Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます!

遥風 かずら

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第二十一章:途切れぬ戦い

459.邪悪聖女の最期 前編

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「あわわわわ……アック様が~!」
「こうしちゃいられないのだ!! シーニャも戦うのだ!」
「ルティも虎娘も落ち着きなさい。あの痛がりようもそうだけれど、わざわざ声をあげてアピールするやり方はアックさまらしい芝居だわ。あんなに下手なのに敵も騙されるなんておかしいけどね」

 おれとエドラの戦いの様子を眺めているルティたちは、予想通り慌てふためいていた。
 シーニャは今にも飛び出しそうになっていて興奮状態だ。

 ――とはいえ、ミルシェが2人を上手くなだめているし大丈夫のはず。
 
 ミルシェの全身は明らかに腐食状態で弱っている。それにもかかわらずフィーサを取り込みながら回復に専念していて、余力が十分にありそうだ。

 フィーサが回復して口を利くようになるまでは時間がかかりそうだな。

「フフッ、フフフフ! 所詮荷物持ち。倉庫番のアックごときが強くなるはずもなかったわね!! ざまぁないわ! グルートさまがやられてしまったのもきっと運が無かったのよ」

 壁と化したエドラが蘇ったのは、道化師スフィーダのおかげによるもの。しかし今のエドラの記憶は、完全にSランクパーティーにいた時のことだ。

 確かにその時のおれはそれほど強くなく、エドラの言うようにただの荷物持ち。聖女の弱体攻撃でまんまと瀕死に追いやられた。

 しかしグルートを倒した時はすでにルティたちがいたし、召喚を用いて楽に倒している。
 それすら忘れていい思い出のまま蘇ったのは、かえって哀れとしか言いようがない。
 
「ううう……うああああああ!! は、早くとどめを刺せよ、エドラ」
「エドラ様と呼べよ、雑魚がぁぁぁぁ!! ……お前を殺し、わたくしは早くグルートさまの元に駆け付けなければならない……ならないいいいい!!!」

 精神状態は良くない……というより、そもそも正気は保たれてもいないか。

 おれを痛めつけていることで恐らく目的は果たした。後はとどめを刺せば、グルートが褒めてくれる――そういう幻覚を植え付けているんだろうな。

 だが勇者グルートはすでに滅され、賢者テミドも存在しない。土壁と同化させたエドラだけが、スフィーダによって蘇りを果たしてしまった。

 スフィーダが何者かは不明だ。だが奴の力でエドラがこうした状態で現れてしまったのは、おれが手ぬるかったせいもある。

 スフィーダはおれがエドラを倒せる前提ですでに行方をくらました。
 ザーム共和国とのこともある以上、エドラはここで完全に滅しなければならない。

「早くおれにとどめを刺せよ……エドラ」
「それではつまらない。つまらないわね……クククククク、むしろお前が無様にも横たわっている前で、畜生どもを消すのも面白いと思わない? そう、そうよ……お前なんかいつでも殺せるわ! その前に魔物女を!!」

 おれをやる前に仲間の彼女たちに矛先を向けたか。
 見かけ上おれはかなり弱って見えるし、身動きが取れないと思っているはず。

 しかし回復中のミルシェもそうだし、ルティやシーニャに近付けさせるわけにはいかないな。
 リエンスは気を失ってるからいいとしても……。

 エドラが向かう前に、ミルシェからアレをもらっておくか。
 エドラの関心はすでにおれにない。今がチャンスだ。

「エドラ!!」
「アック・イスティ? 何故動いている……? それにまだお前にとどめは――」
「その命を時の狭間に留めておけ。意識を身体に刻め! 《失速の矢》だ」

 本物の矢ではなく、魔力で作り出した矢をエドラに放った。
 形は適当だが短時間でも稼げるならこれで問題無い。

「……な――にを……しやがっ――…………」

 弱体系はあまり得意じゃないので、とりあえずウルティモから教わったスキルで何とかなる。
 エドラは訳も分からない状態で顔面蒼白になりながら、視線だけをおれに残し動けなくなった。

 この隙にミルシェたちの元に急ぐ。
 
「あれぇ? アック様? 戦いはどうしたんですか~?」
「ウニャッ!! アック、どこも何ともないのだ?」

 おれが近づいてすぐに、ルティとシーニャが寄って来た。
 そして案の定、ベタベタと全身を触り出した。

「……何とも無いから2人とも落ち着け」
「ほえ?」
「アックがおかしいのだ。何なのだ?」

 2人とも首をかしげているが、それは後で説明するとして。

「ミルシェ。余ってる宝珠をおれに寄こしてくれ!」
「宝珠ですか? 一体何に使うおつもりで――あぁ、弱体を使うのは苦手でしたっけ?」
「……まぁな。でも宝珠があれば、追加効果を与えることが出来るからな。あるだけでいいから頼むよ」
「ですが手持ちの宝珠の中身は空っぽですわよ? 今から弱体を込めるとなると……」

 それなら好都合だ。
 むしろ何も入ってない方が投げやすい。

「問題無い。得意じゃないけど弱体化デバフのエンチャントなら作り出せる。その間にルティに宝珠を渡して、思いきり投げさせてやってくれ」
「それはいいですけれど。どれくらい時間稼ぎを?」
「ルティが投げ終わるまででいい」
「わ、分かりましたわ」

 実際に作り出すのは、時空魔道士ウルティモから教わった弱体化効果のみ。
 エドラにはそれらをぶつけつつ、その身に起きていることを理解してもらうだけだ。
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