6 / 21
こんなに荒れるなんて知りません
差し出した手は空中を搔いて、力なくベッドに投げ出された。
「エリーゼ、もっと、見せて」
うっとりとした声で呼び掛けられても、エリーゼの口からは荒い息が繰り返される。
ベッドに縫い止められるように押さえつけられて、ずっと深いキスをされている。
なぜ彼がこうなってしまったのかわからない
今日出席する夜会のために迎えに来てくれた。ぴったりと寄り添って囁きかけて、お兄様に見せつけるように連れだした。
先日、アルフレッド様が婚約を以前から打診していたと知って両家の話し合いが持たれた。来月には正式に婚約者となる。
それからというもの、アルフレッド様は前よりも甘い。
「俺と結婚するのは確定だからのんびりエリーゼを慣れさせようと思ったけど、伝わってないなら意味ないから。本気で甘やかそうと思って」
過保護というか、夜会では本当に付きっきりだ。
それでも、騎士団の仲間に、呼ばれて離れることがあった。令嬢たちに囲まれている。
飲み物を手に壁際に行くと、一人の男性に話しかけられた。
「エリーゼ嬢、彼の相手はお疲れではないですか?あなたの伴侶として彼は少し奔放すぎるのでは」
視線を向けるように促された先には、令嬢に腕をからめられたアルフレッド様。
笑い声の上がるその一画は目立っていて、チラチラとエリーゼを見る婦人たちもいる。扇で口元を隠しているけれど、多分同情半分、嘲り半分といったところだろう。
「あなたのような貞淑な妻を迎える者は幸運だ。あなたなら夫が愛人を作ろうと文句を言わず控えめにいるだろうから。そう思って求婚する不埒な者が多数いるそうですよ、噂ですが」
ねっとりとした声に、嘲りを感じた。
「私ならあなたをそんなふうに扱わず大切にできると思うのですが」
給仕を呼び止めて、グラスを合わせようとする。
渡される前に、自分でグラスを取って一気に飲んだ。
「エリーゼ嬢?何を……」
「私の伴侶を心配していただく義理はございませんわ」
貞淑、控えめ、レディらしく。
常にそう自分に言い聞かせていたけれど。
止めちゃおうかな、
だって、それは
アルフレッド様に見せたかった姿なんだもの。
息を吸って、男性にもう一言いってやろうかと思った時に
後ろから抱き締められた。肩を抱かれている。
「私の婚約者に何か?」
低い声。
「あ、いや」
「お引き取りください。私のエリーゼには必要ないようですから」
男性は、ぶつぶつと何か言いながら去っていった。
周囲の注目を集めていたけれど、みんながわざとらしくそれぞれの談笑を始めた。
「エリーゼ、顔が赤い」
「そうですか?
さっきお酒を飲んでしまったかも、」
それと、久しぶりに怒ったから?
お酒を勢いよく飲んでしまったけれど、初めて飲む種類だった。胃の底がポカポカする。
「エリーゼ、つかまって。
休憩室に行こう。ね?」
「やだ」
「やだ、って、何それ可愛い、いやダメだって。こんな姿見せられないよ。お願いだからエリーゼ」
体でエリーゼを隠すようにして連れ出した。
「気分は悪くない?」
「気分悪いわ」
「ええっ、横になる?」
「私、アルフレッド様が他の方といるの平気なわけじゃないのよ。」
そのとたん、横抱きにされた。
「酔ってるだろうから、あまり動かさないほうがいいだろうね。少し横になろうね」
言葉は優しいのに目が輝いていて、舌なめずりする狼を思わせた。
そのまま、キスをされて体を触られている。
これは、もしかして結構危ないのでは
「エリーゼ、もっと、見せて」
うっとりとした声で呼び掛けられても、エリーゼの口からは荒い息が繰り返される。
ベッドに縫い止められるように押さえつけられて、ずっと深いキスをされている。
なぜ彼がこうなってしまったのかわからない
今日出席する夜会のために迎えに来てくれた。ぴったりと寄り添って囁きかけて、お兄様に見せつけるように連れだした。
先日、アルフレッド様が婚約を以前から打診していたと知って両家の話し合いが持たれた。来月には正式に婚約者となる。
それからというもの、アルフレッド様は前よりも甘い。
「俺と結婚するのは確定だからのんびりエリーゼを慣れさせようと思ったけど、伝わってないなら意味ないから。本気で甘やかそうと思って」
過保護というか、夜会では本当に付きっきりだ。
それでも、騎士団の仲間に、呼ばれて離れることがあった。令嬢たちに囲まれている。
