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第四章:謎追いの旅へ
50.アック、転送をお願いされる
しおりを挟むどうにもスキュラの具合が気になる。
おれとの戦いで見た限りでは、バヴァルよりも実力は上のはずだ。
バヴァルにあげた白いローブと魔石の関係、そして聖女エドラ……。
ローブを脱がされたバヴァルの姿は、レザンスで出会った時よりも老化が進んでいた。
白いローブで若返っていたバヴァルだったが、魔石にどう作用させたのか。
それがスキュラに影響が及んでいるのは明らかだ。
街転移ではなく、転送を使ってみるのも手か。
デーモン装備は失ってしまったが、ルティの間に合わせ装備で十分だろうしな。
それはともかくとして、
「……ルティ」
「はいっっ!」
「これは何だ……?」
「わたしが作りました、特製のパンですっ! それから、特製ミルクです!」
「あまりに黒焦げすぎるんだが、食べても問題ないんだよな?」
「焼きたてだったのですが~、アック様から熱い愛をこの身に受けた結果がそれなのです!」
「愛じゃなくて、爆発魔法な」
「味はきっと大丈夫ですよ~! さぁさぁ、召し上がってください」
毎度のようにルティのお手製料理は、何かが起こるわけだが……。
シーニャはミルクだけを飲んでいて、黒焦げパンには手を付けていない。
黒焦げの原因はおれにあるし、覚悟を決めるしかないか。
最悪、ミルクで流し込めば……。
「――うっ!? ゲハッ……アッア、アガガ……」
「アック様!! さぁ、グイグイとミルクを流し込んでくださいっ!! さぁ!」
「うぅっ……んっぐ――!?」
【黒焦げのパン 暗闇耐性 習得】
【特製ミルク 自然治癒 習得】
【ルティシア・テクス 進撃のルティ Lv.555】
な、何だこれ……?
黒焦げのパンで暗闇耐性が付いたのか。
ミルクは何となく分かるが。
何気にルティのレベルも上がっているな。
「どうしました~?」
「一応聞くが、パンにはどういう効果があるんだ?」
「いえいえ、何も効果を付けていないですよ? しかしミルクは違います! ミルクには何と! 体力や魔力! おまけにかすり傷程度が回復する効果がありまして~」
「シーニャもか?」
「それはもう……! アック様にテイムされているのなら、相乗効果を生むのです!」
まさかここまで優れているとは。
それとも爆発に耐え、ルティ自身が黒焦げになったことによる耐性効果なのか。
「ミルク、もっと無いのか? シーニャ、まだ飲むぞ!」
「仕方がないですね~。たくさん飲みまくって、魔力を回復しちゃってください!」
「シーニャ、アックを治す!」
「その意気ですよ~! わたしは魔法は苦手なので……えへへ」
やはりルティは、回復魔法を使う素質は無いらしい。
回復特化の錬金術に長けているのは違いなく、しかも料理で体内に取り込める。
支援だけに特化すればかなり良さそうだが……まぁいいか。
「さてと……スキュラの様子を見て来る。ふたりはここで待ってていいぞ」
「分かりましたっ!」
「ウニャ!」
すぐ隣にある部屋に戻ると、スキュラに出迎えられた。
どうやら回復したらしい。
「アックさま、ご心配をおかけしましたわ。あたくしは問題ありません……ですけれど」
「ん? 何か心配事でも?」
フィーサの表情は浮かないようだが、何かありそうだな。
「あたくしには残念ながら、ルティの怪しげな飲み物や、虎娘の魔法では回復出来そうにありませんわ」
「体力とか、そういうものが?」
「ええ。ですけれど、あそこに戻れば全て元通りになれる予感がありますわ」
「それはどこだ?」
「神殿手前の洞門ですわ。アックさまと馴れ初めの場所……ですわね」
「馴れ初めてないが……というか、あそこか」
「ええ。ですので、アックさま。あたくしを転送して頂けません? そこに戻れば、あたしはきっと元通りになるどころか、強くなるはずと思っておりますわ」
なるほど、あの洞門に転送するのか。
どこかのタイミングで転送を試そうと思っていた。
それが今なのかもしれないな。
直にあの洞門に転送出来るかは分からないが、試すことは出来そうだ。
スキュラは、ガチャで呼んだ彼女ではない。
しかしこの機会に転送スキルを上げれば、おれのスキルも上げられる。
そうすれば、今後も行き来が容易に出来るかもしれない。
やってみるか。
「よし、転送をしてみよう! ただ、ここにバヴァルを寝かせたままには出来ないし、レザンスを経由することになるけど構わないか?」
「……ええ。アックさまの転送は、これが初めてのはずですわ。街移動とは別の力が必要になるはず……」
「そうだな。それじゃあ、バヴァルを頼めるか?」
「もちろんですわ」
「おれはルティとシーニャを呼んで来る」
「お待ちしておりますわ」
街転移ではなく、転移士スキルを使うことになるか。
果たして上手くいくかどうかだな。
「あなたは、本当にスキュラなの?」
「……ウフフ。そうですわよ? 宝剣のおチビちゃん……」
「――! スキュラじゃない……」
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