の中の自分の姿にうっとりとしてしまった。
いつも何処か冷めている侍女たちも、今は「ぼうっ」とドレスを眺めていて、わたしはうれしくなった。
小さな宝石を使った、耳飾りと首飾りを付けて貰い、わたしは玄関に向かった。
玄関ホールには既にルシアンの姿があった。
ルシアンは既に親戚筋の男爵家の養子になっていたが、これまで通りダントリク伯爵家に住み、父の仕事を手伝っている。
フォーマルに身を包み、前髪を上げたルシアンは、いつもと違って見える所為か、胸がドキドキとしてきた。
「お待たせしました」
「オフェリー、これを」
名を呼ばれてドキリとしたが、差し出された物には更に驚いた。
薄い青色の宝石が嵌め込まれた、銀色の指輪___婚約指輪だ!
まさか、貰えるとは思ってもみなかった。
息を飲むわたしに構わず、ルシアンは手袋の手で器用にわたしの指に指輪を嵌めた。
「ありがとう…素敵だわ」
「形式上、必要ですからね」
その一言に、冷や水を浴びせられた気がしたが、それでも、指輪の美しさは色褪せなかった。
理由なんて何でもいい、わたしはうれしいもの…
領地で一番大きな教会で、神父の元、父と母が見届け人となり、婚約式が執り行われた。
伯爵家に戻り、午後からは庭で大々的に婚約披露パーティが行われた。
ハワードの時は婚約式も婚約披露も、親しい身内のみで、小さなパーティだった。
恐らく、ハワードとの婚約は母が決めた事なので、父は関わりたく無かったのだ。出席する所か前後一月の間は旅に出ていて、顔も見なかった。
今回は父主導で準備が進められ、驚く程豪華になっていた。
招待客も父が厳選し、高位貴族も多く、名士と呼ばれる者たちの姿もあった。次期伯爵のお披露目の意味もあったのだろう、父は機嫌良くルシアンを紹介していた。わたしはルシアンの隣に控え、話に耳を傾けていた。いずれルシアンの手伝いをするなら、情報を知っておかなくてはいけない___そんな日は来るだろうか?
自分でも疑問に思う。
ルシアンの復讐が上手くいけば、わたしは当然、館を追い出されるだろう。きっと、全ては無駄になる。
分かっているのに、わたしは自分を止められ無かった。
ルシアンの役に立ちたい…
もし、ルシアンの役に立てたら、必要として貰えたら、未来は変わらないだろうか?
テーブルには、ナデージュ、彼女の婚約者、そして、コレットとフィリップの姿もあった。
招待客を選ぶ段階で、わたしはナデージュとコレットを呼ぶべきか迷っていた。
二人にはお世話になっているし、仲良くして貰っているが、ルシアンの心情を考えると、呼ばない方が良い気がしたのだ。
だが、当のルシアンから『親友であるフィリップのパートナーとしてコレットが来る』と聞かされた。
ルシアンはそれで良いのかしら?心配になったが、結局、わたしは何も言えなかった。
「ルシアン、婚約おめでとう!」
「ルシアン様、オフェリー様、婚約おめでとうございます!」
「ありがとう、フィリップ、コレット」
二人と話しているルシアンは普段と変わらない様に見える。
「オフェリー嬢、初めまして、ルシアンの同窓のフィリップです。
あなたのお噂はルシアンとコレット、姉からも良く聞いています、お会い出来てうれしい」
一体、何を聞いているのか…深く考えるのは止め、わたしは微笑み返した。
「わたしもフィリップ様のお噂は伺っております、これからもルシアンをよろしくお願いします」
「はい、任せて下さい。素敵な婚約者が出来て良かったな、ルシアン!」
ルシアンが何と返すのか、ハラハラとしたが、建前上、良い婚約者を演じる事にしている様で、「ああ」と笑みを返していた。
わたしには見せない笑顔なのに…
少しだけ、フィリップたちが憎らしくなった。
「オフェリー、婚約おめでとう、ドレスも良く似合っているわよ」
「ナデージュ様、ドレスの相談に乗って下さり、ありがとうございました、とても好評です」
「良かったわ、しっかり宣伝してね」
ナデージュがウインクをし、わたしは笑顔で請け負った。
「確か、前はベラミー伯爵子息と婚約をしていただろう?」
「婚約破棄されたそうよ」
「婚約破棄したんだろう?」
「ベラミー伯爵子息が浮気をしたそうだ、しかし、浮気位許してやれば良いものを…」
「伯爵も夫人もプライドがお高いから許す訳ないわ!」
「ベラミー伯爵と夫人は社交界に出られないそうよ…ああ、恐ろしい!」
「ベラミー伯爵夫人とアベラ夫人は懇意にしていたのになー」
「この婚約も直ぐに立ち消えるかな…派手にパーティをした分、滑稽だな」
父が厳選した招待客なので、父の顔色を窺い、嫌な事を言って来る者はいなかったが、やはり、父の目の届かない所では違っていた。
陰口など聞くものではない…ハワードとアリアナの時に学んだわたしは、気付かれない様に足早にその場を離れた。
婚約破棄をすると直ぐに貴族中に知れ渡ると聞いてはいたが、これまで実感した事は無かった。交友関係が広い訳ではないし、最近は婚約式の準備等もあり、夜会やパーティに顔を出すのを控えていた。
やはり、噂されるわよね…
ルシアンは嫌な気持ちになっていないかしら?
