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「そうですね。私は休みなく勉強し、働かされることが当たり前でした。毎日が休みで遊びだったサーシャを羨ましいと思っていました」
よし、プライドを投げ捨てて、認めた。
「そうか。やはり、不公平だと感じていたのだな……」
「ええ。ですから、私は今まで休めなかった分休みを取り、今まで遊べなかった分遊びたいと思っています」
お父様は一気に不機嫌になった。
「それは侯爵家の執務を手伝わず、勉強もしないと言う事か?」
「サーシャと同じですよね。そう振る舞えば、私は毎日が休みで遊んで暮らせるのですから」
「ふざけたことを、お前はそれで良いと思っているのか?」
「サーシャが羨ましいので、それで何の問題もないですわ」
「今まで育ててもらった恩を仇で返すつもりなのだな」
「サーシャと同じことをするだけですわ」
どれくらい睨み合いの沈黙が続いただろう。
お父様は深いため息をつきながら、眉をひそめて首を横に振った。
***
結局、頭に血がのぼった状態では冷静な話ができないということになり、私はお父様の執務室を後にした。
婚約者のレインがサーシャと仲良くしているところを見て、私は嫉妬してしまった。
お父様の中ではそういう結論が出ているようだった。
確かにそう取られてもおかしくない。
急に執務を放棄したり、自分が受けていた教育に対し文句を言ったのも、全て嫉妬として片付けられた。
自室に戻って、夜着に着替えて寝る準備をしながら、この先のことを考えてため息をついた。
ララが髪にブラシを入れてくれている。
「旦那様はなんと言われました?」
心配そうに声をかけてくれた。
「レインと二人でじっくり話し合いなさいって」
「馬車で送ってもらう間は二人きりになりますものね。話をする機会を与えられたのでしょうね」
「レインは、私との結婚を本当に望んでいるのかしら」
「それは私には分かりません。直接、正直な気持ちをレイン様に訊かれたらいかがですか?」
「お父様は、レインはサーシャを妹としか思っていないって言ってたわ。彼はこれから家族になるのだから、義理の妹として仲良くなりたいと思っていただけだそうよ」
何を話し合ったとしても、レインは私に正直な気持ちは語らないだろう。
政略結婚だとはいえ、彼にとって私は妻になる令嬢だ。一緒に生活をしていかなければならない相手と、仲が悪いまま夫婦になるのは避けたいだろう。上辺だけでも私の機嫌を良くしようと取り繕うはずだ。
政略結婚して、侯爵家に入るのが彼の決められたルートなのだから。
「メイベル様が窓から落ちて1週間が経ちました。レイン様のお見舞いは断っていましたが、何度も屋敷にいらしてました。花束やお菓子のお見舞いも頂戴しています」
レインが来ていることは聞いたけど、会うつもりはないと断ってもらっていた。
それも、嫉妬して拗ねているだけだと思われていた可能性がある。
「私はお見舞いの品なんていらないと言ったのに、伝わってなかったのね」
「奥様が、お礼のお手紙を渡してらしたのを見ました。メイベル様が受け取りを拒否されていることは伝わっていると思います」
さすがに私が喜んで受け取っているとは思っていないのね。
「婚約解消を望んでいることはちゃんと伝わっているのかしら、お父様がそれは認めないと言っているし」
「やはり、お二人で話をするべきですね。レイン様には婚約解消を願っていることを伝え、サーシャ様と結婚すればいいと話されたらどうですか?」
「それは、そうなんだけど……」
「サーシャ様とレイン様が結婚して侯爵家を継ぐとなれば、メイベル様は他家に嫁ぐことになりますよね」
ララは自分で言ってから、私の今後の事を考えなければと気が付いたようだ。何か良い方法はないかと頭をひねっている。
「お父様としては、小さなころから侯爵家の跡取りとして、教育してきた私を手放したくはないみたいなの」
「旦那様は、侯爵家の仕事を他の者に任せたくないのでしょう。お嬢様は侯爵家の跡取りですし、カリスマ性もありますし完璧で優秀ですから。とにかく、私はいつでもメイベル様の味方です」
レインと婚約を解消すれば、サーシャたち二人が結婚してこの屋敷に住む。
私が他の貴族へ嫁に行かなければ、私は結婚せず売れ残りの令嬢としてずっと実家にいることになる。
私にとって一番最悪なルートは、お父様の仕事を手伝いながら、一生侯爵家に尽くして生きていく『いかず後家ルート』だ。
「ララ、ありがとう」
私は笑顔で頷いた。
けれど心の中では、解決策を見いだせないまま深いため息をついた。
ややこしくないのは、このままレインと私が結婚し侯爵家を継ぎ、サーシャはそれなりの爵位を持つ他の令息の家に嫁ぐことだろう。
それは最初に決まっていたシナリオだ。
レインは心の中でサーシャを愛している。それでも私の夫としてこの侯爵家の婿になる。
一生叶わぬ想いを抱えて、レインは私と結婚生活を送るつもりなのだ。
何か……なんだか、私、関係なくない?
