どうせ政略結婚だから、と言われた話

仙桜可律

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ブルーノ

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アルテとブルーノが夜会に出るようになり周囲も二人の婚約が近いのだろうと思った

「やっぱり弟のほうがアルテ嬢と合うんだな」
年齢もちょうど良いし、最近の二人の様子は初々しく微笑ましい

ブルーノの親しい友人たちは笑っていた

「俺たちからすれば、やっとここまできたか、って感じだけどな」
「あいつの執着心は漏れてたから」

「良かったけど、さ。」

「なんだよ」

「ブルーノ、今ものすごく我慢してるんだろうね」

アルテ嬢をエスコートしながら、紳士的に手を取っているが強く握らないように気をつけているようだ。

肩や腰に手を添えるときも、何度かグッと握ってからそろそろと手を伸ばしてる
「我慢してた反動で大変なことにならないといいけど」

一瞬、みんながグラスを持つ手が止まった

(いやまさかそんな)
(やっと婚約が決まったのに)

「大丈夫だろ、まさかブルーノだって……」
「令嬢たちに靡かないけど会話することは慣れてるし」
「そんなお預け喰らってた子供みたいに」

ハハ、と乾いた笑い

(ありえるな)

友人たちの視線の先にはブルーノとアルテ

婚約者を気遣う様子が微笑ましい

ブルーノはアルテと壁の近くで話していた

「疲れたか?」
「大丈夫よ。ブルーノはお友達の方とあまり話してないけど、いいの?」
「いいよ、あいつらなんか」
「ひどい言い方ね」
「俺が離れてる間にアルテに他の男が近づいたら困る」
「そんな人はいないわ」
「他の奴を見るだけでも面白くない」

「ブルーノってそんなに……」

「なに?」
「心配性だったの?」

「嫌になったか?」
「ううん、今までの恋人は大変だったのかなってちょっと思っただけ」

「……アルテが心配。

違う、アルテが俺よりも他の奴を見るのが嫌なんだ。器の小さいガキみたいなこと言ってゴメン。

あと、今までなんて」

「ちょっとあちらのお菓子を取ってきます!」

アルテは逃げた

ブルーノはその背中を追いかけようとして、止まった

「執着されてて嫌なのかな、でも仕方ないよな
アルテがせっかく良い感じで最近緊張しなくなってきたのに」


「おい、声に出てるぞブルーノ」

友人が背後から寄ってきた

「アルテ嬢に逃げられたのが見えたから来た」

「俺……結婚したらアルテを閉じ込めるヤバい旦那になるかもしれない」

「結婚するまで我慢できたら褒めてやる」

ブルーノが数秒間固まって、赤くなった

(こいつ、)

そわそわしてるブルーノに友人たちは立ち去った。

一人は、アルテが男性に話しかけられていたのでさりげなく様子を見に行った


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