「オフェリー、何かありましたか?」
ルシアンに気付かれ、わたしは慌てた。
「いいえ、何も!何か飲み物を頂きましょう!」
「あからさまに変なんですけど、言えない様な事ですか?」
青灰色の瞳がギラリと光り、わたしは仕方なく打ち明けた。
「わたしの婚約破棄の話をしている方たちがいて…避けられない事だけど、あまり良い気はしなくて…」
「勝手を言っている連中を気にする事はありませんよ」
「ええ、でも、わたしの事で家に迷惑が掛かったらと思うと…」
「考え過ぎですよ、それに、僕を甘く見過ぎです。その程度、僕なら幾らでも撥ね退けられます」
硬い声にギクリとした。
復讐の時を思い出し、わたしは無意識にルシアンの袖を掴んでいた。
「酷い事はしないでね!」
ルシアンが唖然とした表情をし、それから顔を顰めたので、わたしは慌てて「ごめんなさい!」と袖を放した。
婚約披露パーティが終わり、招待客を見送った後、わたしとルシアンは二人になった。
無言でいると、コレットとフィリップの姿が思い出され、罪悪感が込み上げてきた。
「ルシアン…ごめんなさい、わたしたちが居なければ、あなたは好きな人と結ばれたのに…」
「それは、コレットの事ですか?」
わたしが「ええ」と頷くと、ルシアンは小さく嘆息した。
「あなたが誤解している事には気付いていましたが…
僕はコレットを好きだと言った覚えはありません。
何処でそんな風に思われたのか、僕の方が謎なのですが?」
ええ!?そうだったかしら?
前回の時にはそうだと思っていたし、今回だって仲良くしているから…
「あなたが良くするのは、コレット様だけだったから…」
「親友の友人ですし、接触恐怖症の事も知っているので、令嬢避けになって頂きました」
効果はあったわ!気がある様にしか見えなかったもの!
文句を言ってやりたい気持ち、安堵、それから沸き上がる喜びで、わたしの胸は綯い交ぜになった。
「それに、コレットが好きなのはフィリップです。
二人は幼馴染ですから、元々仲が良く、お互い意識し始めてからは擦れ違っていましたが…
近い内に二人は婚約するでしょう」
婚約!?コレットと会っていたのに、全く気付かなかった…
前回は話をする程親しくは無かったし、表面だけを見て判断していたのだ。
そんな自分の愚かさにガッカリした。
「わたしったら、独りで勘違いして、馬鹿みたいね…」
「馬鹿というか…」とルシアンが何やら呟いた。つと、目を上げると、
「僕たちは婚約したので、今度からはあなたに令嬢避けを頼みます、それから…」
綺麗な顔がゆっくりとわたしに近付き、頬に触れるだけの短いキスをした。
「!??」
わたしは思わず頬に手をやり固まった。
心臓の音が速くなる、きっと顔は真っ赤だ!
どうして、急にキスを!??
