Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます!

遥風 かずら

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第十六章:エンシェント・エリア

289.フィーサの出迎え

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「アックさま、こ、これは――!」
「ああ……ネーヴェル村の外だったはずだ。しかしどう見ても……」
「行きも帰りも隠し通して、おまけに素直に帰さないだなんて全く、面倒ですわね」

 用が済んだおれたちは、ネーヴェル村から外へ出ることになった。
 出るのはすんなりと行けたが、振り返ると村の入口はすでに無く、またしても深い霧に包まれた。

 進むも退くも出来ない――そう思っていたらすぐに霧が晴れた。
 ――かと思えば開けた視界に見えて来た光景は、イデアベルク手前の都市ヒューノストそのものだった。

「おっ! イスティ……いや、アックか?」

 そして当然だが、姿を見られてすぐに声をかけられた。
 薬師の村の人間はひねくれものが多すぎる。

「ああ、久しぶりだな。ルーヴ」

 イデアベルクの再建に取り掛かってからは、特に気にすることも無く会うことも無いと思っていた。
 しかし今は状況が違う。

 この男にも無関係とはいえないし、話を通しておく必要がある。

「公国道中以来だな! どうだ? 再建は進んでいるのか?」
「まぁな。お前とゆっくり話したいところだが、それどころじゃないんでね。ここを突っ切らせてもらう」
「弟なのに相変わらずつれない奴だな、全く。真面目な顔をしているということは、何かあったな?」

 むぅ、背中のルティがずれ落ちて来そうだ。
 重くは無いが、シーニャを支えている腕もそろそろ痺れて来た。

「ミルシェ。後の説明を頼む」
「……かしこまりましたわ。協力態勢はどうされます?」
「戦力には足りないが、その辺も説明しておいてくれ」

 ヒューノストを守護する白狼騎士団のレベルと実力は、冒険者連中並だ。
 イデアベルクに正規ルートで向かって来た場合、必ずここを通ることになる。

 その意味でも、騎士団には踏ん張ってもらうしかない。
 細かい説明はミルシェに任せ、おれだけ先にイデアベルクに向かう。

 氷雪地方だけあって寒さは感じるが、イデアベルクは目と鼻の先だ。
 ルティもシーニャも凍えることは無いはず。

 除雪がしっかりされているのは、正直言って助かるところだ。
 ――とはいえ、足下がおぼつかない。

「……ここはどこなのだ……ウニャ」

 雪を踏みしめて歩き出したところで、シーニャが先に目を覚ました。

「――! 目覚めたのか、シーニャ」
「アック、アックが抱っこしていたのだ?」
「その通りだ。寒くないか?」
「ウニャ、アックに耳を撫でて欲しいのだ」

 撫でてあげたいところだが、ルティが目覚めない限り難しい注文だ。
 
「わたしも撫でて下さいっっ!!」
「むっ? その声……ルティも起きたか!」
「アック様、早く早く~! 撫でて欲しいですっ!」
「お前は黙ってろなのだ、ウニャッ!!」

 やはりこうなるのか。
 背中のルティの様子は分からないが、シーニャの様子は変わらずだ。

 その様子を見る限り、覚醒以前のことはまだ分かっていないとみえる。
 とりあえず二人を地面に降ろしておこう。

 二人から解放されたが、腕や腰にかなり疲れが来ていたようで少しだけ痺れている。
 後は歩くだけなので、腕を思いきり振り回すことにした。

 そうこうしていると、前方から何とも幼くてはしゃいだ声が聞こえて来る。
 
「イスティさまーーー!!!」

 そうか、ようやく目覚めてくれたのか。
 手を振りながらおれたちを出迎えようとしているのは、幼い少女姿のフィーサだった。

 人化すると大人な娘になっていた彼女だが、元に戻っているようだ。
 フィーサのすぐ近くには、エルフのロクシュが立っている。

 サンフィアがいないことに落胆しているように見えるが、イデアベルクに異変は無さそうだ。
 ゲートに近付こうとすると、何やらルティとシーニャがばつの悪そうな顔を見せている。

「ん? どうした?」 

 フィーサは腰に手を置いて、二人に何か言いたそうな顔を見せているようだ。

「アック様、アック様。フィーサはですね~あのぅ……」
「ウ、ウニャ」
「……ん?」

 さっきまで喧嘩をしていた二人が、急に反省を見せている。
 何か秘密にしていたことでもありそうだ。
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