飲み物を手に壁際に行くと、一人の男性に話しかけられた。
「エリーゼ嬢、彼の相手はお疲れではないですか?あなたの伴侶として彼は少し奔放すぎるのでは」
視線を向けるように促された先には、令嬢に腕をからめられたアルフレッド様。
笑い声の上がるその一画は目立っていて、チラチラとエリーゼを見る婦人たちもいる。扇で口元を隠しているけれど、多分同情半分、嘲り半分といったところだろう。
「あなたのような貞淑な妻を迎える者は幸運だ。あなたなら夫が愛人を作ろうと文句を言わず控えめにいるだろうから。そう思って求婚する不埒な者が多数いるそうですよ、噂ですが」
ねっとりとした声に、嘲りを感じた。
「私ならあなたをそんなふうに扱わず大切にできると思うのですが」
給仕を呼び止めて、グラスを合わせようとする。
渡される前に、自分でグラスを取って一気に飲んだ。
「エリーゼ嬢?何を……」
「私の伴侶を心配していただく義理はございませんわ」
貞淑、控えめ、レディらしく。
常にそう自分に言い聞かせていたけれど。
止めちゃおうかな、
だって、それは
アルフレッド様に見せたかった姿なんだもの。
息を吸って、男性にもう一言いってやろうかと思った時に
後ろから抱き締められた。肩を抱かれている。
「私の婚約者に何か?」
低い声。
「あ、いや」
「お引き取りください。私のエリーゼには必要ないようですから」
男性は、ぶつぶつと何か言いながら去っていった。
周囲の注目を集めていたけれど、みんながわざとらしくそれぞれの談笑を始めた。
「エリーゼ、顔が赤い」
「そうですか?
さっきお酒を飲んでしまったかも、」
それと、久しぶりに怒ったから?
お酒を勢いよく飲んでしまったけれど、初めて飲む種類だった。胃の底がポカポカする。
「エリーゼ、つかまって。
休憩室に行こう。ね?」
「やだ」
「やだ、って、何それ可愛い、いやダメだって。こんな姿見せられないよ。お願いだからエリーゼ」
体でエリーゼを隠すようにして連れ出した。
「気分は悪くない?」
「気分悪いわ」
「ええっ、横になる?」
「私、アルフレッド様が他の方といるの平気なわけじゃないのよ。」
そのとたん、横抱きにされた。
「酔ってるだろうから、あまり動かさないほうがいいだろうね。少し横になろうね」
言葉は優しいのに目が輝いていて、舌なめずりする狼を思わせた。
そのまま、キスをされて体を触られている。
これは、もしかして結構危ないのでは
あなたにおすすめの小説
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
双子の姉に聴覚を奪われました。
浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』
双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。
さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。
三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
閨から始まる拗らせ公爵の初恋
ボンボンP
恋愛
私、セシル・ルース・アロウイ伯爵令嬢は19歳で嫁ぐことになった。
何と相手は12歳年上の公爵様で再々婚の相手として⋯
明日は結婚式なんだけど…夢の中で前世の私を見てしまった。
目が覚めても夢の中の前世は私の記憶としてしっかり残っていた。
流行りの転生というものなのか?
でも私は乙女ゲームもライトノベルもほぼ接してこなかったのに!
*マークは性表現があります
■マークは20年程前の過去話です
side storyは本編 ■話の続きです。公爵家の話になります。
誤字が多くて、少し気になる箇所もあり現在少しずつ直しています。2025/7
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
【完結】私は義兄に嫌われている
春野オカリナ
恋愛
私が5才の時に彼はやって来た。
十歳の義兄、アーネストはクラウディア公爵家の跡継ぎになるべく引き取られた子供。
黒曜石の髪にルビーの瞳の強力な魔力持ちの麗しい男の子。
でも、両親の前では猫を被っていて私の事は「出来損ないの公爵令嬢」と馬鹿にする。
意地悪ばかりする義兄に私は嫌われている。