浮気夫、タイムリープで地獄行き

おてんば松尾

文字の大きさ
7 / 31

第7話 三度目の人生

しおりを挟む
三度目の人生。

目が覚めると、また私は5年前にタイムリープしていた。
3回目のやり直しだ。

もう嫌だと思った。
このまま死なせて欲しいと思った。

三度目もまた同じ病院で重症妊娠悪阻に苦しみながら目が覚めた。

きっと今までのやり方が間違っていた。
神様は私に死ぬことを許さなかったのだ。
後悔や憎しみを抱きながら苦しんで死ぬのは本望ではない。

私はやるしかないと思った。

今度こそ間違いは犯さない。
……愛する子どもたちを絶対に手放したりはしない。

そう決意して、私は5年前と同じ病室の同じ天井の同じシミを見つめた。

義母がお見舞いに来ていた。
もう、慣れた状況だったが、彼女は相変わらず毒舌だった。

前回の人生で、義母は河合愛梨と上手くやっていけたのだろうか。
そんなことを考えながら、義母のおしゃべりは聞いていなかった。

正直、今更彼女にどう思われようとどうでもよかった。

5年前と同じように、看護師さんが義母を追い出してくれた。

看護師さんは「たいへんね」と苦笑いして、私の体温を測ってくれた。
私は彼女にお礼を言った。

「ありがとうございました」

これは前回も経験したことだった。

「看護師さん。私は食べ物を受けつけません。この差し入れ職員の皆さんで食べて下さい」

義母の差し入れをそのまま持っていってもらう。

「ふふ、ありがとうございます。遠慮なく頂きますね」

一カ月の入院中、義母が何度も見舞いに来た。その都度私は具合が悪くなるので、途中から面会謝絶にしてもらった。
今回はもう義母が病院に来ないよう、早々に面会できないようにしてもらう。

「面会謝絶にできますか?」

「大丈夫、できます。安静にしてもらうという事で面会は断りましょうね」

「すべての人の面会を断ってもらえますか?」

「え、と……ご主人とかお友達とかは?」

「主人の面会も断って下さい。連絡は主人に入れておきますが、もし病院に来ても断って下さい。義母の手前、夫だけ面会できると思われたくないので」

「そうですね……わかりました」

「ありがとうございます。お手数かけます」

人生で三度目に会う、同じ看護師さんだった。

相変わらず、機転が利く彼女は凄いなと思った。
助けてくれる人が病院内にいて有難い。

これで入院期中1ヶ月の間、これからの計画を練る事ができる。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

処理中です...