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第二十三章:全ての始まり
521.魔導兵殲滅戦 後編
しおりを挟む「《ディルア・バッシュ》……標的……標的――アック・イスティ」
魔導兵はおれだけに狙いをさだめて、自らを強打して来る。
それをすぐさまノックバック。
すると、そのうちの一体が制御を失い壁に衝突するが、
突然魔導兵のアーマー部分から火花のようなものが出た。
「な、何っ――?」
こいつら……?
まさかおれ以外に触れると爆発を起こすのか?
そうだとすれば、ルティたちに言っておかないとまずい。
しかし妨害電波を発しているせいか、おれからの声が彼女たちに届かなくなっている。
逆に、彼女たちからの声はよく聞こえて来るが……。
「アックアック! こいつらがまだ生きてるのだ! やっつければいいのだ?」
「アック様っ、破壊しちゃっていいですか~?」
――そう思ってたら案の定だ。
完全停止しないままで転がっているらしい。
一方でおれの目の前に残っている2体の魔導兵は、カウントを始めてから動かずにいる。
おそらくカウントが0になったと同時に自爆するはずだ。
しかし、仮に停止している向こうの魔導兵の起爆条件がおれ以外だとすれば……。
かなり厄介なことになる。
「ルティ、それと虎娘も! ここの機械人形には一切触れては駄目だわ!」
「ウニャ? 何でなのだ? 横取りするつもりなのだ?」
「するわけ無いでしょう! 全く、あたしを何だと思っているのかしら」
「ミルシェさん、どういうことですか~?」
向こう側に見えているミルシェがルティたちに何か指示を出している。
もしかすると、魔導兵に仕組まれたものに気付いたか。
「アックさま!! ここに転がっている機械人形とあなたさまの目の前にいるそれらですけれど、あたしたちが触れてしまうと起爆する罠があるのでは?」
おっ、ミルシェは気付いたか。
それなら彼女に任せて、おれはおれで片をつける。
「……返事が全く聞こえないけれど、きっとそうに決まっているわ。だからあなたたちも、触れないこと!!」
「はいい~」
「手を出せないのはつまらないのだ」
まあルティたちが魔導兵に触れて爆発したとしても、今の彼女たちなら問題無いと思うが。
とにかくそろそろだな……。
「カウント5……4…………3」
「悪いが0になる前に消えてもらう」
「2……」
魔導兵の視線はちょうどおれに向けられている。
これなら魔剣ルストから放つ技がまともに命中するはずだ。
この技自体、一体の魔導兵に命中させただけで全ての魔導兵に効果が出る。
唯一の欠点は範囲内の全てのものに弱体を残すことだ。
つまり、耐性のあるおれ以外の彼女たちにも影響が及ぶ。
「――1…………」
カウントが終わる直前、おれは魔剣ルストを腰付近で構え――
剣先を平らな向きにして、特殊な技を発動。
――直後、黒い球体のようなものが出たと同時に魔導兵に放つ。
この技は全ての敵に当てる必要は無く、司令の役割のある奴に当てればいいだけ。
カウントを発動していた奴がまさにそれだ。
この技は即時に発動、突風とともに全ての魔導兵を黒い球体の中に吸い込む。
そこから吐き出されるのは魔導兵のコアのみ。
ルティたちがいるところの機械人形もコアを残し、全て消えたようだ。
これで魔導兵は殲滅した。
直後、
「ひぃえぇぇぇぇぇ!? 真っ暗ですよ!? 何にも見えないですよぉぉぉぉ」
「何なのだ何なのだ!? アック、アック! シーニャはどこにいるのだ?」
予想通り、暗闇耐性の無いルティとシーニャが慌てふためいている。
ミルシェの姿が見えないが……ん?
何やら背中に柔らかい感触があるうえ、おれの視界も暗くなったような。
「あの子たちをそういう目に遭わせて、あたしといたかったのです? 分かりますけれど、ここでは感心しませんわよ?」
「ミ、ミルシェ? いや、違うって! そうじゃなくて、あの技の追加効果が暗闇であって決して――」
「いいですわよ? 今のうちに思う存分に触れて頂いても……」
ルティとシーニャが見えてないからといって、そんな真似は出来るはずが無い。
「そ、それよりもその手を早くどかして――」
あまり感じることの無い弾力性のある感触。
この状態で捕まってしまうかと思いきや、彼女はあっさり離れおれの目の前にいた。
「ところでさっきの技は何です?」
「えっ……あぁ、あれは《モータル・ブラスト》だな」
「暗闇は分かりますわ。だけれど、黒いのは重力系の即死攻撃です?」
ここで風神ラファーガの技を使うことになるとはな。
幻霧の村で奴の姿になった時使える技が見えたとはいえ……。
「使いたくなかったけど、あの技は風属性の特殊技なんだ。君も見たと思うけど、風の神の――」
「いけ好かない男でしたわね。魔剣で出したということは、半端な魔力では使えないということかしら?」
「そうなるね」
本来は魔法剣であるフィーサで試したかったが、魔剣でも問題無く使えた。
それが分かっただけでも十分だ。
「……ところで、あの子たちを今のうちに抱きしめて安心させては?」
「そ、そうする」
「姉のような役に徹するのも悪くありませんわね……ふふっ」
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