Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます!

遥風 かずら

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第八章:因果の国

108.ルティの大失敗

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 ルティが作る料理には、大抵何かしらの効果を含む。
 それ自体に不安要素は無いが、薬となると事情が変わって来る。

 まして薬師の知識を得たばかりのルティのことだ。
 とんでもない効果を生み出すに違いないことは、想像に難くない。

「それでは、お飲みくださいっ!!」
「お、おぉ……」

 実を言うと薬は苦手だ。
 回復薬や解毒薬を飲んだことがあるが、決して美味しくは無いし味わうものでも無い。
 
 いずれおれ自身も、薬師の知識を得てスキルに組み込むことになる。
 しかしそうだとしても、出来れば口にするよりも魔法に変換したい。

「んぎゅっ……んぐぉっ」
「どうですか、どうですか~?」
「……」

 体が熱すぎるし、どう見ても自分の腕が獣っぽくなっているような……。
 腕に生える毛に加えて、シーニャが言う人間の強い気配を感じ始めている。

「あああーーっ!? 間違えました!! アック様に飲ませたのは、獣化の――」

 【ドワーフの秘薬:試薬 獣化することが出来る 同化率100%】

 いや、絶対確信犯だろ。
 お試しで作った獣化の薬に決まっている。

ガウッガァッガウゥおい待て、言葉が!!」
「え~? 何て言いました? アック様なら言葉の壁くらいすぐに~……」

 これは困ったことになった。
 知能の欠片も無い獣と化してしまったのか、言語能力が消えたようだ。

「わらわ、毛むくじゃらは嫌なのなの!! 嫌だけど、小娘の所に避難するなの!」
ウガガ、ガゥゥ!フィーサまでそんな!……」
「何て言っているのかさっぱりなの。マスターが狼になるなんて、シャレになってないなの」
「狼さんですか~! 可愛いじゃないですか」
「毛深いマスターは駄目なの!」

 呑気なことを言い放つものだな。
 ルティとフィーサでは、まるで話にならないじゃないか。

『ウニャッ!? アック、アックはどこに行ったのだ!?』

 おお、いいところに! でもないか……獣になってしまったとなると……。

ガウゥゥ……困ったな

 せめてシーニャとは会話が通じればいいんだが……。
 心配しているおれに気付いたのか、前を歩くシーニャが向かって来る。

『何だお前? いつからそこに立っていたのだ?』

 や、やはり戦闘は避けられないのか。
 せめて気配で気付いてくれれば。

『生意気な態度をしているのだ。シーニャ、許せないのだ!』
ガゥゥ、ガァァッく、くそう

 こうなると話が通じる相手じゃない。
 獣と化した自分が、シーニャとどこまで戦えるものか。

 『ウゥゥッ!』と唸りを上げながら、シーニャが鋭い爪を尖らせる。
 姿勢を低くして、一瞬で片付けるつもりがあるのだろう。

 彼女の武器は自前の爪だ。
 全て切り裂かれそうな爪が、おれに向けられている。

『終わりなのだ!!』

 地を蹴るシーニャが、おれの懐を目指して突っ込んで来る。
 獣となったおれが出来ることといえば、彼女を受け止めることくらい。

 抵抗する間もなく、彼女はおれにぶつかって来た。
 鋭い爪の攻撃も当たっているはずなのだが……。

『ウウ!? ま、全く攻撃が効いてないのだ!? な、何なのだ、お前……』
『おれだ、アックだ。シーニャ、おれだぞ』
『ウニャニャ!? アックなのだ? どうして獣化出来ているのだ!?』

 おぉ、やはり通じ合えたか。

『ルティのせいだ。何とかしてくれ』
『ふんふん……? シーニャの魔法で治せるか分からないのだ。ドワーフには治せないのだ?』
『どう見ても失敗作だろ。治す薬は用意してないはずだ』
『ウニャ~……シーニャ、どうも出来ないのだ。アックのガチャで何とか出来ないのだ?』
『獣化した状態でガチャを?』
『何でも試してみればいいのだ! その姿でも、シーニャは好きなのだ。アックの為にも、ドワーフの所に行って来るのだ』

 獣化したままでガチャか。
 確かにやってみても面白いが、どうなるのか不安すぎる。

 しかし、

「あれっ? シーニャ?」
「ドワーフ!! アックが狼になってしまったのだ! 何とか出来ないのだ?」
「失敗作の薬を飲ませちゃいまして……言葉が分からなくなってしまって~」
「そこを何とかして欲しいって、アックが言っているのだ」
「え? 会話出来ていたんですか? てっきり戦いを始めてしまったとばかり~」
「戦っていたのだ。でも、アックには勝てそうにないのだ」
「さすがアック様! うう~ん、だけど獣化を戻せる薬は作れないんですよぉぉ」
「失敗は許されないのだ」

 どうやらルティでは、どうにも出来ないようだ。
 上手く握れないが、ガチャをしてみるしかないんだろうな。

 フィーサはまるっきり近付いて来ないし、なんてこった。
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