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神殿
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セドリックは神殿に来ていた。儀式の打ち合わせのためだ。
神殿には神官や聖女見習いが生活を共にしている。
セドリックは自分では特に信心深いとは思っていなかった。それでも信仰に身を捧げている彼らを見て尊敬していた。彼らに恥じないような儀式にしたいと思い、自分なりに作法を学んで祈りを捧げている。
騎士として剣を振るうことに誇りはある。
しかし儀式のときは神話の再現のように見せるために舞う。
剣を使わずに済むのならそれに越したことはない。
自分の鍛練は欠かさないけれど、強さを誇るだけの騎士たちに混ざることが面倒になった。
強くあることと強く見えることは違う。
女性から人気があることも。結果的に多くの人から支持されるのは、正しいからだろう。しかし、支持されることを目的にするのは正しいとは限らない。
セドリックは単純な思考回路だと思う。
従兄弟のセグラー兄弟からは脳筋とか単細胞と言われている。
恋愛は複雑なので苦手だ。
それでも、妹の恋はわかりやすかった。幼い頃から妹がずっと懐いていたのはルーベンスだから。
変な男と付き合うよりは安心できる。
二人とも想い合っているのは明らかなのになぜさっさと婚約しないのだろう。
セドリックは神殿の天井を眺めた。
結婚の誓いを神殿ですることも認められている。
若い男女が神殿で話していた。
その初々しい感じと、ルーベンスの様子は違う。
ルーベンスは考えてから行動する。口が先に動くセグラー兄弟や、体を動かすしかない自分とは違う。
軽はずみなことはしない分、弱音も吐かない。
見た目より、ずっと強くてしなやかな蔓のような男だ。
その夜、ルーベンスを訪ねた。
「セドリック……」
顔を見るなり苦い顔。
そんなに圧力をかけているつもりはないのに。
「ルー、お前クララのことが好きだろう」
ここにセグラー兄弟がいたらセドリックの口を押さえただろう。
「……好きだけど」
「そうか、なら良かった」
「えっ、帰るの?それだけ?」
「二人の気持ちがわかればそのうち、なるようになる。わからないのに待つのは癪だっただけだ」
「セドリックは、いつもそうだよね。信じてくれる。それなのにいつも、僕は勇気がなくてごめん」
「そうか?私は多分、そうなるようになるもんだと思っているだけだ。」
「クララは元気?」
「元気だ」
「そっか。会いに行くよ。」
「ああ。うちにも来てくれ」
「エドガー様が怒らないかな」
「多分お前なら大丈夫」
……
「だと思う」
珍しくセドリックが言い直した。
神殿には神官や聖女見習いが生活を共にしている。
セドリックは自分では特に信心深いとは思っていなかった。それでも信仰に身を捧げている彼らを見て尊敬していた。彼らに恥じないような儀式にしたいと思い、自分なりに作法を学んで祈りを捧げている。
騎士として剣を振るうことに誇りはある。
しかし儀式のときは神話の再現のように見せるために舞う。
剣を使わずに済むのならそれに越したことはない。
自分の鍛練は欠かさないけれど、強さを誇るだけの騎士たちに混ざることが面倒になった。
強くあることと強く見えることは違う。
女性から人気があることも。結果的に多くの人から支持されるのは、正しいからだろう。しかし、支持されることを目的にするのは正しいとは限らない。
セドリックは単純な思考回路だと思う。
従兄弟のセグラー兄弟からは脳筋とか単細胞と言われている。
恋愛は複雑なので苦手だ。
それでも、妹の恋はわかりやすかった。幼い頃から妹がずっと懐いていたのはルーベンスだから。
変な男と付き合うよりは安心できる。
二人とも想い合っているのは明らかなのになぜさっさと婚約しないのだろう。
セドリックは神殿の天井を眺めた。
結婚の誓いを神殿ですることも認められている。
若い男女が神殿で話していた。
その初々しい感じと、ルーベンスの様子は違う。
ルーベンスは考えてから行動する。口が先に動くセグラー兄弟や、体を動かすしかない自分とは違う。
軽はずみなことはしない分、弱音も吐かない。
見た目より、ずっと強くてしなやかな蔓のような男だ。
その夜、ルーベンスを訪ねた。
「セドリック……」
顔を見るなり苦い顔。
そんなに圧力をかけているつもりはないのに。
「ルー、お前クララのことが好きだろう」
ここにセグラー兄弟がいたらセドリックの口を押さえただろう。
「……好きだけど」
「そうか、なら良かった」
「えっ、帰るの?それだけ?」
「二人の気持ちがわかればそのうち、なるようになる。わからないのに待つのは癪だっただけだ」
「セドリックは、いつもそうだよね。信じてくれる。それなのにいつも、僕は勇気がなくてごめん」
「そうか?私は多分、そうなるようになるもんだと思っているだけだ。」
「クララは元気?」
「元気だ」
「そっか。会いに行くよ。」
「ああ。うちにも来てくれ」
「エドガー様が怒らないかな」
「多分お前なら大丈夫」
……
「だと思う」
珍しくセドリックが言い直した。
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