「仲の良い夫婦を演じられる様、練習に付き合って頂きます」
確かに、婚約者、夫婦となれば、外でもそれなりのスキンシップをするものだし、接触恐怖症を克服するには、日々の努力が必要だ___決して、うれしいなんて思ってはいけない、ルシアンにとっては大変な事なのだから。
「ええ…そうね、頑張るわ」
精一杯、神妙に言うと、何故だかルシアンが「ふふ」と笑った。
肩から袖はレース、スカート部分にもレースが使われ、ふわりとし上品だった。
流石、ナデージュに相談して決めただけはある、婚約式に相応しい素晴らしいドレスだ。
わたしは鏡の中の自分の姿にうっとりとしてしまった。
いつも何処か冷めている侍女たちも、今は「ぼうっ」とドレスを眺めていて、わたしはうれしくなった。
小さな宝石を使った、耳飾りと首飾りを付けて貰い、わたしは玄関に向かった。
玄関ホールには既にルシアンの姿があった。
ルシアンは既に親戚筋の男爵家の養子になっていたが、これまで通りダントリク伯爵家に住み、父の仕事を手伝っている。
フォーマルに身を包み、前髪を上げたルシアンは、いつもと違って見える所為か、胸がドキドキとしてきた。
「お待たせしました」
「オフェリー、これを」
名を呼ばれてドキリとしたが、差し出された物には更に驚いた。
薄い青色の宝石が嵌め込まれた、銀色の指輪___婚約指輪だ!
まさか、貰えるとは思ってもみなかった。
息を飲むわたしに構わず、ルシアンは手袋の手で器用にわたしの指に指輪を嵌めた。
「ありがとう…素敵だわ」
「形式上、必要ですからね」
その一言に、冷や水を浴びせられた気がしたが、それでも、指輪の美しさは色褪せなかった。
理由なんて何でもいい、わたしはうれしいもの…
領地で一番大きな教会で、神父の元、父と母が見届け人となり、婚約式が執り行われた。
伯爵家に戻り、午後からは庭で大々的に婚約披露パーティが行われた。
ハワードの時は婚約式も婚約披露も、親しい身内のみで、小さなパーティだった。
恐らく、ハワードとの婚約は母が決めた事なので、父は関わりたく無かったのだ。出席する所か前後一月の間は旅に出ていて、顔も見なかった。
今回は父主導で準備が進められ、驚く程豪華になっていた。
招待客も父が厳選し、高位貴族も多く、名士と呼ばれる者たちの姿もあった。次期伯爵のお披露目の意味もあったのだろう、父は機嫌良くルシアンを紹介していた。わたしはルシアンの隣に控え、話に耳を傾けていた。いずれルシアンの手伝いをするなら、情報を知っておかなくてはいけない___そんな日は来るだろうか?
自分でも疑問に思う。
ルシアンの復讐が上手くいけば、わたしは当然、館を追い出されるだろう。きっと、全ては無駄になる。
分かっているのに、わたしは自分を止められ無かった。
ルシアンの役に立ちたい…
もし、ルシアンの役に立てたら、必要として貰えたら、未来は変わらないだろうか?
テーブルには、ナデージュ、彼女の婚約者、そして、コレットとフィリップの姿もあった。
招待客を選ぶ段階で、わたしはナデージュとコレットを呼ぶべきか迷っていた。
二人にはお世話になっているし、仲良くして貰っているが、ルシアンの心情を考えると、呼ばない方が良い気がしたのだ。
だが、当のルシアンから『親友であるフィリップのパートナーとしてコレットが来る』と聞かされた。
ルシアンはそれで良いのかしら?心配になったが、結局、わたしは何も言えなかった。
「ルシアン、婚約おめでとう!」
「ルシアン様、オフェリー様、婚約おめでとうございます!」
「ありがとう、フィリップ、コレット」
二人と話しているルシアンは普段と変わらない様に見える。
「オフェリー嬢、初めまして、ルシアンの同窓のフィリップです。
あなたのお噂はルシアンとコレット、姉からも良く聞いています、お会い出来てうれしい」
一体、何を聞いているのか…深く考えるのは止め、わたしは微笑み返した。
「わたしもフィリップ様のお噂は伺っております、これからもルシアンをよろしくお願いします」
「はい、任せて下さい。素敵な婚約者が出来て良かったな、ルシアン!」
ルシアンが何と返すのか、ハラハラとしたが、建前上、良い婚約者を演じる事にしている様で、「ああ」と笑みを返していた。
わたしには見せない笑顔なのに…
少しだけ、フィリップたちが憎らしくなった。
「オフェリー、婚約おめでとう、ドレスも良く似合っているわよ」
「ナデージュ様、ドレスの相談に乗って下さり、ありがとうございました、とても好評です」
「良かったわ、しっかり宣伝してね」
ナデージュがウインクをし、わたしは笑顔で請け負った。
「確か、前はベラミー伯爵子息と婚約をしていただろう?」
「婚約破棄されたそうよ」
「婚約破棄したんだろう?」
「ベラミー伯爵子息が浮気をしたそうだ、しかし、浮気位許してやれば良いものを…」
「伯爵も夫人もプライドがお高いから許す訳ないわ!」
「ベラミー伯爵と夫人は社交界に出られないそうよ…ああ、恐ろしい!」
「ベラミー伯爵夫人とアベラ夫人は懇意にしていたのになー」
「この婚約も直ぐに立ち消えるかな…派手にパーティをした分、滑稽だな」
父が厳選した招待客なので、父の顔色を窺い、嫌な事を言って来る者はいなかったが、やはり、父の目の届かない所では違っていた。
陰口など聞くものではない…ハワードとアリアナの時に学んだわたしは、気付かれない様に足早にその場を離れた。
婚約破棄をすると直ぐに貴族中に知れ渡ると聞いてはいたが、これまで実感した事は無かった。交友関係が広い訳ではないし、最近は婚約式の準備等もあり、夜会やパーティに顔を出すのを控えていた。
やはり、噂されるわよね…
ルシアンは嫌な気持ちになっていないかしら?