彼らが悲恋のために添い遂げられない関係であったとしても、悲劇のヒーロー、ヒロインみたいになりたいのだとしても。
私って関係なくない?邪魔とかしないし、なんなら応援するし。
とにかく全力で、レインなんかサーシャにあげるし。のしつけるし。
「……私から、言うのがまずいのかも?婚約解消をレインがお願いすればよくない?」
ふとそんな考えが頭に浮かんだ。
「え?なんですか?お嬢様」
「いいえ、なんでもないわ」
私はそろそろ寝るわとララに言い、ベッドに横になった。
レインから婚約解消を言わせればいい。
そうすれば、無理に結婚する必要はなくなるし、お父様も納得せざるを得ない。
私には不名誉な噂が付きまとうけど、このまま結婚するよりましだ。
婚約解消された私に新しい縁談は来ないかもしれないけれど、時間は稼げる。
いざとなれば、侯爵家を出て行けばいい。
お父様に頼らず自分で生きていく道を見付けよう。
サーシャもその気になるように誘導すればいい。
そうと決まれば……
とにかく敵の考えを探らなければならないわね。
明日は忙しくなりそうだわ。
少し明るい未来が見えたと、何とか自分にいい聞かせて今夜は眠ることにした。
よし、プライドを投げ捨てて、認めた。
「そうか。やはり、不公平だと感じていたのだな……」
「ええ。ですから、私は今まで休めなかった分休みを取り、今まで遊べなかった分遊びたいと思っています」
お父様は一気に不機嫌になった。
「それは侯爵家の執務を手伝わず、勉強もしないと言う事か?」
「サーシャと同じですよね。そう振る舞えば、私は毎日が休みで遊んで暮らせるのですから」
「ふざけたことを、お前はそれで良いと思っているのか?」
「サーシャが羨ましいので、それで何の問題もないですわ」
「今まで育ててもらった恩を仇で返すつもりなのだな」
「サーシャと同じことをするだけですわ」
どれくらい睨み合いの沈黙が続いただろう。
お父様は深いため息をつきながら、眉をひそめて首を横に振った。
***
結局、頭に血がのぼった状態では冷静な話ができないということになり、私はお父様の執務室を後にした。
婚約者のレインがサーシャと仲良くしているところを見て、私は嫉妬してしまった。
お父様の中ではそういう結論が出ているようだった。
確かにそう取られてもおかしくない。
急に執務を放棄したり、自分が受けていた教育に対し文句を言ったのも、全て嫉妬として片付けられた。
自室に戻って、夜着に着替えて寝る準備をしながら、この先のことを考えてため息をついた。
ララが髪にブラシを入れてくれている。
「旦那様はなんと言われました?」
心配そうに声をかけてくれた。
「レインと二人でじっくり話し合いなさいって」
「馬車で送ってもらう間は二人きりになりますものね。話をする機会を与えられたのでしょうね」
「レインは、私との結婚を本当に望んでいるのかしら」
「それは私には分かりません。直接、正直な気持ちをレイン様に訊かれたらいかがですか?」
「お父様は、レインはサーシャを妹としか思っていないって言ってたわ。彼はこれから家族になるのだから、義理の妹として仲良くなりたいと思っていただけだそうよ」
何を話し合ったとしても、レインは私に正直な気持ちは語らないだろう。
政略結婚だとはいえ、彼にとって私は妻になる令嬢だ。一緒に生活をしていかなければならない相手と、仲が悪いまま夫婦になるのは避けたいだろう。上辺だけでも私の機嫌を良くしようと取り繕うはずだ。
政略結婚して、侯爵家に入るのが彼の決められたルートなのだから。
