Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます!

遥風 かずら

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第一章:生まれつきのスキル

4.わがまま宝剣フィーサブロス

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 おれとルティは念には念を入れて、人目のつかない場所に移動した。
 倉庫ばかりが並ぶ町とはいえ、案外と人の姿があちこちで見られるので、ここは注意が必要だ。

「よし、ここならいいか」
「おぉぉ~! アックさん、おっきな海が広がってますよ! すごいです!」
「ルティから見える景色は全部感動するものかな?」
「それはそうですよ~! いつも燃え盛る火山ばかりだったんですから!」

 レア確定ガチャで引いたユニークレアな彼女は、一見するとおれと同じ人間にしか見えない。

 しかし冷静になって考えてみれば、火山渓谷のロキュンテをねじろにしているのはドワーフだ。
 彼女は、ラクルの人間から聞いていた特徴に似ている。

 ――ドワーフ族は力が強く、それでいて錬金術も得意である――といった話だ。
 
 ルティは外見こそお手伝いさんにしか見えないが、岩を軽々と持ち上げワイバーンをも投げ飛ばす女の子だ。ドワーフの話を理解するには十分なくらい、尋常じゃない力の持ち主といえるだろう。

 さらに言えば、回復水に力を増幅させる効果を含ませられるのも、ドワーフとしてのスキルがあるからに違いない。
 ジョブこそ回復魔道士のようだが、魔法は苦手と見るべきか。

「それじゃあ、ガチャを……」
「そ、そうだ、アックさん、魔石のガチャってたくさん出たりするんですか?」
「うん? そういえば、レア確定になってから出てないかな? どうして?」
「わ、わたしも武器が欲しいなぁ~なんて……」

 正確にはルティと一緒に、重そうな樽もガチャで一緒に引いたと言える。
 そもそもガチャをこんなに頻発することが無かった。

「そっか。複数の武器が出たらいいな」
「期待しちゃいます!」

 期待に満ち溢れたルティがおれを見つめている。
 そんな中、腰袋から魔石を取り出し、手の平に魔石を置いて握りしめた。
 後はいつも通り、ガチャを引くだけだ。

「大鎌かな~? 破砕棒でもいいな~。それともお揃いの剣!?」
「はは、何が出るかな」

 【SSSレア 我儘わがままのフィーサ Lv.900】
 【SSレア 黒鉄剣 Lv.960】

 ――ん? 今回は二本か。それもSSSレアなんて、とんでもない剣が出たものだ。
 それに、ルティの希望通りの剣が出てくれて良かった。

「剣が出たね。どうする? どっちの剣を選ぶ?」
「――コホン……聞くまでも無いことですよ~! アックさんに相応しいのは、その黒く照らす黒鉄素材の黒鉄剣がお似合いです! レベルだって黒鉄の方が高いですし」
「いや、そっちの剣も銀色の輝きが綺麗だし、レベル差があっても強い剣じゃないかな?」
「こんなの見せかけですよ。ミスリルは確かに鋼よりも硬いですけど、それだけであって何の面白味もありませんよ」
「それならルティは、ミスリルの剣を。おれは黒鉄の剣を使わせてもらうよ」

 地面に横並びで置いた二本の剣のうち、ルティは銀色に輝く剣を選んだ。
 彼女はそれを拾い手にしようとしたが、

「あいたっっ!?」
「――ん? ルティ、どうかした?」
「な、何でもないです~」

 足下にある剣を拾うだけなのに、どういうわけかルティは、拾うのに苦戦している。
 立った姿勢から少し屈むことになるし、バランスでも崩しただろうか。

 それでも、もう一度拾うと言って、彼女はミスリルの剣に手を伸ばした。

「きゃぁっ! 何をするんですかっ!!」
「ルティ? 誰と何を?」
「アックさん~……この銀の剣が~わたしに噛みついて来るんですよぉ~」
「――ハッ? 噛みつく?」
「そうなんですよぉ……拾わせてもくれなくて、わたし何かしたんでしょうか」

 黒鉄の剣を見る限りでは、特に何も起きていない。
 多少の重さはありそうだが、慣れればすぐに使いこなせそうだ。

 しかしルティが選んだミスリルの剣は、地面から動きたくない意思でもあるのか、手にしようとするルティに何らかの痛みを与えている。

「そ、それなら、黒鉄はきみに預けるから、そのミスリルの剣はおれが持つよ」
「うぅぅ~レベルの低いのをアックさんに持たせるなんて、ごめんなさいです」
「いや、気にしないよ。黒鉄の剣は、ルティの方が似合いそうだからね」
「はふぅぅ……」

 何とも愉快な子だ。
 ユニークレアは伊達じゃない。

 ルティが拾うことを許さなかった剣は、果たして俺に刃向かわないだろうか。
 剣の近くで屈み、拾おうとした時だ。

「マスターイスティさまっ!! ようやく拾ってくれるんだぁ!」
「――いっ!?」

 おれは銀に輝くミスリルの剣を、拾おうとした。
 しかしおれの手にあったのは、小さな女の子の手だった。

 その手の感触は人間のそれではなく、温かさを感じない冷たい剣そのものだ。
 力強く握られた勢いそのままに、転落寸前のぎりぎりのところで女の子を抱きしめていた。
 
「ああーー!! アックさん、だ、大丈夫ですか!?」

 ルティを拒んだミスリルの剣は何故かおれを選び、自然と手元に収まっていた。
 その正体は意思を持つミスリルの剣では無く、銀色に輝く長い髪をした小さな女の子だった。

「えーと、きみはまさか?」
「イスティさま。わらわのマスター! 末永く宝剣フィーサブロスを使ってねっ!!」
「や、やはりそうか。SSSレアの宝剣――きみがそうなんだ」
「フィーサと呼んでいいからね、マスター!」
「女の子!? むぅぅぅ……アックさんにベタベタしてるなんて~!!」
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