夢の世界のA・B・C~-AS- Battle Chronicle~

宮代

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1話

夢を見よう

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夢の世界のA・B・C~-AS- Battle Chronicle~

1話~夢を見よう~

なんでもない晴れた日。少年は自分の部屋でロボットのおもちゃで遊んでいた。
「ぶーん、ぶーん。ドドドド!!」
少年はロボットを両手に、対ロボット戦を繰り広げている。
少年の目には、きっとプラスチックでできたマシンガンの先から眩しい光が見えているのであろう。
幼い子供の、他愛も無い一人遊びーーー

何年か後。高校生になった少年は。
「そんな攻撃、通らない!」「くらえ、うおおおぉぉぉ!!」
・・・未だ一人遊びに興じていた。

少年の名は『結城 湊(ゆうき みなと)』。
春から高校生となった湊には、友人は少ない。
他者との距離の置き方に自信が無い湊は、クラスになじむ事が出来ず。
昔からずっと遊んでいたブロックをいじるのが趣味となっていた。

ただ、隣の家に住んでいる幼馴染である『森崎 花蓮(もりさき かれん)』とは良く遊ぶようだ。
小学校以前から隣に住んでいた花蓮は、湊の趣味も理解し拒否せず長い間すごして来た。
花蓮は人当たりも良く、活発なため友人が多い。
だがその輪に強引に湊を巻き込むことは無く、それとなく友人を紹介する程度。

ーーーあの娘を紹介されるまではーーー

「ねぇ、湊」
授業が終わり、周囲は自宅へ帰る準備、部活へ行く準備、おしゃべり。
それぞれの放課後を過ごそうとしていたところ。
今日も早く帰って新しい機体を作ろうと思っていた湊に花蓮が話しかける。

「どうかした?森崎さん」
湊は花蓮のことを『苗字+さん』で呼ぶ。
花蓮は気に入らないのか、少し頬を膨らませてみる。
(古いアニメみたいだ・・・)
湊はクスッと笑う。
「何笑ってるの、花蓮でいいのにって言ってるのに」
「森崎さんを狙ってる男子の噂、聞いたことがあるからね。
 そんな人達に呼び捨てしてるの聞かれたら、ねぇ」
かばんに授業道具を詰めながら席を立とうとする湊。
「じゃ、なくって!今日はね、湊にあわせたい人がいるの。ね、こっち」
強引に手をとる花蓮。
「ちょ、ちょっと何さ」
「いいから、こっちこっち!」
腕を引っ張られ、一歩踏みとどまり急いでかばんをつかむ。
「わ、わかったから!逃げないから手を離してくれよ!」

連れて来られた場所は『情報処理室』。
パソコンの授業などで使われる、40台のパソコンが置いてある教室だ。
その裏手、情報処理準備室。
花蓮はドアをノックする。
「花蓮ちゃん?どうぞ~」
と女性の声が返ってきた。中に誰かいるのか。

準備室内には制服の上に白衣を着た『いかにも私理系ですけど』然な女子生徒が座っていた。
「あぁ、君が結城君?はじめまして~。私は『藤井 珠恵(ふじい たまえ)!
 気軽に『たまちゃん』って呼んでいいよ~」
ひらひらと手を振る珠恵。白衣の袖が余ってるように見える。
「はじめまして藤井さん。なんだか知らないけど」
さもめんどくさそうに、湊は答える。
「話に聞いたとおり硬いね~」
(いったい森崎さんはどんな風に僕を紹介したんだろうか)
湊は眉をしかめる。
「・・・特に用事が無いなら帰るけど」
湊は踵を返そうとするが、花蓮にがっしりと腕を捕まえられる。
「たまちゃんたまちゃん!面白いものできたんでしょ!」
どんどん中に引きずり込まれる。
ふと、珠恵の横を見ると・・・ベッドのような物と・・・炊飯器?を逆さにしたような物体が。
「花蓮ちゃん、そうなのよ!完成したのよ!このーーー」

「『ユメアルーク』が!」

「---なんか面白い物作ってるって聞いてたけどーーーなにそれ?」
花蓮の頭に?マークが浮かんでいるように見える。
「よくぞ聞いてくれました!君たち、『明噺夢』って知ってるかな!?」

ーーー明噺夢ーーー

「夢の中で自分が夢であると自覚しながら見ている夢・・・だっけ?
 なんだかそんな話を聞いたことがあるような無いような・・・」
花蓮は一本指を頬につけながら答える。いちいち仕草が古い感じがする。
「そうそう!自分の夢をある程度コントロールできるアレよ!
 そしてこのスーパースペシャルインテリジェンスなメカ、
 『ユメアルーク』は明噺夢を確実に見せることが出来る・・・
 いや、人工的に明噺夢を見せると言い換えてもいいすんばらしいメカちゃんなのよぅ!」
背後に『バーン!』と効果が見えるようなポーズで、珠恵が叫ぶ。
「・・・安直な名前」
素直な感想が湊の口から漏れる。
(しかし、この場に僕は必要なのか)
諦めと不安の入り混じったような表情でため息をつく湊。

「んでんでんで。今日は結城君に」
(まさか)
「初の体験者になってもらおうと思って!」
予想通り、いやな方向で話が進んでいく。
「体のいい『実験台』の事じゃないのかそれは」
「まぁ、そうともいうけどね」
あっけらかんと珠恵は答える。
「明噺夢を見るためにはリラックス状態だとか、なんかいろいろ条件があるんだけど・・・
 私の天才?的頭脳?でなんとかしたわけなのよ!」
自分で天才とか言うやつが一番信用できない。
そんな事を思いながら、いつの間にかベッドに寝かされている湊。
(え、いつのまに)
「さぁさ、この『ユメアルーク専用明噺夢が見れるメット』略して『ユメット』をかぶって~。
 やわらかクッションも完備してるから寝心地は悪くないと思うよ~!」
強引に頭にユメットと呼ばれた炊飯器をかぶらされる。
「なんで森崎さんとか藤井さんじゃ駄目なの。僕である理由が何かあるの?」
当然の疑問を投げかけてみる。
「まぁ当然そう思うわよね。私はデータ解析のため、花蓮ちゃんは私のサポート」
ため息が漏れる。まぁ、特に用事があったわけではないからいいけれど。
授業が終わっただけの、まだ日が落ちてないところで寝ろといわれても・・・と一人ごちる湊。

ーーー眼を閉じてみるがやはり眠れない。
「よし、眠れない。終わりにし」
「リラックスアロマ&ヒーリングミュージックスタート~!!!」
何かハーブのような香りがし、耳にはアロハミュージックのようなゆったりとした音楽が流れ始めた。
「いやいや、こんなのですぐに眠れ・・・る・・・わけ・・・」
意識が遠のいていく。なんて単純な人間なんだ、と思いながらも湊は、眠りに落ちていた。


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