「メイベル様が窓から落ちて1週間が経ちました。レイン様のお見舞いは断っていましたが、何度も屋敷にいらしてました。花束やお菓子のお見舞いも頂戴しています」
レインが来ていることは聞いたけど、会うつもりはないと断ってもらっていた。
それも、嫉妬して拗ねているだけだと思われていた可能性がある。
「私はお見舞いの品なんていらないと言ったのに、伝わってなかったのね」
「奥様が、お礼のお手紙を渡してらしたのを見ました。メイベル様が受け取りを拒否されていることは伝わっていると思います」
さすがに私が喜んで受け取っているとは思っていないのね。
「婚約解消を望んでいることはちゃんと伝わっているのかしら、お父様がそれは認めないと言っているし」
「やはり、お二人で話をするべきですね。レイン様には婚約解消を願っていることを伝え、サーシャ様と結婚すればいいと話されたらどうですか?」
「それは、そうなんだけど……」
「サーシャ様とレイン様が結婚して侯爵家を継ぐとなれば、メイベル様は他家に嫁ぐことになりますよね」
ララは自分で言ってから、私の今後の事を考えなければと気が付いたようだ。何か良い方法はないかと頭をひねっている。
「お父様としては、小さなころから侯爵家の跡取りとして、教育してきた私を手放したくはないみたいなの」
「旦那様は、侯爵家の仕事を他の者に任せたくないのでしょう。お嬢様は侯爵家の跡取りですし、カリスマ性もありますし完璧で優秀ですから。とにかく、私はいつでもメイベル様の味方です」
レインと婚約を解消すれば、サーシャたち二人が結婚してこの屋敷に住む。
私が他の貴族へ嫁に行かなければ、私は結婚せず売れ残りの令嬢としてずっと実家にいることになる。
私にとって一番最悪なルートは、お父様の仕事を手伝いながら、一生侯爵家に尽くして生きていく『いかず後家ルート』だ。
「ララ、ありがとう」
私は笑顔で頷いた。
けれど心の中では、解決策を見いだせないまま深いため息をついた。
ややこしくないのは、このままレインと私が結婚し侯爵家を継ぎ、サーシャはそれなりの爵位を持つ他の令息の家に嫁ぐことだろう。
それは最初に決まっていたシナリオだ。
レインは心の中でサーシャを愛している。それでも私の夫としてこの侯爵家の婿になる。
一生叶わぬ想いを抱えて、レインは私と結婚生活を送るつもりなのだ。
何か……なんだか、私、関係なくない?
彼らが悲恋のために添い遂げられない関係であったとしても、悲劇のヒーロー、ヒロインみたいになりたいのだとしても。
私って関係なくない?邪魔とかしないし、なんなら応援するし。
とにかく全力で、レインなんかサーシャにあげるし。のしつけるし。
「……私から、言うのがまずいのかも?婚約解消をレインがお願いすればよくない?」
ふとそんな考えが頭に浮かんだ。
「え?なんですか?お嬢様」
「いいえ、なんでもないわ」
私はそろそろ寝るわとララに言い、ベッドに横になった。
レインから婚約解消を言わせればいい。
そうすれば、無理に結婚する必要はなくなるし、お父様も納得せざるを得ない。
私には不名誉な噂が付きまとうけど、このまま結婚するよりましだ。
婚約解消された私に新しい縁談は来ないかもしれないけれど、時間は稼げる。
いざとなれば、侯爵家を出て行けばいい。
お父様に頼らず自分で生きていく道を見付けよう。
サーシャもその気になるように誘導すればいい。
そうと決まれば……
とにかく敵の考えを探らなければならないわね。
明日は忙しくなりそうだわ。
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