Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので好き勝手に生きます!

遥風 かずら

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第二十四章:影の終焉

553.混沌のザーム決戦 ② 

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 ルティのことは気にする段階じゃない。
 まずは出現する敵を片付けて行かなければ。

「ウニャ? 地面から別なのが出て来たのだ。全部倒せばいいのだ?」
「そうするしかないな。どういう"遊び"かは知らないが、こっちの強さでも見ておきたいんだろうな」
「シーニャ、たくさん戦いたいのだ! ドワーフとオリカだけ先に進んでてずるいのだ」

 シーニャは純粋に戦いたいだけのようで、おれとしてはその方が気楽に動ける。
 ルティのことを全く気にしてないわけじゃないだろうが、細かいことは気にしてないだけかもしれない。

 フィーサは魔剣を"眠らせたまま"おれの手に収まっている。
 今はまだ切り替えるような状況じゃないということだな。

「――イスティさま」

 そう思っていると、フィーサが何かに反応を示す。
 前方を見ると地面から次々と魔物が出て来るのが見える。
 さすがにダークヘイズ黒い霧に覆われた空だけあって、魔物ポップが早い感じか。

「ん? 敵か?」
「シャドウタイプの敵なの。でも、その中に人間も混じっているなの。あれはおそらく……」
「人間が? まだ生きてる人間の敵が残ってたのか」
「多分イスティさまの嫌な記憶の中に残る人間……」

 おれの記憶の中の嫌な人間は、勝手に倉庫をクビにしたSランクパーティーのあいつらだ。
 今となっては……な奴らだし、しつこく戦闘を繰り返したのはせいぜい聖女のエドラくらい。
 出て来るとすればあっさりと消えたテミドか。

 ザームは賢者の本拠地だった場所。それにイルジナというより、ここの影そのものがテミドを特別扱いしているから"復活"させる可能性は否定出来ない。

「来たなの!」
「――! あれは弟の方か? そういや逃げてどこかにいなくなってたな」

 シャドウウルフ、シャドウデーモンにシャドウマシーン……。
 旅の途中で戦ったことがある魔物ばかりだ。
 大した強さじゃなさそうだが、骸骨騎士より利口になっているはず。

「シーニャ! シャドウ族は全部任せていいか?」
「ウニャッ!!」

 闇属性の敵に対し、シーニャの攻撃は絶対的な安定感がある。
 シャドウに紛れただけはおれが相手をするとして、残りは全てシーニャに任せる方がいい。

「シーニャ~、気をつけるなの! 油断したら駄目なの~」
「分かってるのだ!」

 フィーサからの言葉を受け、シーニャは勢いよくシャドウ族に突っ込んでいく。
 それらとは別に、テミドの弟だけがゆっくりとした足取りでおれに近づいて来る。

「くっ……何で俺がこんな化けもんを……」

 どうやら人間としての意識がまだあるようだ。
 しかも、影の命令で無理やり寄こされたかのような態度を出している。
 それにしても――見れば見るほどテミドという男の外見そのものだ。

 かつてのエドラのように、よみがえったかのような妙な気分になる。

「……お前はテミドの弟の――ブラト・ザーム……だったよな? てっきり遠くに逃げて二度と姿を現さないかとばかり思っていたけどな!」

 実力はもちろん、隠し持つスキルに至ってもこの男から脅威は感じられない。
 だが影がこの男だけをわざわざ生かしておいたというのは、何かの狙いがあってのことだ。

 この男の出方次第で戦い方が確定する。

「ちっ、化けもんに同情されるたぁ、つくづく女に縁がねぇな……。てめぇみてぇな化けもんと誰が戦いたいってんだ! だがよぉ、俺の実力を舐め切ってっと化けもんでも怪我すんぞ?」

 プライドはまだ健在らしい。
 あまり気は進まないが、どこかに吹き飛ばしてザームから去ってもらうか。

 軽く拳でも突き出せば吹っ飛ぶ。
 そうしようとした時――

「ハハハハ……そう上手く行くとでも?」

「イスティさま、下がって!」
「! 影か!」

 突然、ネルヴァがブラトの隣に現れた。
 どうやらブラトにまとわりついていた影だったようだ。

「な!? 何で、あんたが姿を見せやが……うっううぅ……うがああああああ!? お、俺の体に何をしやが――」
「ハハハハハハハハ。その肉体を捧げれば、そうすればお前はあの方の中で生きられる! ありがたく思え!!」
「があああああああ!? ぐがが……くそぉぉ……」

 ――なるほどな。
 やはり奴を復活させるつもりで生かしておいたか。
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