「オフェリー、何かありましたか?」
ルシアンに気付かれ、わたしは慌てた。
「いいえ、何も!何か飲み物を頂きましょう!」
「あからさまに変なんですけど、言えない様な事ですか?」
青灰色の瞳がギラリと光り、わたしは仕方なく打ち明けた。
「わたしの婚約破棄の話をしている方たちがいて…避けられない事だけど、あまり良い気はしなくて…」
「勝手を言っている連中を気にする事はありませんよ」
「ええ、でも、わたしの事で家に迷惑が掛かったらと思うと…」
「考え過ぎですよ、それに、僕を甘く見過ぎです。その程度、僕なら幾らでも撥ね退けられます」
硬い声にギクリとした。
復讐の時を思い出し、わたしは無意識にルシアンの袖を掴んでいた。
「酷い事はしないでね!」
ルシアンが唖然とした表情をし、それから顔を顰めたので、わたしは慌てて「ごめんなさい!」と袖を放した。
婚約披露パーティが終わり、招待客を見送った後、わたしとルシアンは二人になった。
無言でいると、コレットとフィリップの姿が思い出され、罪悪感が込み上げてきた。
「ルシアン…ごめんなさい、わたしたちが居なければ、あなたは好きな人と結ばれたのに…」
「それは、コレットの事ですか?」
わたしが「ええ」と頷くと、ルシアンは小さく嘆息した。
「あなたが誤解している事には気付いていましたが…
僕はコレットを好きだと言った覚えはありません。
何処でそんな風に思われたのか、僕の方が謎なのですが?」
ええ!?そうだったかしら?
前回の時にはそうだと思っていたし、今回だって仲良くしているから…
「あなたが良くするのは、コレット様だけだったから…」
「親友の友人ですし、接触恐怖症の事も知っているので、令嬢避けになって頂きました」
効果はあったわ!気がある様にしか見えなかったもの!
文句を言ってやりたい気持ち、安堵、それから沸き上がる喜びで、わたしの胸は綯い交ぜになった。
「それに、コレットが好きなのはフィリップです。
二人は幼馴染ですから、元々仲が良く、お互い意識し始めてからは擦れ違っていましたが…
近い内に二人は婚約するでしょう」
婚約!?コレットと会っていたのに、全く気付かなかった…
前回は話をする程親しくは無かったし、表面だけを見て判断していたのだ。
そんな自分の愚かさにガッカリした。
「わたしったら、独りで勘違いして、馬鹿みたいね…」
「馬鹿というか…」とルシアンが何やら呟いた。つと、目を上げると、
「僕たちは婚約したので、今度からはあなたに令嬢避けを頼みます、それから…」
綺麗な顔がゆっくりとわたしに近付き、頬に触れるだけの短いキスをした。
「!??」
わたしは思わず頬に手をやり固まった。
心臓の音が速くなる、きっと顔は真っ赤だ!
どうして、急にキスを!??
「仲の良い夫婦を演じられる様、練習に付き合って頂きます」
確かに、婚約者、夫婦となれば、外でもそれなりのスキンシップをするものだし、接触恐怖症を克服するには、日々の努力が必要だ___決して、うれしいなんて思ってはいけない、ルシアンにとっては大変な事なのだから。
「ええ…そうね、頑張るわ」
精一杯、神妙に言うと、何故だかルシアンが「ふふ」と笑った。
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甘めな話になるのは20話以降です。