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第九章:神族国家ヘリアディオス
131.シーフェル王女への知らせ
しおりを挟む「――そういうことでしたのね。見た目が変わったと思ったら、闇からのちょっかいによるものだったなんて。イスティさまはどうされるのです? 闇の所に乗り込みますか?」
「そう思ったが、この国に来られた経緯はともかく、フィーサの調子を取り戻せればいいと思っていただけだからな。ここに留まる必要は薄れた」
「では、お咎めなしでここを去るのですね?」
「……全てを知るには、時間がかかりすぎそうだからな。また来た時にでも……」
「イスティさま。ヘリアディオスは、そう易々と人間の入国を認めない国家ですわ。自力で来られる所でも無いですの。もし気になるのであれば、闇の町に進んだ方がいいですわ!」
フィーサの言葉には説得力がある。
確かにシーニャに悪さをした者の正体は気になる所であり、戦わねばと思っていた。
それだけにここからどうするべきか、悩む所ではある。
「シーニャ、アックの行きたい所に行くのだ」
「気にしてないのか?」
「よく思い出せないし、戻って来られたから問題無いのだ。ウニャ」
「むぅ……」
シーニャはあまり深く考えていないようだ。
そうなると、無理強いをしてまで留まる必要は無いということになる。
「イスティさま。それから、そろそろ彼女の所に行きたいのでは?」
「彼女?」
「もちろん、スキュラ・ミルシェのことですわ。今はスキュラではなく、王女と化しているのでしょうけれど、イスティさまの助けを必要としているはずですの」
「……そうだったな」
水棲の彼女には、ずいぶん助けられた。
途中ではぐれることになってしまったが、必ず後で合流をと思っていた。
そうなれば、神族国家にこだわる必要は無いか。
ここからどうやって王国に行くのかが問題ではあるが、そこはまた何か考えて……。
いや、ここならデーモン族を召喚しても、問題は無いのか。
あまり頼りたくは無かったが、せっかくテイムしたことだし頼ってみよう。
『テイム召喚、デーモン族。この地へ来い!!』
声を張り上げただけで、彼らが上空から飛んで来るとは限らない。
しかしテイムに関しては、魔石ではなくおれ自身のスキルによるもの。
魔石をどうこうするものではない。
そして、
『ウニャッ!? な、何か黒いのが沢山見えるのだ!! アック、石をぶつけるのだ!』
しばらくして、上空に黒い集団と翼を羽ばたく音が聞こえて来た。
しかし、どういうわけか全く近付いて来ない。
「待った! シーニャ、ぶつけちゃ駄目だぞ!」
「ウニャ~……」
「フィーサ、デーモン族はここに来られないのか?」
「無理ですわ。たとえマスターがテイムしたものでも、デーモン族は異形の魔族。神族の国に降りることなど許されませんわ」
「やはりそうなるのか……」
あいつらに乗ってここから飛び立とうと思っていたが、甘かった。
それならば、おれたちの方では無くシーフェルの方に行ってもらうしかない。
『聞け! 命じの言葉は、シーフェルだ! シーフェルへ行き、水棲の王女を救え!』
『ギギ……リカイシタ』
言葉さえ理解してくれれば、あちらが危機に陥っていたとしても何とかなる。
おれの言葉を聞き入れたのか、デーモン族は方向転換していずこの空へ去って行った。
「ウニャ。アックはすごいのだ~」
「そんなことはないぞ?」
「いいえ、イスティさまは堂々としておりますわ。さすがわたくしのマスター」
ここから出るための方法は別で見つけるしかなくなったが、シーフェルへ知らせを届けるだけでも、良しとするしかない。
「それじゃ、ルティとも合流をして――」
そう思っていたが、どこかでルティの叫び声が聞こえて来た。
『ひぃえぇぇぇ!? ダメですってば~!! 返してくれないと困りますよぉぉ!』
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