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第二章 〜水晶使いの成長〜
第19話 初の寮生活
しおりを挟むあ~~、最っ高!
ソファーはないけど、ちゃぶ台だけど、そんぐらいしか不満がない!
寝間着は浴衣か。下着まで用意されてら。
それぞれ3着ずつあるな。
そして、何より驚いたのがこれ!
洗濯機!!
村じゃ、洗濯物を甕に入れて、中の水を高速でぐるぐる回さないとできなかったからなぁ。
それをしないで済むのが、これ!
魔力を少し入れるだけで全部やってくれる優れ物! この世のエネルギーは全部魔力なんだけどさ。
水を自動で吸い上げ、自動で排出。しかも乾燥まで全自動!
学校の裏には湖があって、そこから水を吸い上げているらしい。湖の向こう側は山脈のため、水は安定して供給され続ける。
村は水源が井戸だったからなぁ。山が近かったから水が枯渇することはなかったんだけど、井戸じゃあ洗濯機は使えなかった。
それが……その洗濯機が……今ここに……! 感動……!
そして風呂!
シャワー完備で、村使ってたのと同じ洗剤。
石鹸とかないのかな、この世界。貝殻から作れた気がするんだが……。まあいいや。
この洗剤はいい匂いだから。
ただ、この洗剤はなくなったら自分で買わないといけないらしい。1階で売られてるそうだ。
金か……。土日休みとかはバイトやらされるらしいからな。それで買うのか。
次にキッチン!
トースターあり、炊飯器あり、レンジあり、冷蔵庫あり!
どれも家で使ってたのとは違う型だが、ちゃんと説明書があった。バーナーまで用意されてた。
ちなみに、このバーナーも魔法具である。
コンロまでちゃんとある。コンロのないキッチンなんか、ただのキッチンだからな。
ただ、さすがに食べ物はなかったな。さすがに自分で買わないとな。明日行ったら土日休みだから、その時に買い物に行こうかな。
いや、土曜はバイトするか?
学費とか寮代とかはどうなるんだろうか? 無料ってわけはないだろうしな。
金といえば、村の学校での授業が思い出される。
流通している硬貨は、銅貨、半銅貨、銀貨、半銀貨、金貨、半金貨、白金貨。
白金貨を基準にすると、価値は
白金貨1枚 = 金貨100枚
金貨1枚 = 銀貨100枚
銀貨1枚 = 銅貨100枚
半、とつくものは、1/10の価値、つまり、
半金貨10枚 = 金貨1枚
半銀貨10枚 = 銀貨1枚
半銅貨10枚 = 銅貨1枚
銅貨1枚が100円と同じ感覚だな。
農民は、職業の1種で、月末には給料が支給される。たしか、銀貨30枚だったか。一家族辺り、だけど。
先生は農民もやってたが、独身のため銀貨20枚とか嘆いてたな。
ちなみに家電は、1つ辺り、大体半銀貨数か銀貨が飛ぶ。
まあ、金はあっても使い道があんまりなかったんだけどな。村の中じゃ、物々交換が主だったし。
税も金は払ったけど、作物も税扱いだったからな。作物で済む場合がほとんどだった。
お、なんやかんや感動してたら、もう18時か。
晩飯食べにいこ~。たしか、1階に降りる階段は……あれ、どっちだっけ?
誰か通るまで待ってみよ。
数分後、ようやく人が通った。右に行くんだな。
少し間を空けて行こうか。
……にしても、足音があまりしないな。
聴覚強化を発動させてもあまり聞こえない。まあいい、行くか。
食堂に着いても、人は全然いなかった。普通、時間とともに駆け込むもんじゃねぇのか? わからん……。
バイキング形式か。さてさて、料理を盛っちゃいましょうかねぇ。
「──あ、ラインさん、また会いましたね」
ん? この声は……
「ノヨか、ロイズはどこだ? 一緒じゃないのか」
今思った。女子の名前を呼び捨てにしてる。いや、この世界じゃ普通なんだけどさ。
さん付けとか、名字で呼ばれることとかほとんどないんだけどさ。
……う~む。
「ゴースとミルを呼びに行ってます。私は、席の確保のため、先に来たんですよ」
「そうだったのか。ってことは、みんな同じクラス?」
「そうですね。ところでラインさんは、一緒に食べる人はいます?」
「いや、いないな。お邪魔してもいいか?」
「そのつもりですよ」
よかった~~。話せる人がいると、食事の場も華やぐというものだ。音楽で代用もできるけど……ないからなぁ。
好きなアーティストの歌詞は40曲以上覚えてたから、『不可知の書』に全部書き写してあるけど。
英語だからな。歌えない。日本語のやつは歌ってもいいだろう。
その場合、著作権どうなるんだ? 俺が作ったことになりそうな気がする。
「ところでさ、ノヨのその喋り方は素なのか?」
「ええ、そうですよ。誰に対してもこの喋り方です」
「そうか」
適当に盛って、席を確保した。
オレのメニューは、ご飯、味噌汁、生卵、サラダ、焼肉を数枚、お茶。
味噌汁とご飯、お茶があるとは、この世界はなんて素晴らしいんだ……!!
