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第十一章:滅亡公国
171.シーニャのお肉パーティ
しおりを挟む『さぁさぁ、どうぞお召し上がりくださいっっ!!』
そうこうしていると、満面の笑顔でルティが特製シチューを持って来た。
二人の青ざめた表情で、一瞬どうするべきかと迷いそうになる。
しかしルティの料理で調子を崩したことが無かったので、迷わず口に運ぶ。
「うっ……!?」
「怖いのだ、怖いのだ」
「アックさま、だ、大丈夫ですの?」
「う、美味すぎる!! 体が暖まるし、力がみなぎって来た気がするぞ!」
「「ええぇっ!?」」
――などと、シーニャとミルシェが驚いている。
その様子にルティは不思議がっているが、おれの言葉を聞いてすごく嬉しそうだ。
「や、やったぁぁぁ!! アック様の為に作った、愛情たっぷり特製シチューなんですっ! ラクルの時の失敗は繰り返しませんよ~!」
「おれ特製? じゃあ、シーニャとミルシェには効き目が無いのか?」
「うう~ん……そんなことは無いですけど~でもぉ~……」
「何だ?」
「アック様のお好みと胃袋に合わせて作っていますので、お二人には耐えられるかどうか……えへへ」
ルティの料理で力が上がったり、耐性が付いた。
通常の料理でも何かしらの効果が得られているが、おれだけの為か。
そうだとすれば、
「ラクルの時に作った鍋で、二人の体調を崩させた原因は何だ?」
「え、え~と……やっぱり、耐えられなかったんじゃないかと~……」
「なるほど……。ルティ。今後料理をする時は、おれ用と二人用で調整をしてくれ! それが二人の為だ! いいな?」
「は、はいっっ! 申し訳ありませんです~」
味付けどうこうの問題では無かった。
ルティに悪気は無く、シーニャとミルシェには効果が強すぎたということなんだろう。
「ウニャウゥ~……お腹空いたのだ~」
「あたしはそれほどでも無いですけれど、信用の置ける食事が出来ればそれだけでいいですわ」
「よし、シーニャ。ヒューノストで食べるか!」
「ウニャッ!」
獣人向けといったものは無いだろうが、街に出れば何かあるだろう。
そう思っていたが、
『アック! ドアを開けてくれ!!』
外からルーヴの声が響いている。
また何か文句でも言いに来たかと思っていたら、そこには大量の鹿肉を抱えた騎士が立っていた。
『に、肉なのだ!!』
いつになくシーニャが興奮を見せている。
やはり肉が大好物のようだ。
「何の真似だ?」
「アックに詫びをと思ってな! 雪山で鹿を狩って来たのだよ。上質の肉だ。これを食べて、明日に備えてくれ!」
「そういうことなら頂くが……」
「うむ。それと明日は、途中まで道案内をしてやるぞ!」
「……いいのか? おれは別に無くてもいいが……」
「我がそうしたいのだよ。では明日な、アック!」
数時間前までは死合だとかほざいてたくせに、変わりすぎだ。
「ア、アック! お肉、お肉なのだ!!」
「そ、そうだな。じゃあミルシェ、ルティと協力して頼む」
「あ、あたしがですか!?」
「ルティの料理の仕方を覚えれば、今後は心配が減るだろ?」
「それはそうですけれど……人間の真似事なんて出来ませんわよ?」
「んん~……」
ルティの料理は、おれ向けに特化している。
それを聞いた時点で、シーニャの為にもミルシェには頑張ってもらう。
◇
「アック、まだなのだ? まだなのだ!?」
「もう少しだと思うぞ。シーニャ、よだれ拭いて」
「ムニャウ~」
明日は間違いなく、彼女たちの動きに頼る所も出て来る。
そういう意味でも、シーニャには存分に肉を食べて力をつけてもらわねば。
「で、出来ましたわ」
「ウニャウッ!! い、頂くのだ~!!」
「あっ、まだ仕上げの味付けが……」
山盛りの肉を前に、シーニャは飛びついて離れない。
味付けなど、もはや関係ないようだ。
「アック様、アック様! 私のお部屋に来てお話してくださ~い!」
「ん? あぁ、いいぞ。たまにはそれもいいかもな」
「そういうことなら、あたしのお部屋にもぜひいらして頂きたいですわ!」
「……ミルシェは、また今度な」
「フフッ、そういうことにしておきますわ。それではあたしは、小娘を何とかして来ますわね」
「うん、頼む」
「お任せされましたわ!」
「ウニャウ~ウニャ~美味いのだ美味すぎるのだ~」
結局フィーサは姿を見せてくれなかった。
しかしシーニャが喜んでいるようだし、今夜はこれでいいことにする。
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