野菜は前世と同じものがほとんど。微妙に違うのもあるけど。
ちなみに、ノヨのメニューは、ご飯、野菜スープ、サラダ、手羽先、水。
手羽先は、鶏ではなく、鶏に近い魔獣のものだ。豚、鶏に代わる魔獣は飼育されている。
ノヨはヘルシーメニューだな。
「ラインさん、少しお手洗いに行ってきます」
「ああ、わかった」
さて、一人になった。
3人はそろそろ来るかな。
お、来た来た。3人とも思い思いに料理を盛って来た。
「よう、ライン! まさか本当に会えるとは思ってなかったぜ」
「オレもだ。ノヨに偶然会ってな」
「あれ、ノヨは?」
「トイレだよ」
ふむ……。3人とも、肉系統が多めだな。
ミルなんかは、ノヨと同じく野菜中心だと思ってたんだけど。
少ししてノヨが帰ってきたため、みんなで食べ始めた。
「ん!」
「美味い!」
うわ! ほんとだ、めちゃ美味ぇ。
野菜なんかも瑞々しい。肉はまだ熱いし。ご飯も味噌汁もホッカホカだ。
それから、美味い飯を食べながら、他愛もない話をした。
「まさか、4人とも同じクラスに呼ばれてるとはな。ちなみに、何組?」
「4組だ」
4組か……。教室は端っこ同士だな。
「1組の先生、イケメンだそうですね。実のところ、どうなんですか?」
う~わ~。やっぱこういう話好きなんだ。
ロイズは……興味なさそうだな。
「そうなんじゃないか? オレから見たらイケメンだと思ったけど」
「どういうタイプのイケメン?」
「爽やか、かな」
爽やか……かな。甘いマスクだし、いいか。イケメンだと伝われば。
「そっちの先生はどうなんだ?」
「厳つい」
「筋骨隆々って言葉がしっくりくるような先生だったな」
「あんな先生に反抗する気力なんかなくなりますね」
厳ついのか。しかも筋骨隆々……。大剣使いなのかな。
そういうキャラ……だよな、さすがに。
「たしか、槍が得意って言ってたよな」
槍か~。そこで槍が来るか~。
「ラインの先生はどうなんだ?」
「そこら辺は何も言ってなかったな。明日の自己紹介で言うんじゃないか?」
自己紹介、何を喋ろうかな。何にも話したいこととかないしな。
「そういえば、バイトはどうする?」
「僕たちはやるって話になったよ。僕たちは全員、平民だからね。少しでも稼がないと」
「ラインはどうするつもり? ……ラインはまさか、貴族?」
「いや、平民だ。バイトはする予定だ。どのぐらいの人がバイトするのかわからなかったから聞いてみただけだ」
バイトは学校が斡旋してくれるって話だったよな。そこら辺も明日かな。
「そういや、バイトって言っても、この学校、結構たくさん人いるよな。そんな仕事見つかるもんなのかねぇ。この学校で一つの都市みたいだし」
「それについては、心配ないよ。この学校は一つの都市だけど、領都は馬車で30分進めばあるし、それと同様にいくつかの村が近くにある」
中間地点にあるのか。
たしかに、オレの村から馬車で3時間ほどだったけど、その間にいくつか村が見えたからな。
「学費は親が払ってくれてるしな。銀貨1枚と半銀貨が数枚……銀貨2枚だったか? バイトは小遣い稼ぎ兼、親へのお返し」
「大体1/3の生徒はバイトはしないそうですね。裕福な家だったり、稼ぎが多い家、稀に貴族の子どもがいますね」
そっか、この世界は貴族って意外と少ないんだったな。
まず、各大臣。近衛騎士団の各隊長、副騎士団長、騎士団長。各領の領主、各区長。
区は、複数の村を一纏めにしたもの。前世の県にあたる。領は地方だな。
こんなものだったか。
「でもよ、どこかに大臣の息子がいるって聞いたぞ? しかも、大臣の息子であることを鼻にかける面倒くさいやつらしいぞ」
「ふん! ここじゃ力が全てだろ? なら、勝てばいいんだ、力で」
「……ラインの言う通り。勝てばいい」
勝てばいいんだよ。
戦いは好きだし、喧嘩を売られたら速攻買えばいい。簡単な話じゃねぇか。
「「ごちそうさまでした!!」」
「いや~、美味しかったなぁ」
「もう帰るか。人も増えてきたし」
「今になって、ようやく、な。あ、オレ持ってくから、重ねてくれ」
全く、今の今までなにしてたんだか。みんなちゃんと「ありがとう」と言って重ねる。
「ごちそうさまでした~、美味しかったです」
と言って食器を下げた。
「明日も、今の時間で食べようぜ。ラインは現地集合にするか? それとも、呼びに行こうか?」
「いや、ここに勝手に来てるよ。オレが先だったら、今日食べた辺りで席取っとくからさ」
そして各々の部屋に戻り、寝る準備をして寝ることにした。
風呂、気持ちよかったなあ。ベッドもふっかふかだ。
緊張の糸が解けたのもあり、久しぶりに熟睡できた。
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